4月29日のなのはな(前半)
2024年 山小屋キャンプ 3日目
【急遽、ナスの植え付けへ! & 新聞紙ファッションショー】
キャンプ3日目の朝。天気予報が変わり、午後から雨が降る、とのこと。雨が降る前にナスの植え付けを終わらせるために、お父さんと、9人のチームで、作業に行きました。
お父さん先頭で、山小屋から古吉野へと車を走らせました。このキャンプで、山小屋からたくさんのパワーを吸収してさらに強くなった私たち。時間は限られているけれど、私たちなら絶対に終わらせられると、車の中は前向きな緊張感で満ちていました。
古吉野に着いたら即、荷物を降ろし、帽子と長靴の畑スタイルになって、カチカチ大の畑に出発です。
カチカチ大の畑に着けば、膝くらいまでの高さがある超高い畝が並んでいした。畑の3分の1の畝立てが、まだ残っています。畝立てが大好きな私は、心が躍りました。
先に着いているまえちゃんが、畝立てを進めてくれています。私たちもはやく合流しようと、気持ちが引き締まりました。
最初は、1区画に1人ずつ入って、畝立てをしました。深く耕された土で、土を畝にあげ放題。めっちゃ、楽しい。楽しいけれど、なかなか進まない。畝が長い! 楽しいけれど、なかなか進まないのがもどかしい。
そう思っていたら、お父さんが、「良いことを考えた」と、私たちを呼びました。お父さんの教えてくださった畝立ての方法は、私が今まで持っていた畝立てへの固定概念が覆されるものでした。
4人グループを作ります。1人目は、超おおざっぱに、土をあげます。2人目も、おおざっぱに土をあげます。3人目も、残った土を、おおざっぱに畝にあげます。ここまででも、畝の形ができています。4人目が、仕上げで、さっさっと、残った土をあげて畝を整えます。
お父さんのお話を聞いたとき、「楽しそう!」と言って、わくわくした気持ちになったのですが、実際にやってみると、かなりきつい。これは筋トレだ。いや、サーキットトレーニングだ。サーキットトレーニングの腿上げ2分間を繰り返ししているような感覚です。
しかし、めっちゃ、速い。1人で畝立てしていたときの何倍も速いです。そして、きついけれど、それがまた楽しい!!
4人並んで、サッサッサッサッと、同じリズムで、まるでダンスのように、そろって鍬を動かしていると、口がにやけてくるくらいに、楽しいです。お父さんが、この方法だと、1畝が2分でできていると、話してくださいました。
慣れてくると、やりながらニヤニヤしてしまうくらいに、楽しくなってきて、4人の動きも、ステージのパフォーマンスとして出来そうなくらいにシンクロしてきました。お父さんが、「4人ともプロになってきたね」と言ってくださり、とても嬉しくなりました。
私は、4人目の、最後の仕上げ担当でした。最後の1畝、きついけどあと少しだ! と思っていたら、ももちゃんが、「あと2メートルだよ!」と声をかけてくれて、まるでフルマラソンのゴールを走っているような気分でした。終わったときは、「やったー!」と、手をあげて喜びました。ランナーズハイならぬ、畝立てハイになっていて、もっと畝立てがしたくて、終わるのがさみしいくらいでした。
ゲームのように楽しく、でも質高く速く畝立てができました。超スピードだけど、まっすぐで高い畝をたてることができました。4人で、身体の負担も分散されます。お父さんが、これからの野菜の畑はすべて高畝にしたいと話していたので、これから、この方法で畝立てをできることが、とても嬉しいです。
お父さんが、「この方法だと、良い意味で個性が打ち消されて、畝が均一な仕上がりになる」と、話してくださいました。畑を見れば、まったく同じ形の畝が並んでいました。
お父さんのお話を聞いて、確かに、1人での畝立ては、大きな芸術作品を作っているような楽しさがあるけれど、悪い意味で個性が出やすいなと思いました。お父さんが、私は、土を深く削る傾向があると、教えてくださいました。
