5月14日(火)「山小屋と桃横畑の、ウリ科野菜たち & あの冬越しサツマイモ苗の結果は……」

5月14日のなのはな

 山小屋の畑で育てているカボチャ。
 この日は多人数で、カボチャの手入れに行きました。

 昨日進めていた追肥と、虫除けのあんどん立てをしました。
 ウリ科にくるウリハムシは、横方向には飛べるけれど降下は出来ないという性質があるようで、あんどんが有効的だそうです。
 前日に、先駆けてこの作業をしていたメンバーが流れを作ってくれていて、篠竹を置いて行く人と、あんどんを置いていく人、あんどんを立てて行く人に分かれて進んでいきます。
 分業制にすると本当に効率よく進んで、あっという間に、3枚の畑にあんどんが立ちました。

 

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 この日は多人数だったので、山小屋のズッキーニに追肥するチームも作りました。
 ズッキーニも大きく成長していて、蕾がちらほら見え始めていました。

 

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 山小屋の畑は距離的になかなか気軽には来れない畑なので、来る度にしっかりと手入れすることを心掛けたいなと思っています。
 この日も、たっぷり追肥、中耕して土寄せすることが出来て、株も喜んでいるように感じられました。

 

 そこからは古吉野へ戻り、桃横の畑に移動して、カボチャに追肥しました。
 この畑では、株周りと畝周りに追肥して、そこから株周りだけ中耕して、まんじゅう型に土を寄せていきました。
 前回、植え付けで、直径が小さめのまんじゅう型にしてあった周りに、ぐるりと肥料を埋め込んで、根が張ったときに養分が吸えるような、直径1メートルのまんじゅう畝にしました。

 

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 広い畑で時間がかかるかなと思っていたのですが、15人も人がいると、次々と大きなまんじゅうが増えていって、やっていても見ていても楽しくて達成感がありました。
 コツは、畝の周りをくるくると回りながら土を寄せて行くことです。
 水が溜まらない、なだらかなラインを意識して作ると、本当に綺麗な水まんじゅうのような畝が出来るのが楽しかったです。
 この畑は道沿いにあって、車からこの畝がよく見えそうだなと思います。
 ミステリーサークルみたいでUFO畑なんて付けられそうだね、なんて話しながらみんなと作業しているのも、なんだかわくわくしました。

 

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 この日は、ぴかぴかとよく晴れていて、動くと暑くて夏のようでした。
 みんなで汗をかきながら農作業をするのは、本当に楽しくて、多人数での作業が嬉しかったです。
 植え付けてから、日に日に葉が大きくなってきています。これから追肥が効いて、もっとよく育ってくれたら良いなと思います。

(まなか)

 

***

 

「そういえば、冬越しサツマイモの苗はどうなったんだ?」
 そう思っていた人、いませんか?
 実は……! 上手くいきませんでした。

 振り返れば、バレンタインデー。電熱ケーブルを引いた、温度管理がされた苗床に植え付けたのは、昨年に収穫したサツマイモのつる。冬の間、ビニール袋に入れて、15度以上の室温で保存した、その名も“越冬サツマイモ苗”は寒い寒い冬を乗り越えて、腐ることなく、そのままの状態で保存され、越冬は成功しました。

 その苗を再び植え付けて、そこからまた茎や葉が茂ったら、今年の夏はサツマイモの種芋を使うことなく、昨年の蔓だけで、再びサツマイモが収穫できる!
 そんな夢をみて、初めての試みに挑んだのは、やよいちゃんをリーダーとする、畑「ビジセブンチーム」の7名。バレンタインデーの日に越冬苗を植え付けて、毎日毎日、苗床ハウスに足を運び、温度管理と水やりに徹しました。苗たちの少しの変化にも過敏になり、「頑張れ、頑張れ」と応援もたくさんしました。

 

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〈11月から保管、冬越しをさせたサツマイモの苗と、植え付けの様子(2024年2月14日)〉

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 けれど、植え付けたときから何の変化も見せない、越冬苗。わたしたちの努力と祈りはサツマイモにはなかなか届きませんでした。このままでは、今年のサツマイモが植え付けられないかもしれない。今の時期にこの状態であれば、5月の植え付け時期に間に合わないかもしれない。お父さんもみんなも大好きなサツマイモが穫れない秋なんて考えられない。数々の不安が頭に浮かんで、毎朝チームのみんなとハウスで顔を見合わせるたびに、そろそろまずいかもと危機を感じ始めました。越冬苗を諦めるのは惜しい。でもこのままでは今年のサツマイモが危機に瀕してしまう。

 そして、チームのみんなと悩みに悩んだ結果、最終手段として、越冬苗の間間に予備で保管しておいた種芋を伏せ込むことになりました。
 種芋の伏せ込みをした次の日。苗床ハウスに行くと、びっくり! 越冬苗から、新芽が出ているではありませんか! 伏せ込みをした次の日に新芽が出てくるなんて、それもあんまりな話ではありますが、越冬苗から新芽が出てきてくれたのはすごく、すごく嬉しい。チームのみんなと大いに喜びました。

 

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 伏せ込んだ種芋は、すっごく順調に育ちました。1株から芽が出たら、「僕も僕も」と言うように、次から次へと新芽が伸び出して、見る見るうちに葉が茂りました。水やりの頻度と温度管理はこまめに気にかけ、サツマイモが育ちやすい環境になるように徹しました。5月に入ってからは、苗床の土が見えなくなるくらい葉が青々と茂って、今年の伏せ込みからの育苗は問題1つ起きず、大成功でした。
 そのなかに、越冬苗の蔓たちも密かに交じっていることを信じて。

