4月28日のなのはな(後半)
2024年 山小屋キャンプ2日目【料理の鉄人 & 山小屋ライブ】
七輪とドラム缶を囲んで集ったのは、7人の料理人たち。
今回の『料理の鉄人』で作るメニューは、キャンプでは定番の、カレーライス。
人参、じゃが芋、玉ねぎ、牛肉を材料に、なのはなのカレーのレシピで使われている調味料を用意して……。
でも、これでは全チーム、同じようなカレーばかりで面白くないじゃない!
と、いうことで、今回は、全チーム、全く違うカレールーを使ってのカレー作りとなりました。
普段、なのはなで食べるカレーには、お父さん一押しの「ハウスバーモントカレー 甘口」が使われていて、なのはなの桃ジャム、醤油や粉コーヒーが隠し味で入っていて、レシピも確立されているために、控えめに言って、世界一おいしい、みんなも大好きなカレーです。
しかし、今回はバーモントカレーを使うことはできず、なんと、早い者勝ちで、用意されたルーの中から、心惹かれたものを取って行くという、争奪戦。
この「カレールー争奪戦」の時、丁度わたしは別のことをしていて、その場にいることができなかったのですが、チームのみんなが、箱に書かれているキャッチコピーを頼りに、去年発売されたばかりの「X-BLEND CURRY」という、青い箱に金の文字の、スパイスが特徴のカレールーをチョイスしてくれていました。
パッケージはとても奇麗で、いろいろなスパイスがカレーの上を飛んでいて、確かに華やかな香りがしそう。
しかし、美味しそうだと思う前に、個人的な問題が起きました。
商品名「X-BLEND CURRY」の隣に「中辛」の表示。
まなかちゃんは、「なつみちゃん、辛いの全然いけると思ってた~!」と言っていたけれど、わたしは幼いころ、塩コショウさえも食べられなかった、子供以上の子供舌で、正直、中辛は、辛すぎて食べられない人間だったのです。
(あぁ、本当にごめんなさーい)と思いながら、最後は腹をくくって辛いのを美味しく食べようと思いました。
さて、火おこしから料理は始まります。使うことのできる調理器具も、かなり限られていて、サバイバルでタイトな環境での調理です。
コンロとなるドラム缶と、網、木炭がひと箱、七輪が一つ、中サイズのボウルも一つ、菜箸が一膳、楕円のお玉が一本、お鍋は一つで、お米を炊くためのお鍋が一つ。
これらと包丁、まな板を駆使して、量りは一切使わずに、カレーを作り、ご飯を炊き、副菜に一つ、卵料理を作ってくため、下手したら、シャバシャバカレーにべちょべちょご飯もあり得るわけで、わたしたちは、美味しい夕食を作るべく、本気になって料理に挑み始めました。
最初に、“真の”料理の鉄人である、りゅうさんが火を起こしてくれて、その間にわたしたちは具材のカット。
ジャガイモを切りながら、わたしは、人伝てに聞いた、美味しいカレーを作る秘訣を、知っている限り、チームの人に話しました。
1つは、玉ねぎペースト。
とにかく、あめ色になるまで玉ねぎを炒める、炒める、炒める。玉ねぎペーストが上手くいけば、美味しくなるのだそう。
2つ目に、具材と水の量。ななほちゃんが、お母さんから聞いたという、「具材と水の量を同じにする」という、シャバシャバカレーを回避する方法を偶然にも教えてもらっていたので、サバイバルな環境の中、量りが使えないわたしたちは、炒められた具材に水を足すとき、具材が丁度浸るくらいまで水を入れました。
そして、カレーの作り方を知っているりゅうさんが、何から調理すべきかを考えてくれて、わたしたちはまず、玉ねぎペーストづくりを優先して始めました。
一人が、火を起こしているドラム缶の上で玉ねぎを炒め、りゅうさんは七輪の火おこしをし、残りのみんなで、ジャガイモと人参を切ります。お肉は、傷んだら危険なので、最後にすることにしました。
軽くて白かった玉ねぎが、炒めていくと、じわじわととろけて重くなり、透明になっていきます。時間はかかるけれど、トロトロしてきて、なかなかいい感じ。
七輪の火おこしや具材のカットが終わったので、次はお肉を炒め始めようということで、玉ねぎペーストが作られているフライパンは、火力の強い七輪の上に移動し、ドラム缶の上には、小さな寸胴鍋が置かれました。
七輪で玉ねぎを炒めながら隣を見ると、メラメラとファイヤーしているドラム缶の上で、鍋の中の肉を、お玉で炒めている、りゅうさんの額を汗が流れます。お玉の使い方から、立ち振る舞いが、まさに、料理の鉄人、といった様子で、とても格好よかったです。
そろそろ玉ねぎペーストもいい感じで、お米を炊き始めないと間に合わない時間になってきました。炊飯は、「初めチョロチョロ中パッパ」というように、最初は中火。湯気が出てきたら、七輪の通気口をふさいで強火にするといいことを、お父さんが、マイクを通してアドバイスしてくれました。
チームメンバーが七輪の番をしてくれている間に、鍋の中の具材は煮られていき、お肉を炒めた肉汁まで、余すことなく、りゅうさんが鍋に入れます。
ぐつぐつと沸騰してきたら、ついに、細かくスライスされたカレールーを鍋の中に投入!
