筋肉についての質問ですが、私は筋肉をいっぱい使うような運動で疲れたときに、それが夜だったらぐっすり眠れるって思うんですけど、1日の途中で疲れを感じると、悲しさが出てきてしまいます。
でも、りゅうさんとか元気な人を見てると、いつもハッスルって感じで動いていて、いつも楽しそうで、そういうのが普通なのかなと思います。
私は筋肉を使って頑張り過ぎると悲しくなりますが、それは訓練次第でいつも楽しめるようになるものでしょうか。
【お父さんの答え】
傷ついた人は、疲れると悲しくなるっていうのは一般的なことだと思いますね。
なぜ悲しくなるかというと、本能的で無意識なものなのだけど、もしも疲れきってしまうと、逃げる体力がなくなってしまうからです。傷ついた人は、いつも内心で何かが起きたときに備えています。
例えば、両親が喧嘩をしたりしたとき、身体を張って止めなければならないとか、暴力で襲われそうになったとしたら全力で逃げなければならないから、その余力はどうしても残しておかなければならないと本能的な危機感で備えています。
それが、疲れ切ってしまったと思うと、今なにかが起きたら、全速力で逃げることができないとか、身体を張って戦えないという危機感に襲われて、悲しくなるのです。
それが本能の部分なのでわかりにくいのですが、無意識で常に体力を残した状態でいなければならないので、意識の部分で頑張ろうと思って張り切ってやっていて、ある瞬間、あっ、頑張りすぎたぞという本能からの危機感が届くと、急に悲しくなるのです。
だから、傷ついた人が、体力を使い切ってしまうのは、ものすごく怖いことです。体力を使ったからだという意識はないのだけど、とても怖い。そして、傷ついた部分が深い人ほど、体力を残そうとするし、癒しができてない人ほど、体力を残そうとする。
ほぼ摂食障害から回復してきて、心の癒しも進んでいる場合には、あまり体力を残そうとして動く事はないけど、完全に癒しができていないので、ある瞬間、疲れを感じて急に意味もなく悲しさに襲われてびっくりするということはあるでしょうね。
あと、持久力のある遅筋という筋肉と、瞬発力を担当する速筋という筋肉の2種類があって、人によって、遅筋が強い人と、速筋が強い人がいると思っています。
遅筋が強い人は、わりと忍耐力があったり、持久力があって、体力も長くもつけど、瞬発力は薄い。逆に瞬発力がある人、速筋が強い人っていうのは、短時間に強い運動が得意だけど、遅筋が弱いので、疲れやすい。体力が長続きしない。筋肉が疲れると悲しくなる人は速筋型の人が多いと思います。
筋肉のタイプと、精神的なタイプも相関関係があると僕は思っています。
速筋が強い人のほうが、感情的にも強くパッと出せたり、派手なパフォーマンスが得意だったりします。瞬間的に、高ぶった感情をきれいに表現することができる。情緒も豊かで表現の幅も広い。けれども、持久力が弱いのでそれを長続きさせることが難しくて、急に気持ちが落ちてしまったりもする。上下が激しいという面がある。
その点、遅筋が強い人は、そういう感情的な上下も緩やかというか、穏やかで、あまり急激に上がったり、下がったりはしにくい。感情的な粘りもある。しかし鋭さはない。
だから、速筋の強い人は、遅筋の強い人の粘りが欲しいと思うだろうけど、それはあまり両立しないものだと思います。
とはいいながら、年齢が上がって、いろいろ経験も積んで、自分の内側に精神的な厚みができてきたり、体力的にも成長期が終わって安定してくると、身体を上手に使えるようになるので、若い時ほどの遅筋型、速筋型の違いはだんだんなくなってくるのだと思います。
まして傷ついた気持ちの癒しができていたり、仕事などで実績を積んで自信が積み重なってくると、心の成長や充実度と歩みを揃えるように、身体の筋肉も充実してくるので、なお速筋型の悲しさみたいなものは感じなくなると思います。
ただ、言えることは、心が弱い人は筋肉が弱い。なのはなファミリーでは毎月、体力測定で握力を測っていますが、新しく入所してきた人はほぼ例外なく握力が弱い。極端に弱い人もいる。いくら体重があったとしても、それに見合った握力はないです。
それが、心の痛みがなくなって、心の筋肉がついてくると、握力もそれに比例して強くなる。最初は握力20kg台だった人が、半年から1年で40kgになるということもあるし、平均して10kg以上は握力が強くなるので、少なくとも30kgぐらいにはなるよね。
質問者の場合には、とても速筋が強いタイプの典型だと思うので、集中して一気に力を出すのはとても得意だけど、長続きしない。そして動きすぎると悲しくなってしまう。
だけど速筋の強い人の特徴で、とても表現力が高くて、人が真似できないような瞬発力に優れている。その特徴は大事にすべきで、悲観的に思うことはまるでない。
むしろ、心がもう少し安定してきて、力のペース配分が上手になったら、力の出し過ぎとかなくなるし、もちろん力の出し惜しみをすることもなく、ごく自然に動いて、時には瞬発力を使う動き方、時には持久力を大事にする動き方が、自然にできるようになってくると思います。
自然にできるようになるけど、自分の特徴は意識して覚えておいたほうが動きやすいでしょうね。
(2022年5月21日掲載)
Copyright © なのはなファミリー 2025 | WordPress Theme by MH Themes