 霜の心配もなくなるゴールデンウィーク明け頃に第1弾の植え付けを予定して、畑の準備を進めました。畝立て、マルチ張りまでを整えて、雨後で畑が乾いた今日の午後にいよいよ決行しました。ビジセブンみんなが待ちに待った植え付けです。昨晩から植え付けの作戦会議も綿密に練りました。

 古畑ハウスに入ると、2枠の苗床に茂った葉と蔓で視界が青くなるほどです。今年の蔓は茎がしっかりとしていて、葉は艶々としていて、本当に美しい苗が育ちました。茂った蔓をかき分けるようにして、蔓を12センチ前後、節の数3~4節をとってカットしていきました。こんなに美しい苗を畑に植え付けられることが、チームメンバーの一人として、とても嬉しかったです。

 

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 畑では、先行して、マルチに40センチ間隔で穴を開けていきました。こちらはスピード重視。昨年にお父さんに教えてもらった方法で、あっという間に畑一面に張ったマルチに植え穴を開けることができました。

 しばらくして、苗カットを終えたみんなが畑に合流して、いよいよ全員で植え付け開始です。2枠の苗床から確保できたのは、4つのたらいにギュウギュウに詰まった蔓。それらを1本ずつ、植え穴に差していきます。

 サツマイモの植え付けで欠かせないアイテムは、篠竹。篠竹を植え穴に深く差し込んで、引き抜くと同時に蔓を差し込むことで、長い蔓も土深くに植え込むことができます。もう、なのはなでは恒例となっている方法ですが、これは本当に画期的だし、何よりも他の野菜の植え付けと変わっていて、楽しいです。シュルッと差し込んで、土にしっかり深く刺さったときが快感です。

 

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 植え付けたら、続くは草敷きです。防草目的で敷いた黒マルチは光を吸収して、そこに触れた苗がマルチ焼けをしてしまう危険性があります。それを防ぐために、苗とマルチが接する部分に枯れ草を敷いていきました。

 最後に、みんなで水やりを行いました。この日は最高気温が27度で、作業をしている自分たちも太陽の熱さにやられてしまいそうなくらい、体感としても暑い日でした。人間の自分たちがそうであるくらいだから、幼い苗はもっと暑そうです。植え付けた穴にしっかり染みこむように丁寧に水やりをしてやると、水をぐんぐんと吸って、嬉しそうでした。

 

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 作業完了! というところで、畑にお父さんがやって来ました。
 わたしたちが植え付けた苗を見て、お父さんはびっくり。
「植え付けが浅すぎる」。3~4節でカットした苗ですが、場所によっては土の中に埋まっているのが1節だけのものがありました。これではサツマイモが育たない。サツマイモは節に芋がなるのに、土に埋まった部分が1節で、地面から出ている方が3節だったら、どこに芋がなるの? 植わった部分と地面から出る部分がせめて逆であるべきで、本来であれば1節も出さないくらい、深く植えてやらなければなりませんでした。地面から出る茎の部分は枯れるだけです。

「これは残念だな。これではサツマイモが不作になってしまう」。お父さんから厳しく言ってもらいました。サツマイモが不作になってしまうと、落ち込んだわたしたち。でもお父さんが、「1つ、望みはある」と希望を教えてくれました。それはというと、1節しか地面に埋まっていないサツマイモがこの状況に危機を感じて、早く子孫を残そうとして、ボンボンと大きくてぷっくりした芋をつけるかもしれない、ということ。ジャガイモでいうと、いくつも出てきた芽を3本に絞って、1つの芋に栄養を多く行き届かせて、大きなジャガイモに実らせる、「芽かき」と同じことです。芋の数は少なくなってしまうかもしれないけれど、1つが大きな大きな芋になるかもしれない。失敗が新たな発見になるかもしれません。第1弾の芋掘りはそこをしっかり見てみたいです。

 でも、失敗は失敗。浅く植えてしまったことを反省として心に留めて、第2弾以降は節がしっかりと地面に埋まるように、植える角度も臨機応変に頭を使って、中サイズの芋が鈴なりになるような植え方をしたいです。

 

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 今、生育している苗床から8割ほどカットしたものを畑に植え付けてみたところ、畑の面積の約3分の1の範囲、株数でいうと、約800株の苗が第1弾として植わりました。このあとも、苗床の苗が茂り次第、第2弾、第3弾……と順に植え付けていって、この夏は2枚の畑でサツマイモを育てる予定です。そのためにも一度、苗床をリセットするつもりで追肥をしていきたいと思いました。

 そしてこの夏、サツマイモを育てる上で、チーム内でモットーにしていることは、水やりです。灌水に頼らずに、ホースでの水やりに徹します。前作は水不足で不作になってしまったサツマイモですが、暑い夏こそ、水やりをいっぱいして、大きくて太った芋が豊作になるように、これからチームのみんなとサツマイモを育てていきたいです。

「ふーん、越冬苗は上手くいかなかったけれど、無事、今年もサツマイモは植え付けられたんだな。でも植え付けはちょっと失敗したんだな」
 読者のみなさん、なのはなのサツマイモはここまで数々のドラマがありましたが、サツマイモ1つでこんなに語れるくらい、畑ビジセブンには思い入れの強い野菜になりました。昨冬からの畑ビジセブンメンバーの心配と冷や汗と、笑いと喜びの詰まった、サツマイモ。これからもみんなと見守っていくから、よろしくね。わたしたちも手入れを頑張るから、元気に育ってね。

(るりこ)