今、私はなのはなファミリーで夜に睡眠前の朗読をさせてもらっています。そのとき、話のなかで、結構、面白い場面になってくると、読んでいる自分が笑いたくなってしまって困ります。笑うのを我慢して読むのが大変で、うまく読めなくなってしまうんですけど、どうしたら笑わずに淡々と読めるようになりますか。
【お父さんの答え】
みんなが聞いて笑うものに漫才がありますが、もしも漫才師が笑いながら話していたら、お客さんは笑えません。
いつもそうですが、人を笑わせる仕事の人は、自分では決して笑いません。落語家も自分では笑わない。
自分は笑わせる側の人である、という意識とケジメがそこにあると思います。人にたくさん笑ってもらおうと思ったら、そのための前振りが必要だったり、面白い言葉を言うというのがありますが、それは自分が面白がるためではなく、人に面白く思ってもらうためのものなので、どれだけコントラストをつけて面白い言葉を効果的に出せるか、というと笑わせる側としたらむしろ緊張するくらいのことだと思います。人を笑わせる側に立とうと思ったら、絶対に笑ってはいけません。
これは考えてみると、不思議ですよね。同じ笑いの場にいながら、笑いを提供している人は笑っていない、笑いを提供された側は爆笑している。くっきりと、サービスする側とサービスされる側に分かれているのです。
誤解を恐れずに言うと、人はサービスする側と、サービスを受ける側に分かれるとすると、一度傷ついて躓き、人生を立て直そうという人は、常にサービスをする側に立つといい人生を創っていけます。しかし、サービスを受ける側に立ってしまうとなかなかうまく自立を果たせないという状況になりがちです。
なのはなファミリーでは、演奏やダンスでイベントに出演したり、コンサートを開いたりしていますが、それは人に感動してもらう側、つまりサービスをする側に立つという訓練になっています。
そして、どんな作業や仕事をしていても、自分が人にサービスをする側に立つ、という意識をもった人は、仕事を覚えるのが早いし、仕事を楽しむことができます。
人からサービスをされる側にいつも立っている人は、仕事は仕方なしにやるものという位置づけになりがちで、嫌なもの、つまらないもの、できればしたくない、という独善的なスパイラルに陥りかねません。
これは普段の生活ではなかなか意識できないことかもしれませんが、これから自立を確立しようという人は意識することが大切だと思います。
本の読み聞かせも同じで、自分が読んで楽しむ人になっていてはダメで、人を楽しませる側に立っているんだという意識を強く持つ必要があります。その意識を強く持って、面白い場面ではみんなに笑ってもらおう、と思っていたら自分が笑ってしまう、ということはなくなるはずです。
人に何かを伝えようと思ったら、自分が喋りたいように喋るんじゃなくて、伝わるように話すことです。本の読み聞かせも、聞いた人が聞き取りやすいように読む、面白く聞いてもらえるように読む、そのことを意識したら、また読み方も変わってくるかもしれませんね。それは、自分が仕事をしたりするときも、全く同じ意識が必要なのだということもよくわかってもらいたいです。
(2023年8月21日 掲載)
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