お父さんはよく、「小さく産んで大きく育てる」と言いますが、私は小さく産むことが苦手です。
それは主に2つの要素があって、1つは自分が突っ込まれたくないから、不安の先取りで完璧主義になりがちです。もう1つは本質を捉えるのが下手で、本質がわかっていたら外してはいけないところもわかると思うんですけど、省略することができません。そういうことをいつも感じていて、どうしたら的確に小さく産むことができますか。
【お父さんの答え】
たくさん仕事をこなすと、今やってる仕事がどれぐらいの結果になるかと、イメージできるんですよ。仕事っていうのは、それの結果が大事です。
例えば料理人が、ものすごくうまい料理を作ったとしても、誰も食べに来なかったら、うまい料理を作ったっていう実績が無駄になるわけです。
この前、買った本の『厨房の哲学者』を書いた脇屋友詞さんという料理人がいます。脇屋さんは最初に料理長を勤めた店で、オープンはしたものの誰も客が来なかった。
高級料理店なので、1人1万5000円とか、2万5000円という中華料理のコースを、だいぶ前の立川は田舎ですから誰も食べにこない。
それで脇屋さんは、高級中華料理ではありえない一人客でもいいです、値段も5000円ですというコースを作った。そしたら食べに来る人が増えて、そのうちわざわざ電車に乗って都心からも食べに来る人が多くなって繁盛したといいます。
実際に、これまでの高級中華料理というのは、4人とか5人のグループでのお客に対して熱々の大皿料理を作って出すというスタイルだった。だから町中華の一人客に対して単品を出すというのとは全然違って、1人前ずつコース料理を熱々で出すのが超難しいというんですね。
今回の小さく産んで大きく育てるというのじゃないかもしれないけど、そうやって1人前のコース料理を工夫して生み出して、1人ずつのお客を大事にしていったら、いつの間にか繁盛店になって、多人数の人も押し寄せるようになったという。
人が頑張ろうとするとき、ついついもっと高級なものを、もっともっとと自分の持ってる才能を最高に開花させたいと追求したくなるんだけど、誰も人が来ない店でどんな最高級なものを追求していても、誰の目にも留まらないのでは意味がない。
まずはたった1人の客でいいし、豪華なコースだけど5000円で食べられる割安感を出して満足をしてもらう、ということを実現したことが成功に繋がったのだと思います。
あと、人は時間の中で生きてるから、限られた時間の中で効果を確実に出すという、時間対効果を考えなければならない。長時間をかけて最高の結果を出すよりも、ごく短時間で中くらいの結果を出すほうが、実質的なメリットが高いことも多いです。
だから、短い時間で高い結果を得るのが一番いいんだけど、ともかく短い時間でまずは結果を出してみる、それを意識してはどうでしょう。それが小さく産むということと捉えて欲しいです。
スピード感も、立派な効果です。スピード感をもってまずは結果を出し、それに改良を加えていくことが、大きく育てるということです。
こうしてみると、小さく産んで大きく育てるというのは、まずはスピード感をもって結果を出しなさい、その実績をもとにさらに結果を積み上げていきなさい、ということだとも言えますね。意識するのは、スピード、スピード、スピード、です。
(2024年3月20日 掲載)
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