今、小説を読んでいます。ちょうど半分くらいまで読んだところですが、読んでいると、読んだ瞬間から読んだ文字が消えていくような感じであまり頭に入ってきません。
読んでいるのに、自分がちゃんと文字を認識できていないんじゃないかっていう不安があって、同じ箇所の何度も読み返してしまったり、ということが多いです。
これについて、お父さんはどう思いますか。
【お父さんの答え】
人には、読書に集中できるときと、集中できないときがあります。心配事があったり、考え事があったりすると、なかなか本に集中できないのも仕方がないです。
心配事に頭がいっているときは、自分の100パーセントの力で脳をフル稼働して物語の世界に入っていくことができません。自分の能力の一部で読んでいるような状態なので、なかなか理解できなくなってしまいます。
そんなふうに頭の能力が悩みのほうに行ってしまっている状態では、テレビドラマを見たとしても、映画を見たとしても、やはり集中して見ることはできないでしょうね。それでも映像と音が目の前で展開していれば、小説よりは見ていられると思います。小説の場合には、文字という抽象的なものを、頭の中で映像や物語として展開しなければならないので、映画を見るときよりも集中力を必要とするでしょうね。
摂食障害の人は、症状が出ていない時でも不安が大きいので、小説が読めない人がほとんどだし、映画も見られない人が多いです。そういうふうに、いつも頭が心配や不安で走ってる状態になっているので、余力がないことがほとんどです。
そういうときには二つ、手があります。一つは、しばらくの間、本は読まないでおくということ。そういう集中力が必要なことは敢えてしないほうがいいでしょう。もっと気楽に過ごして、気持ちをリラックスすることを優先してはどうでしょう。
もう一つの方法は、同じ本を読むにしても、読み流すんです。意味がわからなくてもいいと思って読み進める。集中できたら集中するけど、集中できなかったら何もわからなくていいというふうに、読み流す。
僕は集中できるときでも、例えばトルストイの長編小説だったら最初の30頁か50頁くらいは登場人物の名前さえなかなか覚えられないし、何のことが書かれているかさっぱりわからないですよ。だから面白くもなんともない。それでも、名前は覚えられなくてもいいやと思って文字を追っていくと、50頁を過ぎた頃からようやく物語の入り口が見えかけてきて、やっと興味が出てくるという感じです。50頁を読み流せなかったら、面白くなくて1冊も読めないです。
そういうふうに、面白くなるまでは理解できてもできなくても読み流す、という読み方もあると思います。
ただ、どちらかというと今の状況からすると質問者の場合にはひとまず小説は置いて、日々の生活を楽しむほうを優先したほうがいいように思います。心身が充実してきたら、もっともっと小説も楽しめるようになるはずです。そうなってから、また本を手に取ってみてください。
(2023年6月17日 掲載)
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