6月4日のなのはな
手植え 対 機械植えの勝負、果たして結果は……。
心地よく晴れた、田植えに打ってつけの日和。光田んぼ上下、池下田んぼの手植えを、家族揃って行いました。
はじめに行った光田んぼでは、上下の田んぼで、手植えと、お父さんの田植え機での田植えを競いました。
一列になって、畔から田んぼへと足を踏み入れます。足が抜けなくならないようにするコツは、親指から泥に入ること。抜き足、差し足。田んぼに足跡をつけすぎないように、そろりと一歩一歩を動きました。
あゆちゃん、なるちゃんが左右から水糸を張ってくれていて、その水糸に等間隔についている玉の、真下に苗を植えていきます。
光田んぼ上は紫黒米で、3本ずつ植えます。あゆちゃんがはじめに、植え付ける方法を実演してくれました。3本指で稲を掴み、第1関節と第2関節の間くらいまで、泥に差し込む。そしてその指で泥を稲に寄せる。この動作の繰り返しです。
手植えはできる限り手早く行います。いつものように、タイマーを持ったお母さんが、畔から秒数を測って、合図をしてくれました。
「スタート!」
お母さんの合図で、対決の始まり。お父さんの田植え機は、規則正しく、滞りなく、「カチャコンカチャコン」と、どんどん進んでいきます。私たちは、お父さんに負けないように、水糸を張った1列を一斉に植えていきました。
稲を約3本ずつ千切りとり、植える。それぞれができる限りの速さで、自分の範囲を植えます。水糸の玉の真上から見て、その真下に稲を植えて、一直線に稲が並ぶように、意識しました。
「5、4、3、2、1、ピピーッ」
お母さんの合図で、あゆちゃんとなるちゃんが、水糸を次の列へ移動させてくれます。「OKです」とあゆちゃんが合図をして、お母さんのスタートの声。
はじめは15秒くらいで、慣れてくるごとに秒数が縮まっていきました。ここが限界、というところでは、終わりの合図で植えきるか、植えきらないか、ギリギリの絶妙なタイミング。決して植え損じがないように、真っすぐに綺麗に植えられるように、必死でした。
稲が手元に無くなってくると、「苗、くださーい!」と、畔のひでゆきさんやりゅうさんに声をかけます。
ひでゆきさんたちが畔から、新しい苗を水面へ投げてくれました。時には、勢いよく飛んできて、泥飛沫が上がります。そんなときは、列のどこかから、声が聞こえてきました。
必死に植えていると、なぜかお父さんの声が。
「機械植えは、半分進んだよー」
と余裕の声。私は余裕がなくて、顔を上げられなかったのですが、どうやら、田植え機を降りて、光田んぼ上の畦まで、お父さんが様子を見に来ていたそうです。
それには、お母さんやあゆちゃんが悔しいと口にし、みんなを鼓舞する声にも力が入りました。私も、様子を見に来るくらい差がついてしまっている、というのは悔しくて、できる限り速く植えていけるように、頑張りました。
お母さんの合図に従って、無心で植えていると、気づけばすぐ近くに、対岸の畦がありました。最後に行くにつれて、田んぼの幅が狭くなっていったので、最後はどんどん詰めて、みんなの間隔が縮まりました。
もう少し。後は三角のゾーンを、奥側のみんなが植えきったら完了。自分の植えられるところは終わって、下の田んぼを見ると、お父さんが最後の外周を植え進めていました。
淀みなく進んでいくお父さん。けれど、こちらはあと一息で終わりそうだ……!
