3月21日(木)「奥桃畑の摘蕾作業 & 木版画教室、広がる世界」

3月21日のなのはな

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 スノードームの中のように雪片が降る朝。ランニングは室内でのトレーニングに切り替えて、1か月後に近づいてきたフルマラソン本番へ向けた身体づくりをしました。
 雪がやんだ日中は、桃の摘蕾や野菜の収穫へ出ることができ、ロング・ミーティングにも、集中して取り組みました。

 

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 心が穏やかになる時間。無心になる時間。
 美しく、そして確実に丁寧に。スピード感ももって。そう、桃の摘蕾。
 今は2巡目の作業も半分を過ぎたところです。この日は、2巡目の奥桃畑の摘蕾をしました。

 

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 1巡目の頃と比べると、蕾は少しずつふくらんできており、うっすらとピンクがかっています。
 その蕾もまた一段と美しく綺麗で、見ているだけでも気持ちが穏やかになります。

 午前中は吹雪いていたのですが、作業が始まる頃には雪もやんで、太陽の光が差し込み、桃の木が美しく輝いていました。風もなく天気が良くて、摘蕾日和でした。

 

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 最近は、桃の摘雷をやればやるほど、それに対して込める思いや熱意が湧いてきています。
 ただ単に間隔をとって蕾を落とすことだけでなく、より的確な良い位置に蕾を残すようにし、ここには実をつけられないだろうという位置は落とす。そしてスピード感も意識して、着々と進めていく。
 そう意識するだけで、より楽しい作業になっていきます。

 

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 私は桃作業で毎回、感じることがあります。今日も作業をしながら感じたことです。それは、みんなの気持ちが1つになっているということです。
 手の届く範囲の枝を摘蕾する人、低い脚立の人、中くらいの脚立の人、高い脚立の人。それぞれが自分の役割をつなげていく。声がけも1人が、「次の木へ行きます」と言ったら全員が、「はーい」と返事をする。「ここまでできました。この上をお願いしても良いですか」と言うと、「はい。分かりました!」と、相手の子がはきはきと笑顔で返してくれます。自分も相手も周りの人も、やっていて気持ちが良いし、気持ちが引きしまります。その空気感と、団結力。

 

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 そして何よりも、桃の蕾とともに美しいみんなの横顔。桃に気持ちを沿わせている姿。真剣な表情。
 その空間は、何かのために気持ちを添わせている一人ひとりの思い、表情が、桃のように美しく、温かい気持ちになります。
 それが私にとっての、桃作業の好きなところです。

 この日の午前中の1時間半ほどで、奥桃畑の摘蕾を終わらせることができました。また次の畑も摘蕾をするのが、楽しみです。

(すにた)

 

 

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 木版画教室の時間。藤井さんが教えてくださる、たくさんの世界が広がる時間です。

 この日の教室の初めには、藤井さんが、美しい黄色の詰まった容器を3つ、取り出して私たちに見せてくださいました。藤井さんが、お家にある蜜蜂の巣箱から材料を取ってつくられた蜜蝋のハンドクリームを、前回の教室でプレゼントしてくださいましたが、そのクリームにグレープフルーツや、オレンジやベルガモットの香りをいれたものを、みんなで使えるようにと、新たにくださったのです。

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 手につけるとやわらかくのびて、とても良い香りがします。
 蜜蝋とオリーブオイルを煮詰めてつくられるそうで、その比率や作り方、香りの付け方も、教えていただきました。3つの瓶がとても特別な魔法の品に思えます。

 

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 そして、教室では、藤井さんが、私たちの制作を見ながら、並行して、今回から新しく版画を学んでいるメンバーの名前を彫った篆刻も、作ってくださっていました。

 

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 藤井さんの手のなかで、石材に篆書が彫られていきます。そして、文字だけではなく、篆刻刀をあえて線の角や、石の縁などに入れて、意図的に「壊す」のだと、教えていただきました。ほんの僅かに刀で傷ついて凹凸がつくだけでも篆刻の雰囲気が変わり、そうした小さな小さな調整を重ねながら、一つの篆刻が仕上がっていくことを知りました。

 

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 毎週2日、アコースティックギターと版画を教えに時間をかけて来てくださる藤井さんは、彫刻刀などの良い道具も、これを使うと彫りやすいよ、と惜しみなく使わせてくださいます。私は、こんなに贅沢で良いのかな、と思うと同時に、いろいろな世界を笑顔で教えてくださる藤井さんのお話に、わくわくする気持ちでいっぱいになり、藤井さんのあたたかさに包まれた教室にいられることが、嬉しくて、とても有り難いです。

 

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 版画は、メンバーの多くが彫りの工程に入り、地道に、着実に彫刻刀を動かしています。私は、板に甍の下絵を描く作業に取り組んでいます。画面のなかで、遠近感を出すにはどうしたらよいのか、見る人の視線はどんなふうに動いていくと考えたらよいのか、教えていただきながら、進んできています。この日は、前回すこし粗く描いてしまった屋根の“補修工事”をし、屋根の引き立て役として入れる、木の枝の形に試行錯誤していました。

 

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 気づけば3月の制作時間も残りわずかです。みんなに追いつけるよう、また良い版画になるよう、頑張りたいです。

(かに)