自分でもおかしいなと思う行動が、いくつかあります。
1つ目は、ドアに右肘が当たったとしたら、なぜか左肘もわざと当てないと、気が済まなくなります。
2つ目は車に乗ったときに、燃料計がEmptyになっているかどうか、何度も見てしまいます。8割以上、燃料が入っているとなっているのがわかっていても、運転中に5回くらい燃料計を見返してしまいます。
3つめは、綺麗な景色を見たり、綺麗な女性とか、綺麗なものを見たときに、この景色を本当に自分がちゃんと見ることができているのか不安になって、何回も何回も見なきゃいけないって思って、何回も見直してしまいます。
こういう変な行動の正体というか、そんな行動をとる理由は何なのでしょうか。
【お父さんの答え】
いま聞いた感じだと、3つとも理由は違うと思います。
1番目のドアに右肘を当てたら、左肘を当てないと気が済まないというのは、アスペルガー的な傾向がある人に特有のバランスを取りたいという気持ちですね。
それはアスペルガー的な欲求なんですね。片方だけだと、なんていうか片手落ちでバランスが悪いような感じがしてしまうので、右左でバランスをとっておこうという気持ちです。
よくあるのが、家から出て歩いていて、もし右に振り返ってぐるっと1回転して前に進むと、身体の後ろに紐がついていたとしたら、1回転身体に紐が巻付いてしまうので、その紐をほどくために、左周りに1回転して紐をほどいておくという行為です。
アスペルガー的な要素がある人は、みんなこういう感覚を持っていて、きっとわかるわかると言ってくれると思うのですが、それに近い感じで、右ひじを当ててしまったら、軽く左も当てておこう、という感覚だと思いますよ。
2番目の燃料がエンプティになっていないか何回も確かめてしまうっていうのは、これはちょっと問題だなと思います。何か不安を抱えてるときのね、不安障害みたいな感じでしょうね。
例えば、家を出てから鍵をかけたかどうか不安になって、引き返して何回も鍵がかかってるかどうか確かめたくなるとか、そういうのに近い気持ちだと思います。これは心配事を抱えていて、なかなか解決できないでその不安が行動に出てしまうということの1つかなと思います。不安な気持ちがそうさせていると思うので、いま不安に思っていることを列挙してみて、それに1つずつ解決を与えていくと、解消すると思います。
3番目の綺麗な女の人を見たり、綺麗な景色を見たりしたときに、ちゃんと見られているだろうかと思って何回も見直してしまう、これは前の2つとはまた違うと僕は思います。
綺麗な景色だから、ちゃんと覚えておきたいっていう欲求があったときに、その覚え方がわからないのだと思います。要するに、自分の見たものを覚えるノウハウがない、というだけのことだと思います。だから、本当に覚えたいと思ったとき、どうやったらこれをちゃんと覚えられるだろうか、ちゃんと評価できるだろうか、というのがわからないので何度も見返してしまうということになります。
綺麗な女性の顔を覚えておきたいな、というとき何度も見返してしまうのも同じ理由で、人の顔を覚えるのが苦手な人と、得意な人がいます。
人の顔を覚えるのが得意な人がいて、一度、顔をみたらその顔と名前を忘れないという人がどうやって顔を覚えているかというと、眉の形と眉の間隔、要するに眉の違いで人を覚えられるということでした。つまり、顔の覚え方のノウハウが確立していて、それで覚えられると思っていると、自信を持って眉の形を見て覚えて、次に周辺の造形も覚えておく、というふうにすれば迷いがなくなります。
そのノウハウが確立していないと、どこを見て覚えていいか確信がないので、視線が顔の表面でうろうろ迷子になって彷徨ってしまうということになるのだと思います。
そういうわけで、3つとも理由が違うと思います。だけど、それ3つとも、いい加減に生きるんじゃなくて、ちゃんと生きたいという気持ちの表れだと思います。全部、一生懸命な気持ちから出てくることなので、解決さえ得られたら心持ちとしてはいいことだと思います。
(2023年4月29日 掲載)
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