第10回「楽しんで走る」


質問

最近私は、走るのが怖いです。
これはきっと甘えのせいだし、怖くても、苦しくても、前向きに考えて走るしかないと思うのですが、それがなかなか難しいです。
今までは、絶対完走できると思っていたのに、最近はそれも不安などころか……来年のフルマラソン練習のことまで不安に、怖く思ってしまいます。
本当に甘えているだけなのかもしれないのですが、どうすればいいかわからないです。
どう心持ちを変えるべきか、教えてもらえたら嬉しいです。

 

答え

そうですね、これは不安の先取りをしているのだと思いますね。
今、走るのが怖いわけじゃないのです。大会の4月21日に42キロを走りきれるかどうかが心配で、走りきれなかったらどうしようという怖さがあるのですね。
そして、来年の4月中旬にあるフルマラソン大会を走るのが怖い。
来年の分まで、不安を先取りしてしまっています。
もの凄い過酷な状況に追い込まれて、自分が死ぬほどの苦しみを味わうんじゃないかという、不安を先取りして、怖くなっているわけです。

実際に、フルマラソンを走った直後の人がどんな感想を言うでしょうか。
「フルマラソンを走った気がしないです」
多くの子がそう言います。
「全然、疲れていません、まだ走れそうです」
走っていたらもう終わってしまって、フルマラソンを走ったという実感があり ません、とかなりの人が言います。
そして、そんな感想を言う人は、走る前に自信のなかった人です。
フルマラソンは初めてだけど走るのに自信があるという人は、10キロくらい走ると、調子がよくていくらでも走れると思うものなのです。
それでも、まだ抑えて「絶好調だ」なんて走っていって、欲を出す。
折り返しを過ぎて下りになると調子にのって飛ばして、足を使ってしまい、30キロからゴールまではヘロヘロで走り、やっとの思いでゴールする。
「大変だった」
という感想を走ったあとに言う人は、自信があって飛ばしてしまった人で す。

私は走れないと思う、という自信のない人は、最初からゆっくり走ります。
3時間で折り返し地点を閉められちゃうけれど、なんとか間に合って良かった。ゴールまで走りきれるかわからないけど、最後までがんばろう、そんな調子で走っていると、ペースを崩す事なく走りきれて、それで楽にゴールしてし まう。
途中で、脚力自慢の人が、ヘロヘロになって走っているのを、抜いてきます。
ゴールしても、「あれ、フルマラソンを走った実感がない」という感じで楽にゴ ールできてしまうのです。
ペースさえ間違えなかったなら、8キロを走れる人は、42キロ走れます。

それと本番のマラソンは、練習よりもすごく楽です。
出場者は1000人以上ですから、前にも後ろにもたくさん走っている人がいて、コバンザメ走法が簡単にできます。
ついていく人を選び放題なのです。
大会で走る人は、ベテランの人が多いです。誰かの後をついていくだけなので、きわめて楽に走れるのです。
練習のときだったら、周囲に誰もいない中を、コース合っているのかな、みんなどうしているのかな、と思いながら走ることもあります。
それが、本番はゾ ロゾロ、頭に象さんの帽子かぶっている人やら、旗振っている人やら、着ぐるみを着て走る人やら、いろんな人がいますから、楽しいです。
宣伝旗を持って42キロ走ることを考えると、手ぶらで走るなんて楽なもので す。

ですから、不安の先取りをしない練習をしたら良いのです。
プレッシャーをかけて、自分で動けなくしているだけです。
プレッシャーをかけない練習をするといいのです。
「走れなくなったら歩こう」と思ったら良いです。目先のことだけを見る。
その心がけが大事です。
苦しむことはしない、楽しく走る。
楽しく走れなくなったら、そこで走るのをやめる。
そんなふうに思ったらいいのです。

走ることは、すごい快感です。
歩くことも快感です。
世の中には、走りたくても、なかなか走るところまで行かない人がたくさんいます。
足に障害がある場合とか、病気のときとか、走りたくても走れない人もいます。
走れる身体があるのなら、走りたいように走ったら、楽しいはずなのです。
それが苦しいというのは、精神的な苦しみがあるだけです。

たとえば、高所恐怖症のヒバリ、目も当てられないですね。
高い所が怖いので、低い所で鳴いているヒバリなんて、いないよね、きっと。
でも、そういうのがいたら、おかしいでしょう。 走れる身体なのに、走るのを怖がる人って、それと同じくらい変だよね。
溺れるんじゃないかと思って、水を怖がってアップアップしながら泳いでいる 鯉、おかしいでしょう。
それと一緒です。そういうことはしない。
無理なく走れるだけ走ったら良いんです。

ということで、不安になっている人は、たくさんいると思います。
みっともないことしたくないなとか、走れなかったら恥ずかしいんじゃないかとか、
そう言う雑念が苦しくさせているだけだと思います。
人からの評価を、気にしない。
自分の身体を思い切り使える楽しさを存分に感じる。
色んな格好をして走ったらいいんですよ。
色々ありますが、もしもザリガニが走ったらこんな感じだろうとか。
カニが前に走ったらこんな感じかなと、わざとがに股に走ってみるとか、猿が 走ったらこんな感じとか、
チーターだったらこんな格好いいだろうって、走りながら遊んでみたら?
そういううちに、自分だったらこうだろうっていう走りが見えてきますよ。









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第3回「本で涙を流すことについて」
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第7回「摂食障害の人が片付けが苦手だったり、約束の時間に遅れてしまうのは何故ですか?」
第8回「自分のことを『僕』『おいら』と言うのをやめられなかったのは、なぜか」
第9回「おいしいカレーと、おいしくないカレーの違い」
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