謙虚な気持ちでいること、とよく教えられているし、自分も、謙虚な気持ちでいなきゃと思います。ところが、謙虚な気持ちっていうのは、どういう気持ちなのかな、というのがわからなくなることがあります。ただ人の言うことを黙って聞いたりすることでもないと思うのですが、お父さんの思う謙虚な気持ちっていうのを教えてください。
【お父さんの答え】
今日も、明日も楽器の練習をみなやっていますね。もうコンサートの準備が始まっているのでね。それで、練習のときにその楽器の一番、綺麗な音を出しなさいと言ったとします。すると綺麗でも何でもない中途半端な音しか出ません。
そんなとき綺麗な音を出させようと思ったら、まず最初に、「できるだけ汚い音を出してみてください」という。汚い音というのは、わりに出しやすいです。すぐにみんな汚い音を出してくれます。充分、汚い音を出したところで、では今度は綺麗な音を出してみてください、というと綺麗な音が出てきます。
気持ちもこれと一緒だと思います。謙虚な気持ちというと、なんだか曖昧な感じしかわからない。そこで言いたいのは、「思い切り、思い上がった気持ちになってみてください」ということですね。思い上がって、出過ぎた人間になって、自信満々でそれをひけらかす鼻持ちならない人間になろうと頭の中でイメージを膨らましてくださいということ。
この中では私が一番、人間ができている。一番頭がよくて、一番奇麗で、一番異性に人気があって、仕事をさせたら一番よくできる人間がこの私だ、と思うことです。
充分に謙虚ではない、思い上がった人間のイメージが膨らんだところで、そこをちょっと下げた気持ちになると、落ち着きがいいと思います。いや私は1番ではない。2番目でいいんだ、と思う。謙虚というのは、若いうちはそんなところでいいような気がします。
(2023年9月21日 掲載)
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