また、この方法では4人の役割分担も大切で、1番目から3番目に土をあげる人は、こだわりがなくて仕事がはやい人。パワフルに猛スピードで土を上げる、なつみちゃんが本当に格好良かったです。
一番最後の4番目は、まりのちゃんと私。まりのちゃんと私は、土を深く削る傾向があるそうです。丁寧だけどスピーディーに、畝を整えるまりのちゃんを見て、私も少しでもまりのちゃんの動きに近づきたいと思いました。
こんな風に、それぞれの特性を活かすことで、仕事は効率が良くなるんだと、思いました。
畝立てが終わって、ナスの植え付けに入ってからは、仕事は一瞬でした。私は、まえちゃんとペアになって、猛スピードで苗を畝に置きました。それを追いかけて、みんなが猛スピードでナスを植え付けます。全ての苗を置き終わったころには、もう植え付けも終わりそうで、苗のポットの回収をして、顔をあげれば、畑一面に、整然と、ナスが並んでいました。
植え付けたナスは、約1000株。時間は、12時40分くらい。10時半過ぎに作業をはじめたので、作業時間、約2時間。9人で、この高い畝を立てて、ナス1000株の植え付けを2時間で終わらせたんだと、自己肯定感でいっぱいになりました。
古吉野に帰ったら、山小屋でキャンプの片付けをしていたみんなも帰ってきて、お互いに「お帰りなさい」と言い合って、とても安心した気持ちになりました。その後で、みんなで食べる昼食のぼたもちの美味しかったこと! 小腸が大喜びでした。
今日のなのはなを書いている今、太ももと腕と腹筋が筋肉痛ですが、この筋肉痛も、ナスを守るためにみんなで頑張った勲章だと、嬉しい筋肉痛です。みんなの気持ちがいっぱい詰まったこのナスの畑で、美味しい実がたくさんなりますように。
(えつこ)
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昆虫ファッションで、美しく生き残れ!
山小屋キャンプ3日目の午後は、新聞紙ファッションショーを行いました。
テーマは「昆虫ファッション」。オープニングでは、色鮮やかな昆虫に扮した実行委員さんが、原始的な雰囲気のある、昆虫ダンスを披露してくれました。
哺乳類よりもはるかに長く、この地球に命を繋ぎ続けてきた昆虫。その種の数は約100万種で、地球上の生き物の半数を占める割合を持っている。そんな昆虫の要素を取り入れて、美しく現代を生き残れるような、ファッションに昇華させよう。
さらに今回は、昆虫の美しい色合いや奇抜さを表現できるように、新聞紙だけでなく色画用紙、色紙、ストローやモールなど、特別アイテムも用意されていました。
チームは、ゲストの相川さん、大竹さんの男性チームも含めて全7チーム。制作時間は約2時間です。一体、どんな昆虫ファッションが生まれるのか、ワクワクした気持ちになりました。
私は、かにちゃんチームで制作を行いました。
山小屋キャンプの準備期間が忙しかったこともあり、チームメンバーが揃ったのは、この本番が初めてでした。
楽しみな気持ちと、制限時間内にいい衣装を作り上げたい、という緊張感を併せ持ちながら、メンバーで円になって作戦会議をしました。そこでかにちゃんが、昆虫を「オオムラサキ」にするのはどうか、と提案をしてくれました。
日本の国蝶でもある「オオムラサキ」。オオムラサキは、宇宙を思わせるような深い青紫と、外側には鮮やかな黄色い斑点模様のついた羽を持っています。ぱっと見るだけで美しいな、と心を打たれるようなオオムラサキは、その大きな羽で羽ばたいて、スズメバチなどの外敵を退けながら木の蜜を吸う、という強さも持つ蝶だと教えてもらいました。
そして、かにちゃんが新聞紙ファッションショーが始まる3分前に描いた、というイメージスケッチを見せてくれました。そのスケッチを見た瞬間、チームのみんなから感嘆の声が零れました。
