第41回「子供が苦手」


〈質問者〉

質問

 私は子供が苦手です。あおい君たちが遊びに来てくれた時、
 にぎやかで嬉しい反面、どう接していいか分からず、怖いような気分でした。
 作った態度では見抜かれそうだし、でも話しかけられたら答えないわけにもいかないし……。
 できたら、シスターになりたくないな……と思ってしまいました。
 どうしたら、子供と良い関係が築けますか?

 

〈お父さん〉

答え

 僕は子供が苦手で嫌いです。大嫌いですね。
 子供が好きじゃないのは、子供は野放図だからです。子供は人の気持ちに平気でずかずか踏み込んでくるからです。
 子供はモラルが低い。そういう意味で、正義感正しい僕としては、その正しさを非常にしばしば踏み越えてくる子供が大嫌いです。
 中には子供が好きって言う人いますけど、僕はそういう人の気が知れない、っていうくらい子供嫌いです。

 ただ、子供と接するのは得意かもしれません。本気で接するので。
 ハートピーも、前は初めて来る人が多かったです。
 脳性マヒなどで、身体に障害を持つ子供が親御さんと一緒に来ます。
 いい子供は、それが2歳くらいの人見知りするころでも、僕がだっこしても泣かないですよね。親御さんが「ふつう、知らない人にだっこされたら泣くんですけど」っていうことが多い。
 僕は子供ともわかり合えると思ってる。でも、分かり合えない、しつけの悪い子供は どっか夢の島にでも捨てたいですね。

 はっきりいって、子供には子供の言葉なんて無いですからね。同じ気持ちですから。ただろくでもない子供と、いい子供はいる。自分が心をすまして、この子はどうだろうか、と見たら、そうしたらわかる。
 ただ育て方次第で、いいところが悪くなることもあります。

 こないだ、ここに子供達がたくさん来たとき。お母さんから聞きました。
 お母さんがプールに散歩に行った話。

 かえでが、「お母さん、散歩に行こう」って、ここのすぐ前にあるプールまで行って、手前で済まずにね、奥まで行ってぐるりとプールを一周してきた。奥は鳥に魚をとられないためのネットに引っかかって歩きにくいんだよね。 
 かえでが、「お母さん、こんなに遠くまで来たのは初めてだよ」 そこのプールの奥まで行っただけなんですけどね。
「お母さんと僕だけの思い出だね」って。あの、詩人だなと思いますね。
 あれっぱかりの距離でも、
「こんな遠くまで来たの、初めてだよ」
 あのね、そういう子供はね、嬉しくなりますよね。お母さん、嬉しそうに帰って来て、すぐ僕に言ってましたからね。

 なんか嬉しくさせてくれる。やっぱり本気で、その時、かえでも、お母さんと2人っきりで足下に気をつけながら歩いて、嬉しかった。本気で付き合ってくれて、同じ目線に立ってくれて嬉しかったんだね。
 そういうとき、かわいいな、と思うじゃないですか。

 

〈お母さん〉

 たぶん、いいこととか、悪いこととかじゃなくてね、自分の気持ちと沿ってね、一緒に何か出来たりとかって楽しいし、嬉しいと思うんだよね。
 だから、面倒見ないといけない、じゃないんだよね。
 
 子供の面倒みなさいと言われて、ああ嫌だな、一緒にいないといけない、と思うから余計楽しくないしね。その子がいい子だろうが悪い子だろうがね、自分の気持ちそのまま伝えられたときっていうか、それでそのとき交わした言葉とか遊びとかっていうのはね、双方に通じるみたいなものがあって、なんかほっとしたりとかするんだろうなって思うんだよね。
 
 その子がいい子じゃなくても、必死になって、これしたいってブロックでも作り上げたときの達成感はね、その子が例え意地悪でもね、「やったね」って感じがするしね。

 

〈お父さん〉

 たぶんこの質問をした人ね、子供に対して、大人として接しなきゃいけないと思ってる。 向こうも人間 こっちも人間と思ったら、大人も子供もないんだよ。

 

