ダンス練習をしていて思ったことです。私は『ザ・グレイテストショー』の振り入れのとき、みんなのダンスを前から見させてもらう機会があったんですけど、自分がみんなにもっとこうした方がいいと伝える側になったときに、どういう形があるべき形なのかがわからなくて、伝えられないことがありました。
あゆちゃんが振り入れをしてくれたときは、もっとこうした方がいいとか、こういうイメージだとか、踊る気持ちとかも話してくれて、あるべき美しいイメージが持てているってすごいなと思いました。それは自分にはなかったことなので、どうしたらそれを持てるのか、教えてください。
ひとことで言うと、美意識をどう持つかだと思います。
どんな美意識を持っていますかっていうこと。自分としては、ダンスの美しさは、こういうところにある、もっとこんなふうに表現してほしいと願う意識だよね。美しくやろうという心意気、気持ちです。さらに言えば、それを教える側に立つことです。
いつもどれが美しい形かという思いをもっていると、美意識をどんどん自分の中で成長させることができるんじゃないのかなと思います。普段からそういう意識を持っている人と、持っていない人とでは、吸収力が違ってくるはずです。
同じようにここで生活していても、例えば畑の作り方に対する意識にも差が出てきます。あそこの畑ではこんなふうに作ってて、きれいにできていた、ここもそんなふうにやってみようというふうに思える人と、ただ言われたことをやっているだけの人とでは、かなり差がついてしまうと思います。
隣の畑でベテランの高齢の方が野菜を作っているのを見て、どんな手入れをしているかそれとなく気を付けて見ている人と、それとは違って全く見てませんという人もいる。
同じ時間を生きていて、いつどこで努力してるかわからないのに、どんどん日々の生活で収集した情報を積み上げていく人と、全く積み上げない人がいるということ。
同じように演奏を聞いても、これは良かった、あるいはここが悪いとか、意識して聞くこともできます。自分がバンドを編成したらどうするかと、いつも自分のこととして聞けば、普段からいくらでも吸収できることがあります。
1回、聞いたら忘れない、1回、見たら忘れないっていうふうにすればいいだけです。
だから、ダンスを習うときもそうで、これがきれいな形なのかとただ教わるだけじゃなくて、今度、自分が教えるときはここをしっかり教えようという気持ちで聞いているとどんどん自分の内側にノウハウとして残すことができます。
自分が教えるとしたらこんなふうに教えるとか、こういう形をとったほうがもっと印象的なダンスになるなど、そういう意識を教えてもらっているときから自分の美意識に刻み込んでいく、それと同時に自分の美意識を進化させていくといいのです。
そういうダンスの美意識をきちんと持っていると、人のダンスを見るときの見方も変わってくるだろうし、自分のダンスを自分で進化させることもできます。
そして、いざというときすぐに人に教えることができるのも、普段からどれだけそういう意識を持っているかで決まってしまうと思います。
英語を上手になりたかったら、英会話学校の生徒になるのではなく、英会話学校の先生になりなさい、とよく言います。それと同じで、ダンスを上手になりたかったら、いつもダンスの先生のつもりで踊りなさい、ということだと思います。
(2023年6月18日 掲載)
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