「終わった!」
先に終わったのは、なんと、手植えのみんなでした。その差は僅か、田植え機の約5メートル分。あんなに負けていたと思ったのに、いつの間にかみんなが追い上げて、最後には機械に勝ちました。
みんなの手植えが、機械植えに勝てたことが、すごく嬉しかったです。お母さんも、嬉しそうに、「みんなで万歳しよう!」と声をかけてくれて、みんなで万歳を三唱しました。
お父さんは、少し悔しそうだったけれど、その一方で嬉しそうでもあり、みんなにとって喜ばしいことだったと感じました。
光田んぼ上を終えて、その勢いで池下田んぼの、うるち米の手植えも行いました。
池下田んぼは、光田んぼ上を終えたあとでは、かなり小さく見えました。列の幅も狭かったので、1列、約5秒。どんどん進み、あっという間に岸へ到着。そんな印象でした。
9時半から光田んぼを植え始めて、2枚の手植えが終わったのは、11時半ごろ。お昼まで1時間ほど余裕を持って終えられて、今年は最速だったかもしれない、というくらい順調でした。
水路で泥を落としていると、お母さんが、
「みんな、洗ったら上に上がっておいで。池からデュランティ畑が見えるよ」
と呼び掛けてくれました。
池下田んぼから坂を上がって、見渡す梶谷池。秘密の場所のように、目の前に広がる緑の水面。池を囲む鬱蒼とした木々。対岸の木の合間に、こんどから、新しく私たちが手入れをする、デュランティ畑の赤い土が覗かれました。
お父さんが、桟橋をつけて、船で渡っていく特別なレストランを作りたい、と思うような場所だよ、と話してくれた畑。本当に、レストランを作りたい、と感じるくらい素敵だったなと思います。
手植えした田んぼを見下ろすと、まっすぐに並ぶ稲の苗。今年も豊作になりますように。
みんなで手植えができて、嬉しかったです。
(りんね)
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6月に入り、畑も夏野菜に移り変わっています。夏野菜の王道、ピーマンがいよいよ、定植のときを迎えました!
雨前に立てた支柱が整然とまっすぐ立ち、畝の上は何もないまっさらな土。
今にも、ピーマンが植わるのを待ちわびているように感じました。
4月から芽だし、種まき、育苗管理をしてきた苗たちは、とても立派で元気な苗に育っています。
それは紛れもなく、まだ小さな種の時から、水やりや、虫退治などの手入れをみんなでしてきたおかげだと思います。
定植には、初めにお父さんが来てくださって、やり方と定植の進め方を教わりました。
まずは大人数のみんなで、植穴をすべて開けてしまいます。同時に燻炭を穴に入れる人、仮支柱の篠竹をさす人と、ここからは同時並行で進めていきます。
力と時間のいる作業は全員で行い、そこからは他の工程を同時進行することで、誰も手の空かないスムーズな作業をすることができました。そして、同じ人がずっと手を止めずにひたすら同じ工程ができるよう、微妙に工程をずらしながらやるのが大切だと感じました。
それから、お父さんから教えてもらった定植の進め方で、午後3時半を終了目標とし、みんなでスピード感ある良い作業ができて楽しかったです。
とにかくある程度進んだら、次の工程へ行く人をつくり、流れ作業で行いました。
植え付けから追肥までは1時間で終わり、ピーマンがちゃんと立つよう誘引をしました。
このとき、首絞めにならないよう、きつすぎず、ゆるすぎず、ほどよい感じで結ぶことを伝えると、同じ加減でしてくれて、どの株も倒れる心配がなくてよかったです。
最後に、エンジンポンプで水やりをしつつ、ネキリ虫対策用の草敷きをしたら、定植のフィナーレです。
草敷きは、加湿を防ぐため、薄めにしいて、枯れたら取り換えて、小さな苗たちを守る大事な役割を担っています。
こうして、畑に無事、約600株のピーマンが植わりました。
畑に植えられたピーマンが開放的で気持ちよさそうにみえました。
これから半年間、みんなとたくさんのピーマンがとれるよう、しっかり手入れしていきたいです。
また、今回で得た定植のやり方、進め方、改善点を、次回、ナスやゴーヤなど植えるときの参考にし、より楽しく、効率のよい作業ができるようにしたいです。
(さき)