オオムラサキの重厚な美しさが、幾重にも重なるフリルのスカートや、肩飾りの蝶の羽で表されていました。女の子なら、誰もがときめくような蝶のプリンセスのようで、是非、これを実現したいという思いがこみ上げました。
メンバーの中で、きっとこの衣装がよく映えるだろう、という、あやちゃんがモデルさんに決まりました。
制作は、かにちゃんが土台や全体を見て、スカートを作るチームと、肩の羽飾りを作るチームとに分かれました。
私はりなちゃんと、肩の羽飾りを作らせてもらいました。羽飾りの作り方は、はじめに原型をかにちゃんから教わって、作りながら自分たちで工夫をしていきました。
原型の作り方は、新聞紙を三角に折って、底辺と垂直方向に、じゃばらに折り、底辺をホッチキスでとめます。広がっているほうの辺を、なだらかな曲線に切ると、蝶の羽に見えるようになりました。
新聞紙2枚を繋げた大サイズと、1枚の小サイズ、そして青系の2色の画用紙、と作りました。作りながら、りなちゃんがホッチキスでとめた後、両側に三角の折りこみをつけると、更に羽が広がって美しく見えることも見つけてくれました。
途中、隣の教室で制作をしている、まみちゃんチームのなっちゃんが、色紙の物々交換に来てくれました。まみちゃんチームでほしいのが、ピンク系の暖色で、私たちは青系の寒色が欲しかったため、お互いに助かる関係でした。
時間に追われながら、必死で制作をしている中も、隣チームと助け合える関係でいられることに、心の片隅が和みました。
私たちのチームからも、いつの間にか誰かが物々交換を他チームからしてきてくれて、コンサートのチラシを持ってきてくれました。そのチラシが、2022年のスプリングコンサートのもので、宇宙の背景が、オオムラサキの青紫色そのもの、と感じました。
チラシでも飾りを作って、胸元や頭の飾りなどにすることができました。
制作をしていると、時間が矢のように過ぎていきます。気づけば残り30分。モデルさんのあやちゃんに羽やスカートを取り付けなければなりません。
細かいことは取り付けながら考えよう。大急ぎで、羽の肩飾りを取り付けていきました。
取り付けていると、新聞紙2枚で作った羽が、予想以上に大きかったことを感じました。かなりボリューミーで、重みもあるものになったけれど、折りこみを付けながら取り付けていくと、羽がしっかりと立って、広がってくれました。
肩に大小2枚、背中に大2枚、胸元に色画用紙2枚、というありったけの羽をつけて、同時に、かにちゃんたちが幾重にも重なったじゃばらのスカートを取り付けると、あやちゃんが蝶のプリンセスに変身していきました。
仕上げには、青紫のチラシで作った飾りを、胸元や背中、頭につけたり、つばめちゃんが作ってくれたバラの花を飾り付け、頭には触角もつけられました。
最後の最後、各パーツが組み合わさると、あっという間に1着のドレス衣装になっていったことが、魔法みたいだと感じました。
正直、作っている最中は誰もが必死で、心の中では生きた心地がしないくらいだったけれど、無事に時間内に、オオムラサキのドレスを作り上げることができて、ほっとしました。
お姫様のお付きのように、1人がスカートの裾を持ち、2人が左右から羽を支えて、会場の体育館まで、チームのみんなであやちゃんをエスコートしていきました。
レッドカーペットの後ろのパーティション裏へ行くと、すでに控えている他チームのモデルさんたちもいました。発表まで、じっくりとは見ないようにしようと思いつつ、華やかなみんなの姿に、心がときめきました。
いよいよ、各チームの衣装をお披露目する、ファッションショーが始まりました。
1チームずつ、レッドカーペットをモデルさんが歩きます。ホウセキゾウムシ、ホタル、サナギパトラ、ビワハゴロモ、オオムラサキ、カブトムシ、ミラースパイダー……。
