連休が終わって明日からまた仕事ですが、自分の仕事が終わってしまったり、何かのきっかけでまた自分が不調になってしまうんじゃないかと不安です。
自分は中身のない空っぽの人間なので、それがバレないように取り繕っていますが、それがバレそうになると、もうどうでもいいという投げやりな気持ちになってしまいます。
どうやって自分をキープしたらいいでしょうか。
【お父さんの答え】
自分が空っぽというけど、性格が良くて、頭が良くて、仕事が早くてとてもいい子だと思っているよ。きっと職場の人たちもそう評価しているんじゃないかな。
それなのに、どうして自分のことを自分で低く評価してしまうのか、ということをよく考えてみようよ。
それは、もっともっと褒めてもらいたいという気持ちの裏返しなんだと思う。
自分は求められたら、精一杯にどこまでも頑張り抜く覚悟があるのに、どうしてそこまで求めてくれないのか、と潜在的に不満があるんじゃないかな。
気持ちが強くて、能力の高い頑張り屋のところがある人は、どうしてもそうなりがちだけど、もっともっと頑張るので、仕事でいい結果を出したら、もっともっと褒めてください、という気持ちが潜在的にあると思う。
思い出してみたらいいけど、子供の時に、親にもっと振り向いて欲しくて学校の活動や勉強を懸命に頑張ってきたはず。それなのに、どこまで頑張っても、もっと頑張りなさいと言われるばかりで、どうにも褒めてもらったという実感がない。愛情が欲しくて、欲しくて、たまらなかったのに、満たされないまま子供の期間が過ぎてしまい、摂食障害を発症した。勉強を投げ出しただけでなく、人生も投げ出そうとした。
そしていまなのはなファミリーにいるわけだけど、なのはなファミリーに来てから症状は治まり、勉強もして、資格を得て、いま立派な仕事に就いている。
どうしてそれができているかというと、ここに来るまで満たされなかったものが満たされたから、と言えるんじゃないかな。
愛情というのは、いつでも「理解し、理解されること」だと言っている通りで、理解されたと感じたから、投げ出したい気持ちをおさめて、真面目に取り組めるようになった。
だけど、その子供の頃の満たされない気持ちは、今もまだ続いているんだと思う。だから、もっともっと理解してほしい、高く評価してほしい、褒めてほしい、という気持ちが強い。
いくらでも頑張るから、もっともっと試練を与えてみてください、という気持ちだね。
それが、仕事でも、まあゆっくりやりなさい、と親切にされると、何かこう自分が低評価されているような気持ちになってしまう。頑張らせてもらえない、ということは自分の能力を低くしか見てもらっていない、と感じてしまう。
客観的に見ると、今の欲求不満的な思いというのはそういうことなんだと思う。
そして自分が空っぽだと思うということに関してだけど、心の深い人というのはどれくらいの深さがあると思う?
そして、空っぽの自分の心はどれくらいの浅さだと思う? ちょっと考えてみて。
僕はこう思うんだ。
心が深いという人でも、その心の深さは、文字数にしたらたぶん便箋の1行くらい。
そして、自分のことを心が浅いというけど、同じく便箋の1行くらいで、ほとんど変わりがない。どうしてそう言えるかというと、心の働きはいってみれば頭で考えることだよね。
人が考えることのできる長さは、1行くらいでしかない。
どうしてそう言えるかというと、将棋指しを例に挙げるとすぐわかる。頭に思い描いた指し手を書いていくと、5六金、同角、同飛車というふうになるけど、もしそれを頭の中だけでメモをとらずに考えていったとすると、1行分も考えたら素人はもう覚えられない。普通の人は、五手か六手くらい先まで考えるのが精一杯だと思う。せいぜい、半行くらいしか読み手を覚えることはできない。
心のあり方もそうで、心の中でいろんなことを無限に考えることができるようだけれども、一度に考えられるのは半行くらいのもの。
何か考えをまとめるときには、文章にすればいいと言われるのはそのためだね。僕もみんなによく、考えるときは紙と鉛筆を持って考えてね、と言ってる。
自分の半行を書いて、また1行を書いて、とやって半ページか1ページくらいになると、それを読み返してみて、ああ自分はこういうことを考えていたのか、とわかることが多い。
だから、心の深さというのは、誰でも1行以内くらいのもので、みんな空っぽに近い。全く嘆く必要がないんだよ。
それを、自分だけが空っぽのように思えてしまうのは、やっぱり愛情欲しさが募っているから、それが満たされないことで、自己否定に走りやすくなっているだけと考えたらいい。
何度もいうけど、やる気のない人はそういうことにならない。やる気があるからこそ、もっともっと責任を負わせてください、そしてもっともっと褒めてください、という気持ちが強く出すぎてしまって、責任を負わせてくれない、褒めてくれない、それは自分がダメだからだと自滅するような崩れかたをしてしまうんだね。
だから、そこをよく考えてほしい。やる気があるために、意識と無意識にズレが出てきているんだと思う。
意識では、超やる気になっている。無意識で、褒めてもらえないことに不安になっている。
だから、意識のやる気を少し落とし気味にして、無意識を不安にさせないようにする、というふうに持っていってはどうだろうか。そこにギャップをあまり作らないようにすると、意識と無意識にズレが起きないから、気持ちが安定すると思う。
そして、ちょっとでも不安があったら、すぐにお父さんとお母さんのところに相談においで。いくらでも、褒めてあげるから。本当に大好きで大好きでたまらないんだよ。ちっとも心配することはないよ。
(2021年5月10日掲載)
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