夏まつり作東のステージは、大成功だったと思います。個人的には、特に『チープ・スリルズ&シェイプ・オブ・ユー』は、お父さんがしてくださる音響の透明感や迫力のなかで、バンドのみんなで事前に工夫や打ち合わせをしたことも功を奏して、歌も楽器もぴったりと噛み合っていることを感じながら、大切に演奏することができました。
ひとつ、アザーサイドからナユタへの流れのときに、あゆちゃんが1曲飛ばして次のMCを読み始めたとき(これまで何百回もコンサートをしてきて、初めての経験でしたが)、同じステージに立つ者として、もっと自分は機転を利かせた動きができたはずだと反省しています。
●そのときの演目、前後の着替えの都合によって違ってくると思うのですが、昨日の場合、私はどのように行動すべきだったのでしょうか。
2通りの選択が、自分にはできたと思っています。
1.MCの流れのまま、ナユタとオールウェイズの曲順を逆にして演奏する。(MCが違うとわかった時点で、お父さんとさやねちゃんに確認したうえでバンドメンバーにステージへ上がってもらうよう呼びかける。)
2.あゆちゃんにそっと近づいて耳打ちをし、順番を修正してもらう。
私は、ナユタとオールウェイズはテンポや雰囲気が違いすぎるということがないので、そのときだけは曲順が逆になってしまっても良かったのではないか、そのほうが流れがスムーズで、あゆちゃんのMCが引き立ったのではないか、と思いました。
MCには十分な長さがあったため、その間にさやねちゃんに「オールウェイズ」の間に着替えることでも大丈夫かを確認し、オールウェイズの演奏後に、そっとあゆちゃんに笑顔で、「ナユタがあります」と言えたら良かったのではないかと思いました。
このように考えすぎるのもまた失礼なのかもしれませんが、あゆちゃんがいつも当たり前のように美しく進行をしたり、歌ったりしてくれているために、歌とMCを切り替えながらこなしていくのはとても大変なことだということを、うっかり忘れてしまっていたと思い、とっさに行動できなかった自分に悔しくなりました。
ステージ全体に対しては些細な出来事だったと思うのですが、質問をさせていただきます。
【お父さんの答え】
お父さんとしては二通りの選択肢のうち、2番め、ですね。
「あゆちゃーん、ちょっと順番違うかもしれないよ」と大きな声で言ってよかったのかもしれない。というのは、もし突然、曲順が違ってしまったら、ダンスの着替えどうなってるのとか、出番はどうなっちゃうのとかって、ダンサーに大混乱が起きてしまいます。
やっぱり予定通りがいいんじゃないかな。
そのとき僕は、1曲飛ばしてオールウェイズのMCをあゆがやってるとは気が付かないで、オールウェイズって言葉を聞いて初めて、あれっていうことになった。そしたらバックヤードから、キーボードのみくちゃんが、「私、上がるのかな」とか言って出てきたから、「上がらなくていい、予定通りの順番でやるよ」と言ったんですけどね。
ありとあらゆるステージは、堂々とやることが大事なんですね。順番が間違っても何でも、平然と元通りに戻して進行すればいいだけです。
有名なアメリカの歌手、……マドンナかレディ・ガガだったけど、大きいステージの中央に高い階段があって、その一番上から出てきて、歌いながら歩いて階段を降り始めた。すると、ダダダッと階段を尻餅をついたまま落ちた。
ところが、落ちた後、おもむろに立ち上がり、なんでもない顔して歌い続けた。お客さんのほうは、そういう演出なのかなと思っちゃうんですね。お尻で滑り降りたというのに気が付かない人もいたという。多分痛かったでしょうけど……。
あのね、堂々とというのは、どのステージでも大事なんです。
間違っても堂々としていれば間違いにならない。
「あ、今のは違いました」って、平然と言えばいいだけです。間違うことに対して問題はないです。
だから、あのときもそっと違ってるよと言うのではなくて、あゆちゃーん、とか言って。「なにー」「次はオールウェイズじゃないですよ」「ええ、そうだったんですね、皆さん、では本当に次に演奏する曲を紹介しましょう」。それでいいんですよ、ほんとにね。
間違うのも堂々。うまくやるのも間違えるのも堂々としてやる。それがいい。だから大慌てして、演奏曲を逆にするということはないのかなと思います。
あゆ:
言われるまで忘れてたけど、大変だったな。ごめん。
それより、昨日の演奏は、音響がけっこう大変だった。
昨日はお祭りのイベント出演ということで、ミキサーのシーンを1曲ごとに作らずに、1シーンで全曲のミキシングをした。それは失敗だったと思います。
キーボードって1台なんですけど、あれは電子ピアノというよりシンセサイザーですから、曲によってまったく違う音を出している。そうするとボリューム感が違うんですよね。曲が変わってキーボードの音色が変わると、まったく違うボリューム感になってしまう。
それをミキサーで変えなきゃけないんですけど、事前に、すべての曲の合わせをしていないから、記録がなくて、耳を頼りにしなければならない。ところが、ミキサーのある場所はスピーカーの横なので、いまひとつ、正確に聞き取れない、という困った状況になるんです。
それともう一つ問題があった。ワイヤレスマイクを2本使ったんですが、これがちょっと性能が悪くてハウリングしました。
ハウリングって普通、部屋の中で音が反響して、キーンッてなったりするんですが、あのワイヤレスマイク、何でもないところでハウリングする。ワイヤレスだから電波でハウリングしちゃうんです。だから、さやねちゃんのギター演奏のとき申し訳なかったくらい、ハウリングが出てしまったのは、ワイヤレスマイクの送受信機のせいです。
それだけじゃなくて、今回わかったことがありますけど、お祭りのかき氷機ーーこれは罪ですよ。
電動かき氷機がグガガガガガンと回りだすと、強いモーターなんでしょうね、ただでさえ弱めの電気が減って、音がウワンウワンってうねるんです。電気の出力が大きく波打つせいか、パワーアンプの出力が落ちて、音がうねるんですね。
それがハウリングっぽくなるんですね。かき氷屋さんが出店してるお祭りは、気をつけなきゃいけない。電動モーターがついてる機械類は、無線マイクの送受信機が、電波を拾ったり、電気出力が揺れて、音を揺らしてしまうようです。
で、昨日は完璧に昇圧器をかましてなかった。昇圧機は必須ですね。強烈な昇圧機が必要ですね、臨時の電源には。大きめの昇圧機を用意しないと高出力のパワーアンプに完全には電気を供給しきれないんですよね。ちょっと、反省しましたね。
昨日はパワーアンプを5台使いましたけど、やっぱり昇圧機を少し大きいのにして必ず全てのパワーアンプに昇圧機をかませて、無線のワイアレスマイクは極力使わない。お祭り会場では、マイクは極力、有線で行くということでやったほうがいいでしょうね。
そうすると、割としっかりした、しまった音で、ハウリングがまったくなくなるんじゃないか、そんなことを思いました。
昨日も、「なんであの子らは、あんなに楽しそうに踊るんや」って周りの人が言ってたよ。お母さん、客席の真ん中でいたんだけど。すごいなあ、って。周りの人は、そういう評価だったよ。
特に『チープ・スリルズ』でね、表情つけながら踊ったから、そう言われたのかもね。
真ん中もそうだったけど最後の曲の演奏が終わったとき、お客さんが大きな声援を贈ってくれたでしょう、その時も言ってたなあ。「表情、ええなあ」って言って、「元気出るな」って言って。
(2019年8月9日掲載)
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