〈お母さん〉

 相手が子供だからって我慢しないで、怒る。
 自分が大人だからこうしなきゃいけないんだとか、思わないんだよね。

 

〈お父さん〉

 みんなはね、赤ちゃんって生まれてどれくらい経ったら目が見えるようになる、とか聞いたことありますか?
 聞いたことない? 子供産んだことのある人いるよね。どれくらいで見えるようになったの?
 え、1、2歳? もう、歩いてるぞ。見えないのに歩くってないだろ。
 じゃあ半年くらいで見えるようになると思う人、手を挙げて。
 3か月、2か月、1か月、半月、2週間、1週間、1日。
 みんな物知らないだけですね、全部同じぐらい手を挙げてる。
 あのね、赤ちゃんは一般的にはね、1,2か月しないと、2か月くらいしないと、見えないって言われてます。2か月でもぼんやりかもしれない。
 あの、それを知らないと、このあとのことが話にならないんだよね。

 赤ちゃんは、目は開くけれども、ちゃんとものは見えないと言われているんです。
 目の前に出された指を、目で追うようになかなかならない。おっぱい飲んでて、赤い物とか、白い物とか、目で追わない、というのは見えてない。 目が追うようになるのは、完全に1か月以内は追わないですね。2か月くらい経ってもなかなか。

 ところがね、それくらい目が見えないのにね、生まれた直後の1時間くらいは、目が見えるんです。
 生まれたての赤ちゃんを拭いてだっこすると、一生懸命目を開いて親を捜すんです。
 そのときに目を合わしたらね、もう大感動しますよ。
 なんていうか、あ、これが親なんだ! って見たら、安心してまた目をつぶりますけどね。1時間くらいしか見えない。で、生まれた直後は本当に見えてるんです。
 
 また目をつぶって、あんまり、その後は開かないです。
 目をぱちりぱちりしても、蛍光灯や、開いている窓の明るい方を、なんとなく見ます。ぱちりぱちり、と。
 窓が明るくてもそっちを見ない子供がいます。それは目が見えてない子です。
 2か月以上経ってから、目で物を追うようになる。
 それが生まれた直後だけは、親を探すんですよね。目を見開いて探すんですよ。
 親をじーっと見るんですよ。

 もうね、そのとき、自分はこの子の親なんだなあって大感動を味わいますね。
 そういうことがね、子供を育ててるうちにね、何度もあります。
 子供が与えてくれる感動がたくさんあるんです。
 そしたらね、子供が苦手とかいう気持ちはなくなりますね。

 ところが、ところがね、たぶん育児書を片手に子供を見ちゃうと、見えなくなるんです。
 あいこいる?
 それ知ってた? 

あいこ:
 知らなかった。
 1か月は見えてなかった。ほんとに明るい方しか向いてないから。

お父さん:
 ただ、帝王切開なんかだったら見ない。本人が生まれると思ってないから。
 条件のいい時だけ、って言ったほうがいいかもしれないね。
 医者と看護婦が知ってれば、すぐ見せてくれる。知らない人も多いかな。
 生まれたばかりの赤ん坊は、指を握らせてぶらさげると、ぶらさがってくる。
 生後1か月の子供は、落ちる。生まれたときだけは指の力も強い。

 子供を育てて分かったことっていっぱいあります。
 それを、既成概念で子供を見ちゃうと、何も感じなくなるし、何も見えなくなる。
 既成概念で子供を見ようとしたり、接しようとするから、難しくなる。
 世の中には、いい子供も悪い子供もいる。それは知っといてください。
 
 質問に返ると、子供に接するとき、その子に宣言してみましょう。
 いい子じゃない子供は、私は嫌いです。
 あなたは、いい子ですか、それならつきあってあげます。
 そうでなければ、私は子供とは一緒に遊びません。
 こういう態度で接すればいいのではないでしょうか。
 少なくとも、こう宣言しただけで、相手の子はあなたに気を遣ってくれます。









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