打ち合わせたわけではないのに、全チーム、テーマとした昆虫が違っていて、衣装も様々でした。
すにたちゃんのホウセキゾウムシの衣装は、青い宝石のような飾りが散りばめられて、すにたちゃんのくっきりとした顔立ちが映えていて、すごく魅力的だと感じました。
ちさとちゃんのホタルの衣装は、青いグラデーションの川が流れるように織り込まれていて、そこへ黄色いホタルが光っていて、青と黄色のコントラストが美しいな、と感じました。
ももかちゃんのサナギパトラの衣装は、とてもかわいらしかったのと、サナギのシルエットや奇妙なトゲトゲが表現されていて、すごいなと思いました。
そして、今回とても楽しみにしていた、ゲストの男性チーム。実は、去年の新聞紙ファッションショーのリベンジに燃えていた、相川さんと大竹さんのお2人。山では、私は2人のテントの隣のテントで寝ていたのですが、みんなが寝静まる深夜まで、2人の新聞紙ファッションショーへ向けて作戦を練る囁き声が、聞こえていました。
男性チームのモデルさんは、りゅうさん。ビワハゴロモ、という昆虫がテーマになった衣装でした。本物の服を縫製するときのように、立体裁断で作られた、上半身の広がりのあるマントや、丈夫なズボン。りゅうさんがターンをして、威風堂々と両手を広げると、ぱっとキラキラが放たれるように感じました。
あけみちゃんのカブトムシは、騎士の鎧のようなデザインでありつつ、女性的でもあり、強く美しい、カブトムシクイーンの姿を感じました。
最後の、やよいちゃんはミラースパイダー。虹色の光彩を持つ蜘蛛、ミラースパイダーをテーマとして、立体的な三角形が組み合わせられたスカートが、カラフルな色紙で彩られていました。また、上半身や首飾りなどは、蜘蛛のフワフワとした毛が、新聞紙が細かなフリンジになって表されていました。
頭の先から足の先まで、どこから見ても、ただの新聞紙ではなく、立体的な工夫が凝らされている上、全体が洗練されていて、未来的なファッションだと感じました。
それぞれのモデルウォーク後に、お父さんお母さんの採点がされました。200点満点中、あやちゃんのオオムラサキの衣装は、196点。お父さんお母さんともに高評価で、嬉しかったです。
全チームのモデルウォークが終わると、7人のモデルさんの衣装から、「お父さんの一押し賞」「お母さんが着てみたいで賞」「最優秀賞」が発表されました。
「お父さんの一押し賞」に選ばれたのは、りゅうさんの男性チーム。「お母さんが着てみたいで賞」に選ばれたのは、ももかちゃんの、まえちゃんチーム。これは、サナギパトラのサナギ頭巾を、お母さんが次回の占いの館で着てみたい、ということでした。
「最優秀賞」は、やよいちゃんの、まみちゃんチーム。彩りがあり、何処から見ても立体的な、洗練されたミラースパイダーファッションが、最優秀賞に輝きました。
今回のファッションショーを見ていて、それぞれのチームが全く違ったデザインながら、モデルさん一人ひとりに、本当によく似合っていることを感じました。
モデルウォークをして、ポーズをとるモデルさんが、美しかったり、可愛らしかったり、それぞれの持ち味が昆虫ファッションで生かされて、輝いていました。堂々と昆虫になり切って、華やかにレッドカーペットを歩く、輝いているモデルさんたちを見るだけでも、とても嬉しい気持ちになりました。
みんなから感嘆の声が零れる中、あやちゃんがオオムラサキの衣装を披露している姿や、喜びの笑顔を見られたことも、本当に嬉しかったです。
時代の最先端を行く昆虫ファッション。やよいちゃんが着ていたミラースパイダー衣装など、昆虫ファッションに身を固めて、みんなで町へ繰り出したり、コンサートを行なったら、すごく素敵だろうな、と感じました。
限られた時間の中で、それぞれがモデルさんの持ち味を引き出す、いい衣装を制作することができて、嬉しかったです。
(りんね)