最近になって、さきちゃんと一緒にライブで歌う練習をしてるんですけど、最近すごくハマり(音が完全に調和すること)が気持ちがいいなと思っています。
今まではハマることが怖くて、デュエットとかコーラスとかしたくなかったんですけど、いまは気持ちがいいと思うようになりました。
それが気になって、自分のピッチ(音程)はどうなんだろうって思って、チューナーで測ってみると、これまでないぐらいまっすぐ正確な音が出ていました。日によってちょっと駄目だったときもあるんですけど、最近はぴったり合うことがすごく多くなったので、これまでは自分からずらしていたのかなって、思いました。正確に出せることがすごく嬉しかったです。
今まで、ピッチをずらしていたのは、なぜなんでしょうか。
【お父さんの答え】
例えばドミソの和音で、ド、ミ、ソと3人がそれぞれ声を出して和音になると、自分の声は聞こえないんです。3つの音が溶け合っているから、自分の声だけを聞こうと思っても、聞くことができない。
そうなると、不安が生まれます。ちゃんと歌っているかどうか信じられないので、自分の声を聞きたくなってしまう。それでわざと音程をずらすんです。
あとは、自分がちゃんと歌えてるかどうかいつも確かめたくて、無意識のうちに自分の声を聞くためにちょっと音程をずらすということがあります。
2ヘルツから4ヘルツずらしただけで、もう自分の声が聞こえてしまう。
うちでも、メインボーカルのコーラスでほんとうに2、3ヘルツだけ音がずれてしまうということが過去にあって、それが癖になっている人だと、サブボーカルに入れるのが難しいことになる。フラットする癖がついてしまうと、いつもフラットする。
ずーっと、ハーモニーではなくて、メインボーカルとサブボーカルの人の声がずれて聞こえてしまう、ということになる。その時もチューナーで音の周波数を測ってもらって、ずれているのを確認してもらった。その人の場合には、自分が間違いなく歌えているかどうか、聞きながら歌いたい、と思ってしまって、3ヘルツとか4ヘルツだけなのだけど、フラットさせていた。でも、一度、フラットの音程を覚えてしまうと、直しにくい。それで、いまのなのはなファミリーのバンドのボーカル陣は音程が正確に出せる人で構成しています。
海外の交響楽団でも、ちょっと華やかな音色にしたいっていうときは、ちょっとだけ周波数を上げるということがあります。普通、Aの音を440ヘルツで出しているところを、442ヘルツにする。たった2ヘルツ上げるだけなんだけど、煌びやかに聞こえる。
もちろん、すべての楽器を2ヘルツずつ上げなければならないけど、それを実際にやっているところがある。
なのはなファミリーでも、それいいなと思って、もう10年くらい前だったか、442ヘルツに揃えてやったことがある。本当に、きれいな感じで、気持ちが上がる。
だけど、やっぱり、440ヘルツと較べると落ち着きがなくなる。
特にサックスアンサンブルを442ヘルツ(Aの音)で合わせてやると、なんていうか、落ち着きがなくてずっと聞いているのはどうか、となってしまう。
本来のその曲のイメージからずれてしまう、というのかな。それで、2ヘルツ上げるのはやめよう、ということにした。でも、なのはなファミリーのウィンターコンサートで、30曲くらいの全曲を442ヘルツでやった年があります。たった2ヘルツ違えただけでもかなりの違いになると思います。人の耳は2ヘルツの違いを聞き分けます。
そんなわけで、話しは遠くなりましたが、女性コーラスの場合には、本当に和音で響きあうとそれぞれの声が溶け合って自分が歌ってないように感じるけれども、本当に歌ったのかしらっていうくらいが気持ちいいっていう人と、何か自分が歌っていないような気がして、つい音程をずらしてしまうという人が出てくる、ということだね。
でも、自分の拘りとか、欠落から離れて、自分が自分でなくていい、というくらいにとらわれなくなると、きちんと音を当ててハーモニーのなかに自分の声を溶け込ませるのが楽しい、と感じられるようになるということだと思います。
(2023年5月6日 掲載)
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