第341回「自分のマイナスを捉えることが苦手」
自分のマイナスなところを上手に捉えることができない、と思います。
今日は、ちょっと上手くいかないなと思うと、自分で自分を茶化したいような気持ちになって、人にも面白く言ってしまうなど、真剣に捉えられなくなります。
もう困っちゃったよ、みたいに人に言っている自分を、一方ではすごく冷めた目で見ていて、そのことにすごい虚しさを感じることもあります。
自分の内側で本当に困っていることとか、どうしていいかわからなくなったときの気持ちを、自分だけでいると、お父さんに話すように整理できません。
どうしたら困った気持ちを自分で茶化さないで、スマートに自分の中に収めて整理することができるようになりますか。
【お父さんの答え】

長期的な目標とか、長期的な視野がないことが原因だと思いますね。
例えば、昔の小学生なら偉人伝を読んで、僕は大きくなったらシュバイツァー博士のように医者になって、南方の島の人たちの医療を担う人になる、という夢を持つとします。
そういう長期的な夢というか目標ができると、自分のやってることの全てが、それを実現するためのものだと繋げていくことができるんです。
遊びにしても全部、そういう視点で捉えるようになります。釣りをしているとすると、これはアマゾン川流域に住んでいる原住民にもっとよく釣れる方法を教えるために、いま練習してるんだ、みたいな感じです。
行動の全部が、そうなっていくわけです。勉強しているのもそうだし、絵を描いていても、島の原住民に教えるために今、描く練習をしている、というふうに全部が繋がっていきます。
自分の評価も同じことで、全部、それをもとにして評価するので、とてもわかりやすくシンプルに整理されます。同級生と較べてどうかということではなくて、これで将来、南のほうの現地に赴任したとき、通用するだろうか、役に立てるだろうかというのを基準に評価するようになります。
いま大リーグで活躍している大谷選手もそうですよね。高校生のときにはもう大リーガーで活躍することを目標に、生活の全てを組立てていました。綺麗な心でないと、人気選手になったときに持たない、つまり注目されるだけの内容のない自分では、注目に耐えられないと考えて、日頃から目についたゴミはさっと拾う癖をつけた、というのは有名な話しです。
それだけじゃなくて、有名選手になるための要件を9つのマスに一覧にして、それを実行していったわけです。それは本当に効力のある自分の作り方だったと思います。そして、大谷選手は今もそれを実行し続けているので、海外の人にも尊敬される人間性を、今も磨き続けていると言えます。目の前の成功に溺れたり、驕ったりすることがありません。また、故障して挫折したときも、将来に向けて必要な挫折と捉えて、悲観することもなく努力をしてより強い筋力を作り上げ、挫折をテコにより今の成長の礎を築きました。
野球選手でも一番ダメな自分の作り方が、
「大きくなったらお父さんお母さんに親孝行したいので、大リーガーの選手になって契約金をたくさんもらって大きな家を建ててプレゼントしたい」
というものです。そういう人は自分と家族の利益だけが目標になっているので、もし契約できたとしても、その時点で目標達成してしまい、選手としてはすることがなくなります。
目標が間違ったものだったり、目標を持たなかったりすると、目の前の出来事の一つひとつを単発的にしか捉えられません。長期的な目標を持つと、すべてをそこに結びつけて考えることができるので、マイナスなことも、将来のための試練と思えて前向きに捉えられるようになるのです。
だから、その将来的な目標が実現できなかったとしても、そこに向けての成長は続けることができるので、実現できたかどうかはあまり重要なことではなく、成長の目標を自分が見失わないようにするためのものと考えてください。
そうすると、決してマイナスなことがあっても茶化してしまうようなことはなくなるでしょう。それは将来の目標に向けての準備の一つであると考えて、それを乗り越えるために対処法を自分なりに整理できるようになるはずです。
(2023年6月23日 掲載)
