第319回「講演会で話す時の秘訣」
漠然とした質問になってしまうのですが、近く講演会で話す仕事が入っています。
1時間半ぐらいの講演会なんですけど、その講演会でここだけ押さえておけば失敗しないっていう秘訣みたいなのがあれば教えてください。
【お父さんの答え】

少なくとも、多少の準備は必要で、話しの組み立ては考えておくべきでしょうね。
これは物を書くときのパターンと同じだなと僕は思っているのだけど、基本的な話の繋ぎ方は、まずエピソード、あるいは具体的な事実関係を話して、興味を引いてから、それについて自分なりの考えを話すというのを1つのセットにしながら話しを展開するといいでしょうね。
1つの話しが一段落したら、次はまたこんなエピソードがありました、それについての自分の考えを話す、ということの繰り返しで展開して行くわけです。
逆に言うなら、これとこれを言いたいというものをハッキリさせてそれで構成しておいて、それぞれにまつわる具体的なエピソードを用意しておくということです。
理論的な話とか、理屈から入ってしまうと、なかなか聴衆がついてこないと思うので、理屈はあとから、エピソードが先、というのが大原則です。人はどんな素晴らしい理屈であっても、理屈は聞きたがらないです。理屈というのは、抽象的な話しなので、わかる人とわからない人がいる。何の話をされているのかわからないと、聞く気がなくなってしまうんですね。
それと講演内容の全体的な構成を、時々ガイドしてあげることも必要です。
今日は、こんな話しをします。最初はこの話し、次にこの話し、最後はこういう話しをしていきます、と言っておくと、聞く人の心構えができますね。
多少、この話しには興味がないと思っても、次にこの話しがくるぞと思えば、それまでは少し気を緩めて流して聞いておこう、と思うことができます。
しかし、大まかなガイドがないと、この話、いつまで続くんだ、という気持ちになってしまうかもしれません。
だから、今日はおいでいただきありがとうございます。今から始めますが、3部構成になっておりまして、最初は、こんな話し、というふうに話してしまうわけです。
1時間半もあるわけですから、話しの途中でもここまで第1部としてこの話しをしてきました、次に2部のこんな話しに入ります、というガイドをしていくと、なるほどと整理をしながら聞くことができます。そしてどこまで聞いたか、聴衆も整理できます。
少なくとも30分おきに、いまこのあたりを話していますという地図を示してあげるとわかりやすいと思います。
それと、エピソードを話すときのコツは、失敗談を中心に語るようにするということだと思います。なるべく、失敗したエピソード、大恥をかいたエピソード、がいいです。うまくいった話しはあまり要らないと思います。
失敗談のほうが心に残るし、より興味深く、身近に感じながら聞くことができるので、なるべく自慢にならないような話しを多くするのがコツだと思います。
そして最後に、今日は、こういう話しを聞いていただきました、と総括して締める、というふうにしてはどうでしょうか。
(2023年5月23日 掲載)
