第346回「気持ちに強弱をつけるということ」
お父さんがよく気持ちに強弱をつけたらいいとおっしゃると思うんですけど、自分は気持ちに強弱をつけることがすごく下手です。
今の自分は強なのか、弱なのか、よくわかりません。それと、弱にしてはいけないんじゃないか、みたいな気持ちもあります。弱にするのが怖い、と思います。
どうしてそう思ってしまうのでしょうか。やっぱり気持ちの弱も作ったほうがいいですか。
【お父さんの答え】
いや、弱をわざわざ作る必要はないです。
でも、例えば月曜日には、英語でブルーマンデーとよく言いますよね。なんでブルーマンデーかというと、土曜、日曜に遊んで楽しく過ごしたのに、今日からまた学校だよとか、また仕事に行かなきゃ、というのが月曜で、誰もそういうブルーな気持ちになるからブルーマンデーというんですね。あーあ、また一週間の始まりだよ、という気持ち。
そういう気持ちはマイナスな気持ちですが、そういうマイナスの気持ちを絶対に持たないというのはできないですよね。お釈迦様じゃないし、聖人君子じゃないんだから、嫌だなという気持ちになることは誰にでもあります。
たまには、もう疲れたな、というときもある。畑仕事で午前中は草取りだ、午後からも穴掘りだ、なんていうとき、嫌だなと思うときは思ってしまったらいいんです。
いつも元気じゃなくてよくて、午前中で力を使い果たしました、もう午後は休みたいです、と思ったら休んでいいんです。
体力的なことでもそうだけど、精神的にも同じで、何か嫌なことがあったら、いまブルーな気持ちです、というときがあってもいい。
楽しいときは楽しむけど、そうでないときがあってもいいということで、わざわざブルーな日を作る必要はないです。
元気なときは元気を出して、そうでないときは弱ってます、というのを見せても何も問題ないし、弱ってるときは正々堂々、しっかり休む、という意味です。弱みを見せてはいけない、と思わないほうがいいですね。
心が傷んできた子は、どうしても周囲に気をつかって、自分が一家を背負って立つくらいの気遣いをしてきています。だから、自分が弱いところを見せたら、みんなに余計な心配をかけてしまうんじゃないか、とこれまでずっと弱いところを見せないように生きてきています。安心して、弱さを見せて甘えるということができてこなかった、ということなんです。
でも、信頼できる関係の中では、甘えるための甘えはいけませんが、お互いを癒すための甘えはあってもいいと思います。お互いに支え合うという関係では、上下関係を離れて、お互いに弱い時は労り合うことができます。そういうことが自在にできるようになったら、心の傷も回復できているということになるでしょう。
(2023年6月30日 掲載)