「『極北に駆ける』」 りんね

5月12日

〇母の日

 今日は母の日でした。

 お母さん、いつもありがとうございます。お母さんの子供になれて、本当によかったです。
 何度も同じことを書いてしまうけれど、去年のウィンターコンサートで、お母さんが一人ひとり、『オブリブオン』か『ホワイト・フラッグ』の和訳の朗読を聞いてくれたことが、印象に残っています。

 私は『ホワイト・フラッグ』の朗読を、応接室で1対1で聞いてもらいました。お母さんは、妥協せずに向き合ってくれました。生半可ではない過去を、全部受け止めてくれました。自分以上に、自分の経験の重さを受け止めてもらったことを感じました。
 誰かから、こんなに深く、真正面から向き合ってもらったのは、生まれて初めてだと思いました。
 お母さんが忘却の力になってくれたから、私は過去と決別することができました。お母さん、お父さん、なのはなファミリーに出会って、私は紆余曲折を経て、迷惑もかけてしまったけれど、人生を救われました。
 どんなに未熟でも、お母さんがずっと信じ続けてくれて、前向きな方へ導き続けてくれました。本当にありがとうございます。
 これからも、間違ってしまうことも多いと思うけれど、諦めずによくなっていけるように成長し続けたいです。お母さんの仲間として、誰かを守れる存在になれるよう、頑張ります。これからもよろしくお願いします。

〇桃の摘果

 桃の摘果を進めています。
 今日は雨の中でしたが、かっぱを着て摘果を進め、1巡目を終えて、2巡目に入りました。本当は、雨の日は桃の木の下の地面を踏み固めたくないけれど、そうは言っていられないくらい、急ぐ必要があることを、あんなちゃんが話してくれました。2巡目を16日までに終えて、3巡目をそこから数日で進めたい、ということでした。
 もう最終的な実の数になっていくので、後戻りできないけれど、スピード感も必要で、1巡目よりも2巡目はかなり緊張しました。
 私は、焦ったら必ずやらかします。落ち着いた心持ちで、なるべく素早く、いい実をつけられるイメージを持って、粘り強く、これからも摘果に向かって行きたいです。

〇極北に駆ける

 植村直己さんの、『極北に駆ける』を読みました。グリーンランドの北部、シオラパルクというイヌイットの村を拠点に10か月を過ごし、中には3千キロの犬ぞり旅もした記録でした。
 植村さんの人柄が、とても好きだと感じました。世界中、どこへ行っても人に好かれて、家族のように温かい関係を持つことができて。そして、純粋な好奇心や冒険心、キラキラした原動力となる気持ちに満ちていて。

 私は、植村さんのような純粋なキラキラとした原動力となる気持ちを持てていないと思いました。日々の生活の中で、認められたいとか、自分のため、という気持ちがどこかあって、それはあるべき心持ではないな、と感じます。まだ、どこまでも純粋に物事に向かう気持ちの持ち方が、分かりません。
 でも、植村さんは本当に持っていたことは分かります。持っていたから、前例のない単独での犬ぞり旅を成し遂げられたし、その上で、嫌味がなくて、現地の人々に愛されて、人間味の濃い日々を送れたのだと思います。

 そういう気持ちの持ち方が、きっとあるんだ、ということが、希望に感じられました。私も、自分の認められたい気持ちから完全に離れたところで、物事に向かい、目の前の人を大切にして生活することが、できるようになりたいです。

 本を読んでいて、イヌイットの人々も、利他心の塊だと思いました。犬ぞり旅で訪れる村々では必ず、見ず知らずの旅人に対し、見返りを求めずに歓迎していました。
 マイナス30度以下、という極地の厳しい環境で生きていると、人は助け合わなければ生きていくことができないから、自然とそんな風に、利他的になっていくのではないか、と感じました。

 その一方で、外からの文明が入って来たことで、簡単にお酒に依存して、生活が堕落してしまうイヌイットも多いことが書かれていました。アザラシやクジラを追い、狩人として生き生きとしている姿、お酒に依存して朦朧とした目をしている姿、どちらが本当の彼らなのか分からなくなることがある、と書かれていました。
 それを読んだとき、人間というものは、生きる厳しさから逃げる手段を見つけたとき、簡単に堕落してしまうのだ、と思いました。
 私は、もう二度と人として堕落した姿にはなりたくないです。人間としての誇りを持って、生き続けたいです。

〇弦の張替え

 先日、お父さんが購入してくれたギターの弦を、張り替えさせてもらいました。
 さやねちゃんが発表会に出るメンバーに呼び掛けてくれて、必要な道具や、指板に塗ることのできるレモンオイルも用意してくれて、思い切って弦の張替えをすることができました。

 今までにも何度か行ってきていたことですが、自分で弦を張り替えることができるのは、嬉しいなと思いました。でも、張り替えた弦を調弦するとき、すごく張りつめなければいけないので、弦が切れるんじゃないか、という、風船を割れる寸前まで膨らますような怖さがあって、ひやひやしました。

 無事に6本張り替えられて、音を出してみると、太くてキラキラした、ものすごくいい音がしました。展覧会での発表前に、弦の張替えをさせてもらえたことが、ありがたかったです。

 また、近々、お父さんに発表する曲目を聴いてもらう時間があることを、さやねちゃんから教えてもらいました。最近は母の日の近くに発表する予定の、『マザー』一本で練習していたので、思いがけず、ドキリとしました。
 今晩、少し練習して、後は今できる精一杯で、みんなと演奏に向かいたいです。