混ぜていると、瞬く間にカレーの香りがしてきて、さすが、スパイシーさを謳っているだけあり、本当にいい香り。
りゅうさんが、「味見してみ!」と言うので、味見してみると「うん、辛い」。
それを聞いて、りゅうさんも味見してみると「あ、辛い」。
仕方がない。これも運命だと思い、辛いカレーを辛いと言いながら食べるのも楽しいだろうと腹をくくっていると、りゅうさんが桃ジャムと、白い粉を鍋の中に振りかけました。
「え! りゅうさん、その粉は何ですか」と尋ねると、「うん? 砂糖」と返事が返ってきて、(えー! カレーに砂糖を入れていいんだ)というビックリと、その次に、(あー、わたしのせいで劇甘カレーになったらどうしよう)という不安に苛まれ、恐る恐る、再度味見をしました。
すると、さっきの辛さは嘘のようになくなり、後味には、カレー特有のスパイス、もっと言えば、このカレールーだからこそのスパイスが残っていて、料理の鉄人である、りゅうさんの存在に救われました。
そして、一緒に作った仲間が美味しく食べられるように、という、りゅうさんの気遣いも、とっても嬉しかったです。
出来上がったカレーはチームのみんなで味見をして、隣のあゆちゃんチームのみんなも味見してくれて「めっちゃおいしい!」と大好評。
ちなみに、あゆちゃんチームのカレーも味見させてもらったのですが、こちらは甘口で食べやすく、美味しい。「ZEPPIN」という、濃厚ペーストと40種類のスパイスの二層構造でできたルーで、なんだか、パッケージもとても豪華。
でも、あゆちゃんチームには申し訳ないけれど、やっぱり、りゅうさんとチームのみんなで作ったカレーが、わたしは一番おいしいなと思いました。
カレーの完成に盛り上がっている中、ついにご飯も炊きあがりました。
お釜の蓋を開けると、ふっくらツヤツヤの白いご飯が炊けていて、すごくおいしそう。
お釜の番をしていた三人組さんは、「もうちょっと水を少なくした方が良かったかな~」と、炊飯を極めにかかっていましたが、それにしても美味しそう。
まみちゃんたちが、絶えずに付きっ切りで、お釜の番をしてくれていたことが有難くて、白いご飯だけでも楽しみになりました。
カレーを作り終え、最後に副菜となる卵料理の調理を始めます。
何を作るかは決めていなかったのですが、卵料理でつかえる材料は、いくつかの選択肢の中から、3つ、選べるようになっていて、まなかちゃんたちが、ベーコン、チーズ、牛乳を選択してくれていました。
選んだ材料を聞いたりゅうさんは、なんと即席で、本当にふっわふわのスクランブルエッグを作ってくれました。
溶き卵の中に、刻んだスライスチーズと牛乳を入れて、フライパンに流しこみ、火の上でひたすら菜箸でかき混ぜ続けると、少しずつ卵に火が通ってきて、液状だった卵が、フワフワと、まるでメレンゲのような形になっていく光景は、なんだか魔法を見ている様で胸が躍りました。
盛り付けは、富士山のように美しく、その頂点には、ほのかちゃんのアイデアで、塩コショウが少しだけトッピングされています。
そして、スクランブルエッグの隣には、ベーコンと桃ジャムが添えられていて、見た目だけでもすごくおいしそうで、綺麗で、りゅうさんの美意識と愛情と女子力(!)を感じました。
「できましたー!」という掛け声を審査員の方々に掛けると、スプーンと小皿を持って、お父さん、大竹さん、相川さん、永禮さんが来てくださり、早速、審査に入ります。
審査員の方々が、味を見ているときは、その時間が永遠と感じるほど緊張しました。
(あぁ、どういうコメントが来るかな…)とドキドキしていると、おとうさんが、「うん、美味しいですね」とコメントしてくださって、ご飯の炊き加減を審査してくださる永禮さんも、美味しいと言った感じの雰囲気で、ひとまず、審査が無事に終わったようで安心しました。
みんなが配膳までを完了し、メンバーが揃ってから頂きます。
