好きな服を選んでいいよ、と言われたときに、自分は今まではっきりとこれがこれがいいという好きな柄とか、好きな形とかがありました。
よく考えてみると、喋り方とかも結構ストレートに言う感じの人だったなと思います。
それが今、服を選んでいいよと言われても、今の自分に合う服が見つからない、わからないなと思います。これは自分の性格が新しく決まりきってないからかなと思います。自分で客観的に、私はこういう性格だとわかっていないなと思いました。
なのはなに来る前と今では、体型も違うし、雰囲気もきっと違うし、考え方も違います。前は青、赤とか、黒か白のすごいタイトなワンピースみたいな感じが好きだったんですけど、今はそんな服を着たいとは思いません。前にそういうハッキリした服を選びたがっていたのは、心もトゲトゲしていて、何かを表さないといけないという気持ちだったんでしょうか?
【お父さんの答え】
そうだね、人の気持ちのコンディションと、着たい服は、リンクしているでしょうね。
自分の生き方に迷いがあったり、あまり人前に出たくないときは、身体の線があまり出ない服とか、デザイン的にも形が曖昧で、布を幾重にも重ねているようなものが、安心して着られる服になると思います。そういうときは、色もちょっと曖昧な色の服を着ると、心地いいと感じるでしょうね。
逆に人前に出て自分が伝えたいことがあるとか、意欲的になっているときは、そういう曖昧な服は居心地が悪くて、肩パッドが入ってるような、カチッとしたラインの服が着やすいはずです。色も、白黒とか、メリハリのついたものを着たがったりするのは、一般的な傾向といっていいでしょう。
逆にいえば、自分の着る服で気持ちを立て直していくこともできます。
迷っているようなときに、意識的に意志のあるハッキリした服を着て、自分の精神をピシッと作っていく、という方法もあるかな。だいぶ昔の話しですが、作家だった向田邦子は、自宅で原稿を書くときは、必ずよそ行きの服を着て、バッチリ化粧をして、それから自分の机で原稿を書いていたと聞いたことがあります。そうすると文章がよそ行きのしっかりしたものになるようです。
自宅で誰にも会わないからといって、下着姿とか、パジャマ姿で文章を書いていると、パジャマを着た文章になってしまう、そういうことがあるようです。
男性もスーツ姿になって白ワイシャツにネクタイを締めると、キリッとして本人も意欲的になるし、見た目もかなりグレードアップするので、ワイシャツは男性を5割増でよく見せるとか言われますね。
なのはなのお母さんを見ていると、岡山のなのはなファミリーで着ている服と、対外的な用事があって東京に着て行く服というのは違うし、だいぶ以前、海外に行っていたときに見た服はまた違っていました。
どんな場所で、誰に向けて、どう見せたいか、というのでも着るべき服というのは違ってくるのでしょうね。
自分の内側の兼ね合いで着心地のいい、悪いもあるでしょうけど、どんな場で誰に見せるかというのでも、適切なTPOがあるということでしょう。
不思議なもので、特に海外に行くと日本では絶対に派手すぎて着られないような服が、ピッタリ似合ってしまうということがあります。また、海外で売っている服も、国によって色合いの傾向がはっきりと違っていて、日本にはない色使いのものものが多いです。それはおそらく異なる文化や歴史からくる考え方や、生き方の違いからでているものと思います。最近は、日本の自動車も中間色の車が増えてきて、それは良い傾向だなと思っています。
若い女性で心の傷を負った人は、立ち直る過程で服選びもどんどん変わってくることがあります。それは浴衣選びを一緒にしているときにはっきりわかることですが、気持ちを作る初期の段階では、自分に似合う色や柄を選ぶことがまったくできないです。見当違いの、自分に似合わない色を選んでしまいます。
中くらいの段階になってくると、およそ似合う色、柄を選べるようになりますが、時間がかかったりします。
仕上げの段階では、自分に合う色、柄をすっと短時間で選んで、あまり迷うことがないです。
それだけ、気持ちの面で自分に対しての理解が進んでいて、決断力もついてきたということかなと思っています。
質問者は、なのはなに入る以前は意見も、服もハッキリしていた、というのは、苦しかったのでそれに立ち向かうために気持ちを強めに出すようにしていたということだと思います。それが今は無理して強がらなくてもよくなって、逆に何を着ていいかわからなくなってきたということです。
そして、もう少しして自分がどんな人間か、客観的に掴めるようになってきたら、またこんな服を着たいというのがはっきりとわかるようになってくると思います。その時は、自分に似合った無理のない服を選べるようになっているはずです。
(2023年9月15日 掲載)
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