私は幼少期(記憶にあるのは保育園児くらいからです)から、とても怖がりでした。
親がいるリビングから出て廊下を通り、2m先のトイレにいくのすら怖くて、2階の自分の部屋に上がることもこわかったです。
中学生になり部活に入り、帰宅する時間が夜遅くなると、曲がり角から殺人犯が出てくるかもしれないという妄想に陥り、片手に携帯を持ち、1つボタンを押すだけで母親にすぐつながるように準備して歩いたりしていました。
しかし、不思議なことに友達と一緒に行くお化け屋敷などはまったく怖くありませんでした。
なのはなの生活でも、夜中にトイレに行くときなどに同じような恐怖心を感じることがたまにあります。
この私の恐怖心は人間ならば一般常識的に持っているものなのでしょうか?
そういう恐怖心、怖さを持ってたなと思う人、手を挙げてみて下さい。……結構多いですね。傷ついた子は、そういう怖さを持つことが多いと思います。
ただ、一般的にいえば、そういう怖さを持つ人というのは少ないと思います。誰でも感じる怖さ、ということではないです。
夏の夜に怪談を聞いたあとだったら、誰でも怖いですけどね。
傷ついてる人は、怖がりです。
いろんな意味で、何かが壊れる、何かがダメになる、仲が悪くなるとかね、いろんな、現状、あるいは安定したところというのが壊れることを極端に怖がるんですね。そういうふうになってしまうんです。
すると、暗闇は怖いし、トイレは怖い。
僕、小学4,5年生くらいまで、夜、トイレが怖いから、たまたま夜になってしまったときは、トイレに入るときから出るときまでずっと歌を歌っていましたね。あるときお客さんが来て、
「なんか、お兄ちゃんずっと歌ってるね」
と不思議に思って聞いた。すると親が、
「いや、トイレに行って怖いものだからずっと歌ってるんです」
と。僕がトイレから出てきたら、お客さんはおかしくてたまらないというふうに笑ってる。僕は恥ずかしかったですね。
怖いです。
それが、自分の傷が癒えてくると、その怖さというのは、だんだんなくなっていくんです。怖さがなくなってきます。
で、友達といっしょに行くと怖くない、というのも、理由があるんです。
あの、一緒に行くのが友達とじゃなくても、小さい子と一緒に歩いていても背負っていても手を引いていても、夜道を小さい子と一緒に行くのでも、そういうときは怖さってなくなります。
怖さというのは、そこに何か現実にあるものではなくて、自分の心の中で作り出してしまうものなんです。そして、1人で考えていると、自分の内側でどんどん大きくしてしまう。
それが、誰かと一緒にいると、その人に気をとられますから、内側で勝手に恐怖を作りにくくなるということがあります。また、この子を自分が守らなきゃならないとか、友達と話していたりすると、内側で恐怖を作り出していられないですから、怖さが増えないんです。
もともと、根拠のない怖さですから、自分が作らない限り、消していけるんです。
だけど1人になると怖い。1人だと、怖い気持ちにターボがかかって膨らませるからです。
それで、大きくなって……あまりに根拠の薄い怖さはなくなったとしても、傷ついた人は欠落感をずっと抱えたままですから、思春期になって心が不安定になると依存症になるとか、依存症めいた症状を出すことがよくあります。
例えば、日々の生活パターンを絶対に崩したくないとか、何かが破綻する前に予防をするというような、そういう、変化する怖さに対して備えをする、という方向に行くことがあります。
いつも使っている化粧品だとか、いつも使っているシャンプーや、サプリメントがなくるのが怖いから、スペアをいっぱい買い込んでしまう。自分のいつも使ってるものが、絶対に切れないように予防する。
そのスペアは、普通だったら1本くらい買っておけばいいくらいのものを、なぜか5本も10本も買ってストックしておいたり、そのストックがないと不安になるといったように、自分の日常生活が途切れる怖さというのを、スペアをたくさん置くことで保証を求めるようになることがあります。そういうことに恐怖心が変質してしまうこともありますし、怖さとそういうものを同時に併せ持っているということも、あるでしょうね。
傷が癒えると、スペアがなくてもいられるようになります。
無くなったら無くなったでいいや、また買えばいいんだ、と思えるようになります。
そういうふうに耐えられるようになっていく。
この質問の人は、一般常識的な怖がり方じゃなくて、ちょっと特殊な怖がり方をしてきたと思ったほうがいいんじゃないでしょうか、ということですね。
今でもたまにそういうことがあるというのは、まだ完全には癒されていないからということだと思うし、完全に癒されたとしてもたまに何かの拍子で、おばけが出るかもしれないと思い込んじゃったら、その晩はちょっと怖いですよね。そういうこともたまにあります。たまにだったら、そういうこともあっていいんじゃないの、と思ってください。
(2018年4月13日掲載)
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