第270回「人のために動くとき」


【質問】

 自分の心はすごく脆く、弱いなと最近感じました。でも、それに利他心が入ると補強されたように軸が通り、強くなるなと感じました。
 作業中でも、自分にこもってやっている時などは、周りのことを考えられていないんですけど、これは何のためにやるのか、誰のためにやるのかをきちんと捉えて、これから先になのはなにくる人のために結果を残そうと思ったりすると、腰も軽く、頭も動くと感じています。

 それはやっぱり、まだ見ぬ誰かのための利他心、そういう方向の気持ちがあるからなのかなと思いました。そういう考え方は間違っていないですか?

【お父さんの答え】
お父さん:

 そもそも人は、誰かのためにしか、懸命には動けないと思うね。
 例えば、独身の人が家にいて食事の時間になったとすると、今日はめんどくさいな、外食で済まそうかな、となりがちですよね。
 自分の食事のためにわざわざ食材を買ってきて料理しようという気はあまり起きない。有り合わせのもので簡単に済ませていいやとなってしまうと思います。
 それが、例えばお母さんに美味しいものを食べさせたいから何か買っていこうとか、なのはなのスタッフの集まりがあるから、一品美味しいのを作ってやろうかな、というときは、俄然、料理する気になりますね。食べるのが自分だけだったら、めんどくさいな、コンビニのおにぎりとパンでいいか、となってしまうのに、人のためなら面倒くさいという気持ちが消えてしまいます。
 何をするにもそうです。自分のためだったら、どうでもいいや、みたいに思う。
 誰でもそうですよ。サービス業で働いている人が、お金をもらうからお客さんのために尽くすのは当然ですけれども、料金がもらえなくても、自分の好きな人とか、自分の知っている人を喜ばせたいというときは、やる気が出るものだと思います。

 でも、世の中には、そう言う人ばかりじゃないのも事実かもしれません。
 家に帰って、真っ先にテレビゲームやりたいというパパなんかもいますね。
「何が楽しいってテレビゲームやってる時が楽しいんだ。邪魔をしないでくれ」
 そういう人が家族にいると、せっかく家族が揃ってご飯を食べているのに気もそぞろでゲームがやりたくてしょうがない。みんながまだ食べている途中でも、自分が食べ終わったらさっさと席を立って自分の部屋にこもってゲームをやる。
 もしも、そういう人に「何が幸せですか」って聞いたとすると、おそらく「自分の好きなものが手に入ったら幸せだ」とか、答えるのでしょうね。
 我欲に毒されてしまって、自分勝手になってしまっている。我欲の欲が満たされたら幸せになる、と勘違いをしてしまっている。そういう人も残念ながらいますね。
 そんな人は、意外とゲームをやってるだけで幸せかもしれませんね。

 でも、人間味が強い人は、自分だけが楽しんでいても幸せを感じられない、というほうが普通だと思います。
 いくら「モノ」に囲まれていても、お金がいっぱいあっても、それだけでは幸せを感じられないというほうが人間的だと思います。
 いつも言っているように、「幸せは、人と人の間にあるもの」だと思うからです。
 だから、人のために動く時が、一番、頭が働くし、心も動く。そして身体もよく動くんじゃないかなと思うのです。それはむしろ自然なことです。

 心がいま壊れてしまっている人とか、欲に溢れて競争心でいっぱいの人は、学歴とかステータスとかに幸せが詰まっていると勘違いしているので、大きな家が欲しいとか、高級車が欲しいとか、そういう「モノ」や「ステータス」に向かって走っているばかりで人に向かっていないから、なんで成功したのに幸せを感じられないのかな、と思ったりするんじゃないでしょうか。
 そういう人はすぐにわかるんですが、初対面なのに「学歴はどこの大学出ていますか」と聞いてきたりしますね。相手の学歴を確認して、自分のほうが上だと満足する。そういう人もいるよね。でも、うっすら寂しいんだろうな。確認せずにはいられないんだから。
 本来は、誰も人のために役立つ人でありたい、と考えるほうが自然じゃないかな。

質問者: 感覚的に、自分は利他心を持っているときは、すごく心強いと言うか、強くなれると言うふうに思えるんですけど、そういう感覚でいていいんですか。

お父さん:

 いいんだよ。それでいいと思います。人のために動くときは強くなれる。
 真っ暗な夜道を歩く時でも、一人では怖くても、赤ん坊を一人背負ってたら怖さがなくなって、強い気持ちになれるよね。
 何か怖いことが実際に起きたら、赤ん坊は絶対に助けにならないことはわかりきっているけれども、この赤ん坊を守ると思うと心強くなる。そんな感じだと思います。

(2021年4月5日 掲載)









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