お父さんが、勘助白桃にはすごいコクがあると教えてくれました。勘助白桃という名前からして貫禄があるように感じます。古い樹だと教えてもらったのですが、若い樹よりも、古い樹のほうがなぜコクがでるのだろうかと思いました。
何年もかけていろんな状況を経て成長したから、人間が年をとると深くなっていくように、甘くなったり、コクがでるのでしょうか。
【お父さんの答え】
古い樹の桃と若い樹の桃では、味が微妙に違ってきます。
古い樹になった桃のほうが味わい深いというのは、おそらく人間も一緒なのだと思います。桃の樹の木肌を見ると、だいたいの樹齢がわかります。
若い桃の樹はすべすべして色白ですが、年をとるにつれて陽に焼けて黒くゴツゴツとしてきます。
若い樹になる桃は、やっぱり肌に張りがあるというのか、果肉にも若さがある印象です。ただ甘さも浅いというか、酸味や渋みに力がない。それに対して古い樹の桃は、甘み、酸味、渋みとも強くなって、もしかしたら若い樹の桃に較べれば、日持ちも悪いかもしれない。
ただ、それは敢えていえばそうかな、くらいのもので、実際にハッキリとわかる違いとまでは言えないかもしれません。ごくごく微妙な違いです。それぞれの良さがあるので、一概に古い樹から採れた桃のほうがいいとまでは言えません。
桃の樹は4、5年目くらいから採れ始めて、およそ10年ぐらいがいい時期と言われています。樹齢30年近くたっても実はつけます。ただ、樹齢が増えてくると枝が折れやすくなるなど手入れも大変になってくるので、一般的には20数年で更新します。
若い樹には甘い実がならないかというとそうでもなくて、古畑の紅清水と白鳳がまだ3、4年目の頃、30個くらいつけた実を採らないでずっと見守っていたことがあります。
すると、最初は白桃の小さめのものが、日数がたつに連れて色が濃くなっていって、皺っぽくなったけどそれでも採らないで、もうすぐ落ちそうだ、というところまで待ちました。
もう熟し柿のような桃になったところで採って、試しに糖度を測ったら24度ありました。食べたら、ジャムを食べているような食感で、とても濃い甘さでした。そういう意味では甘さを追求しようとしたら、かなり高いレベルまで追求できそうですね。
桃を育てるには、1年を通じて、作業が途切れることがありません。
枝の剪定もあれば、肥料の内容も様々で、農家さんによって工夫が全部、異なります。そういう積み重ねで、桃の味が変わってきます。そして今年は梅雨が長く、日照時間が少なかったので、なかなか甘さが乗りません。毎年、同じように作ることはできません。
そこに桃作りの難しさと面白さがあるように思います。ここで甘い桃を作る秘密を公開すると、「カルシウム」が甘さを作る、ということがポイントだと思います。
(2023年7月30日 掲載)
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