今回の回復ミーティングでチームで作文の読み回しをしたり、たくさんの人に自分の傷を話す機会も多く得たことで、自分の体験が恥ずかしい気持ちとか、傷を隠したい気持ちがだいぶ減りました。誰にでも話して、知ってもらえることで、すごくみんなとの壁がなくなっていくような感じがある、と思いました。
今は自己否定をする気持ちもなくなり、すごくいいコンディションだなって思ってます。お父さんがミーティングの講義の最後のほうで、人は精密機械ではないので気持ちが落ちることもあるのは当たり前で、ミーティングをしたからといって、ずっと前向きで明るい自分になるわけじゃないって話してくれたのを聞いて、ほっとしました。
自分は考えが0か100になりがちで、一度前向きな気持ちになったら、次に気持ちが落ちたら自分は治ってないんだ、となりそうでした。
それで質問なんですけど、コンディションの波があったとして、気持ちが落ちそうなときに、そういう状態にブレーキをかけるときに何か必要でしょうか。例えば、気持ちが落ちたら、その理由をすぐに考えてハッキリさせ、曖昧に流さないですぐ解決にする、というようなことでいいでしょうか。
【お父さんの答え】
その答えなら、落ちたときの対処法というよりも、もっと本質的なことで考えておくべきことがあるね。
例えばカニの甲羅は硬いよね。カニが成長していくとき、どうやって甲羅を大きくしていくか知ってる? 硬い甲羅は大きくすることができないので、その甲羅を脱いで、脱皮しながら成長して大きくなっていく。だから、脱皮したばかりのカニは甲羅がぶよぶよに柔らかい。僕らは子供の頃、脱皮をしたばかりのカニをブヨガニといっていた。
それと同じで、ミーティングで成長したといっても、古い甲羅を脱いだだけで、まだ新しい甲羅が出来上がっていない。ぶよぶよの甲羅ということ。
つまり、過去の自己否定をしていた自分は、家族との人間関係や家庭の空気感から作ってきた価値観で生きてきた。その価値観では自分の人生は成立しないと挫折感を抱えてしまっているのに、他の価値観を入れることができなかったため、延々とその価値観で捉え続けてしまい自己否定をしてしまっていた。
心の傷を癒すミーティングで今まで囚われていた価値観を理解し、自己否定をしなくなったといっても、新しい価値観が急に出来上がったわけではないので、まだまだ新しい価値観を作っていくのには時間がかかると思った方がいいですよ、ということ。
パソコンで言えば、古いOS(オペレーション・システム)のソフトウェアを捨てて、新しいOSに入れ替えなければならない。その新しいOSはやや未完成だし、まだ自分がそのOSで動くことに慣れていない、ということを自覚したほうがいいということです。
だから、気持ちが落ちたときにどうしたらいいか、と考えるのではなく、新しい価値観はそんなに簡単に気持ちが落ちないようなものを入れる、と考えるべきだよね。
みんなが苦しさを抱えてしまった価値観は理詰めの価値観です。次にもっと大きな価値感を入れようとするとき、あまり理詰めで考えないほうがいい。
意識と無意識があるとすると、意識は理詰めです。人は論理的に根拠を積み上げながら考える。無意識のほうは、理詰めではない。直感とか、第六感というなんとなくのイメージです。そういう感覚を大事にして新しい価値観に肉付けして行く。
人間は時にはヤクザな気持ちを少し持っていたほうがいい、といったりしてきましたが、それは違法行為をしていいということではなくて、論理や常識に縛られない第六感を養っておくという意味です。
意識と無意識では、スケールの大きさでは無意識のほうが大きいと思います。
そういう第六感や、今まで押し込めてきた本能的な発想というのを大事にして、理屈よりも自分の好き、嫌いをハッキリさせながら、自分の新しい価値観を養っていく。
そういうわけで、誰かが決めた価値観に従いながら生きていくのではなく、自分で作っていく新しい価値観の中で自分を活かそうとする姿勢を持つと考えると、これまでとは180度違うスタンスになると思います。
新しい価値観を作ろうとする中で、壁に当たったり、スランプを感じてちょっと落ち込むのはいいと思います。しかし、古い価値観に自分を当てはめて落ち込んでいたとしたら、それは方向が間違っていると考えるべきです。
要は、前を向いて落ち込んでいるのか、後ろを向いて落ち込んでいるのか、そこをしっかり見極めたほうがいいですね。
人は目標を高く持つと、必ず壁に当たります。だから、壁に当たるほうがむしろいい状態で、そこを越えていくために苦労するのはいいこと。前向きに新しい価値観で生きるために落ち込むなら、たまにそういうことがあってもいいのだと思います。
(2023年4月12日 掲載)
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