わたしたちは、りゅうさんの魔法に魅了されて、カレーより先に、ふっわふわのスクランブルエッグから頂いたのですが、これは本当に美味しくて、塩コショウで食べても美味しい、ベーコンの濃い味にも合う、桃ジャムと食べたらまるでデザート。
スクランブルエッグの可能性が広がる一品に仕上がっていました。
そして本命のカレー。
これは味見の時から美味しいのは分かっていたのですが、やっぱり何度食べても美味しい。
りゅうさんが、みんなで食べられるようにと思って作ってくれたことが、何よりうれしくて、思い出深くて、今までで一番おいしいカレーライスになりました。
途中には、あゆちゃんが、カレーライスに溶き卵を混ぜたご飯を「食べてみる?」と言って回してくれて、それは京都で食べられているカレーライスの食べ方らしく、卵かけカレーライスと言った感じのものだったのですが、すっごくまろやかになっていて、これはこれでとてもおいしくて、あゆちゃんチームのカレールーにも合っているように感じました。
みんなのコメントからでは、いろんなチームのドラマを聞くことが出来、中でも審査員、実行委員さんチームは、かなりドラマチックな事件が起きていたようで、何とかお父さんが無事に回収したようですが、なかなか全員でご飯を作ることもないので、やっぱり物を作るのも、料理を作るのも、誰かと協力して、和気あいあい、時にはドタバタしつつ、そういうのも楽しさの一つとして味わって、楽しめた料理の鉄人の時間は、本当に濃くて、嬉しい時間でした。
コンテストでは、一番になることはできなかったけれど、チームのみんなで作った愛情たっぷりのカレーが、チーム内では満場一致でナンバーワンで、また次回の料理の鉄人が楽しみになる、キャンプ2日目の夕方となりました。
(なつみ)
***
夜、明かりが灯った山小屋のリビングで、お父さんお母さんのライブが開催されました。
私はお父さんお母さんの歌をしっかりと聞いたことがなくて、とても楽しみにしていた企画でした。
ライブのはじまりを飾った第1曲目は、なのはなに入る際に、お父さんがみんなに弾き語りしてくださる『大空と大地のなかで』という曲でした。最近は、なのはなに入る際の弾き語りがなかったようで、初めて聞かせてもらうことができました。
歌詞がとても前向きで、自分の背中を押してもらえるような感じがして、聞かせてもらっている時に涙が出ました。今の自分よりも成長できた時に、また聞かせてもらうことができたら嬉しいです。
次々とみんなのリクエスト曲を歌っていただきました。『RUN』など、とてもアップテンポの曲から、少し切ないしっとりした曲まで幅広く聞かせてもらうことができて嬉しかったです。特にアップテンポの曲を聞かせてもらえた時が、いつもとは違う非日常を感じる事ができて好きでした。
お父さんお母さんの歌は、凄く力をもらえて背中を押してもらえるような、胸を打たれるような歌でした。
みんなとライブの実行委員さんが作ってくれたうちわを持ちながら、お父さんお母さんの歌に身を委ねれた時間は宝物だなと思います。リズムに合わせて身体を揺らすなど、みんなと一体になっている感じが心地よかったです。いつもは何曲も聞ける機会がないので、本当に貴重な時間でした。
あっという間に時間は過ぎて、いよいよ第2部「お母さんの誕生日占い」のコーナーが始まりました。今回、誕生日占いをしてもらえる人は5人。お母さんに箱の中から紙を引いてもらって、占ってもらえる人を決めてもらいました。
みんな誰が占ってもらえるのかドキドキでした。残念ながら私は占ってもらう事はできませんでしたが、他のみんなの占いが凄く当たっていて楽しかったです。
ただの占いではなく統計学の結果で性格などがわかるるみたいなのですが、どうして同じ誕生日の人は同じような性格になるのか本当に不思議でした。占ってもらった人にお父さんお母さんから歌を贈ってもらい、ドキドキワクワクの誕生日占いは幕をおろしました。
ボリューム感満載のお父さんお母さんのライブ。とても素敵な時間で、みんなと共有できた時間が嬉しかったです。
(あや)