「諦めない限り」 りんね

3月28日

 

〇落ちこぼれてエベレスト

 

 野口健さんの、『落ちこぼれてエベレスト』を読みました。

 野口健さんの本を読んだのは、4冊目です。「落ちこぼれ」だった高校時代から、植村直己さんの本に出会い、目標を見つけた。そこから、並々ならぬ活動力で7大陸最高峰、世界最年少登頂。その後も、エベレスト、富士山の清掃登山、環境学校、シェルパ基金など、世界が抱えている問題を解決するために、実質的な活動を広げていき、子供たちや社会に影響を与えている。

 そんな生き方が、本当に強いなと思ったし、世間の逆風に吹かれても力を尽くせるのは、人知を超えた存在の意志に沿って、野口さんが活動されているからではないかと思いました。

 それと同時に、野口さんには、計り知れない大変さがあると、思いました。

 物理的にも命がけの挑戦の連続、清掃登山に携わったシェルパたちの病死、命を救ってくれた恩人の死、尊敬していた登山家の遭難……。シェルパの娘との結婚の失敗で、一人の娘の人生観を悪い方へ変えてしまったこと、清掃登山などの活動に対する世間の逆風……。『確かに生きる』という本には、何年も睡眠薬が手放せないほど、眠れない日々が続いていると書かれていました。

 理解のある家族がいて、伸び伸びと生きる力を失わずに育ってきた野口さんでも、今まさに活躍しているところで、その肩に背負っている、生きる苦しさや葛藤は、計り知れないほど大きいと思いました。

 野口さんの本を読んでいて、登山家が、当たり前のように死者が出る危険な登山を続けるのか、ということが少し理解できた気がしました。
 恐らく、それは生きるため。登山家になった人とって、山は己が生きていくことのできる道で、生きていくために、常に死と隣り合わせなのではないか、と思いました。それほど、生きることに真剣に向き合っているのではないかと感じました。

 『落ちこぼれてエベレスト』のあとがきの最後に、
「これから僕がやろうとしている夢の実現までには、いくつもの壁が立ちはだかっています。自身が掲げた課題に向かって、たとえ火だるまになろうとも成し遂げたい。その過程でいくつもの過ち、失敗を繰り返していくでしょう。時には容赦なく逆風にさらされるでしょう。でも、僕は最後の最後まで諦めない。だって僕は植村直己さんの弟子なんですから……」と書かれていました。

 諦めない強さが、何よりも大切なのだと感じました。

 平和な国に生まれた人、貧しい国に生まれた人、理解のある家族に育てられた人、理解のない家族の元に生まれてしまった人……。境遇は人それぞれ。でも、生きる大変さは平等なのだと、思いました。
 私と同じように、生きる苦しさを抱えてきてしまった人も、この世界にはたくさんいると思いました。私が生きる道を見つけることは、そんな人たちにとって、大きな希望になる。
 それを成し遂げるには、とにかく諦めないことだと思いました。どんなに自身の未熟さに幻滅しても、自分に絶望せず、希望を持ち続けて、毎日生きていくことだと思いました。

 私は厳しい環境で育ったけれど、なのはなファミリーに来ることができました。
 22歳の頃の野口さんは、南極大陸のビンソン・マッシーフに登頂し、7大陸最高峰登頂に向かって、挑戦していました。
 私は今、なのはなで人間としての土台を作り直し、生きづらさを抱える人が減っていくような社会を作っていくという、なのはなの目標を実現していく、力のある一人になっていけるように、挑戦しています。

 諦めない限り、必ず道は開ける。どんなに未熟でも、諦めずに挑戦し続けたいと思いました。野口さんの本を読んで、勇気をもらいました。

 

 

〇ほしちゃんの魔法

 

 午前の最後、ほしちゃんを中心に玉ねぎの草取りを行いました。畑には、のぞみちゃん、ゆりちゃん、おとちゃんも来てくれていました。

 途中から、おとちゃんが泣きだしました。抱っこしてあやしても、のぞみちゃんの方を見てしきりに泣いて、結局、のぞみちゃんがおんぶ紐でおんぶして、草取りをすることになりました。

 しばらくして、おんぶされているけれど、おとちゃんが泣き止まなくなってしまいました。そうなったときに、ほしちゃんが「おとちゃん、おとちゃん」と落ち着いた声で、何度もおとちゃんに声をかけていました。そして、ほしちゃんがおとちゃんに、真正面から向き合うようにして、ほしちゃんの持っている大らかなペースで、おとちゃんに話しかけていました。

 「みんな、お仕事中だからね。おとちゃんのお仕事は、みんなを見てることだよ」

 ほしちゃんがそう言うと、おとちゃんがぴたりと泣き止みました。そのとき、ほしちゃんが、おとちゃんに正面から向き合っていたから、おとちゃんに伝わったんだな、と感じました。

 私があやそうとしたときは、ただ、「泣き止んでほしい。どうしたらいいかわからない」という思いが先に立って、おとちゃんの方を向けていなかったのだと、思いました。赤ちゃんにも、子供にも、大人にも、ちゃんと正面から向き合っていくべきだと感じて、ほしちゃんの姿がかっこいいなと思いました。

 

3月29日

 

〇春が来た

 今日から、一気に暖かくなりました。花桃が一気に濃い紅色の花を咲かせて、木蓮やシデコブシ、枝垂桜も、どんどん咲き始めました。保育園東の大きなサクランボの木は、6分咲きくらいに咲いていました。

 梅の木コースの坂を上るところの、早咲きの桜は満開でした。淡く薄い桃色の花弁に、日の光が透けて、花が光っているようで、綺麗でした。

 那岐山の雪も、すっかり溶けてしまいました。春が来た、と感じました。

 

〇大根の収穫

 午後は、セロリ、大根の収穫からの、セロリの追肥、水やりと、ボリューム満点の作業でした。久しぶりに、お仕事組さんのつきちゃんと一緒に作業することができて、とても嬉しかったです。

 大根の収穫では、いよちゃん、つばめちゃん、ふたばちゃんと一緒でした。

 1人20本大根を抜いたのですが、つばめちゃんもふたばちゃんも、ヘルプがいらないくらい力強く、しっかりと大根を抜いていました。つばめちゃんは、以前は力がなくてなかなか引っこ抜けなかったので、かなり力がついたんだな、と思って、すごく嬉しかったです。

〇万国旗

 グラウンドに、須原さんやさくらちゃんたちが、万国旗を張ってくれました。スケール大きく張られた万国旗が翻っていると、すごく明るい気持ちになりました。

 りゅうさんとの、運動会がとても楽しみで、チームの準備もできることを頑張りたいと思いました。