
3月4日のなのはな
池上桃畑にひっそりと植わっているポポー。今日は、ポポーの取り木の作業を行いました。
木を増やすための方法として、挿し木、接ぎ木、などの方法はよく知られていますが、「取り木」という方法は、あまり知られていないと思います。私も、ポポーをどう増やすかを考えるまで、取り木という方法があることも、聞いたことも無かったし、やり方を始めて聞いた時は、こんな夢のような方法があるのか! と、とても驚きました。
「取り木」とは、木の一部分から根を生やして、根が伸びてから枝を切断して苗とする方法です。
挿し木は、切った枝を土に挿し、根を生やせます。その点、取り木は、枝を切り取ることなく根を発生させて、増やすことが出来ます。ポポーは、挿し木で増やすことのできない木です。そのため、取り木の繁殖方法がポポーの木には合っています。
また、実生苗からの成長では、若木から、時間をかけて成木にしていく必要があるけれど、取り木は、成木になった枝で苗を作ることが出来るので、実を付けるのも、成長も早くなります。その2つの面で、本当に画期的な方法です。
初めての方法で、少し緊張していたのですが、始める時に、お父さんにやり方を教えていただきました。まず最初に、接ぎ木ナイフを使って、幅2、3センチほどの範囲の皮を剥きます。剥いたところを、約1日のあいだ水で戻したミズゴケで覆い、ビニールでくるっと巻いて、両端を紐で縛り、完成です。
初めてすることだけれど、お父さんの手裁きは速くて綺麗で、一か所仕込むのに、あっという間でした。お父さんが接ぎ木ナイフを回すようにして切れ込みを入れ、剥いていく手さばきを真似て、りんねちゃん、つばめちゃんと作業に取り掛かりました。
初めは皮を剥くのに少し時間がかかったけれど、少しずつ、慣れてきました。接ぎ木ナイフを枝にあててぐっと力を入れて、一周切れ込みを入れ、それを2か所作ります。そして、切れ込みと切れ込みの間を刃を入れて皮を剥きます。すると、切れ込みが入っているので、ペラペラ綺麗に剥くことができました。剥き終わった後の枝は、そこだけ綺麗にクリーム色の樹の芯が見えました。
なぜ、皮を剥くと根が生えてくるのだろう……疑問に思って調べてみました。木は、樹皮の内側に水や養分の通り道である導管や篩管があります。導管、篩管を区切っている形成層、という層が断面の中にあって、それが傷つけられることで、根の元になる組織が作られるようです。
ナイフで皮を削っていると、表面部に緑の繊維質の層がありました。これが、形成層なのかは分からないけれど、樹の枝の内側の仕組みを垣間見たような気持になって、とても興味深いなあと思いました。
皮を剥いたところを、ミズゴケで包みます。ミズゴケは、水をたくさん含んでいて、良い状態でした。皮を剥いて、樹は少し傷ついているけれど、ミズゴケで包んで、ビニールで巻くと、もうそれだけで、包帯を巻いた後のように、傷が癒されるような気がしました。
ビニールを巻いたところは、両端がギュッと縛られてまるでキャンディーが樹にたくさん付いているようでした。今日は、1本の木に23か所の取り木をすることができました。これから、根が水コケの中に生えてくれたらいいなあと思います。ビニールで覆ったので、外からは経過が見えないけれど、暖かい気温を信じて、見守っていきたいです。
(りな)
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この日の最高気温は13度!
春のぽかぽか陽気の中、桃の摘蕾を進めました。
今日は一巡目最後の畑、山の桃畑を、大人数のみんなで進めました。
みんながピンクジャンパーを着て脚立に乗っている姿は何度見ても、とても華やかで、嬉しくなります。
摘蕾がスピーディーに進むように、手分けして進めるやり方が確立されていて、さくさくと進めて行けるのが気持ちよかったです。
一巡目の楽しみは、やっぱりたくさんの花芽を一度にぽろぽろっと落とせる気持ちよさです。
枝の先端と上側(地面とは反対の背中側)の花芽をすべて落とすのですが、いかにそれをてきぱき出来るか考えて手を動かしていくのがとても楽しくて大好きです。
みんなが黙々と向かう空気は、静かで澄んでいてそれも素敵だなあと思いました。
私は今日、写真を撮らせてもらっていたのですが、みんなが向けてくれる笑顔や作業中の真剣な表情が本当に綺麗で、撮っていても元気をもらいました。笑顔がぱっと咲いたような写真がお気に入りです。
午後の3時頃、1巡目最後の木が終わりました! やったー!
みんなで「やったー!」「嬉しいー!」と喜び合ってぱちりと記念撮影しました。
次から2巡目!
すぐに脚立をまとめて次の畑へ向かいます。
2巡目は、枝の下側に残した花芽のうち、どこに実をつけるかを考えながら大体10センチ間隔で残していきます。
良い位置に実がつけられるようにしっかりと枝をみながら摘蕾していくことをあんなちゃんが教えてくれました。
2巡目に入ると、「ああ、摘蕾しているなあ」という気持ちが増してくるような気がします。2巡目の摘蕾も緊張するけれど、とっても好き。
2巡目の楽しみは、蕾や枝を見ながら数か月後の桃の姿を見られることです。
収穫していたときに感じたことや、改善点を思い出しながら摘蕾していくと、今の作業がどれだけ大切かが本当によく分かります。
この蕾が桃になるんだよなあ……と思うと自分の選んでいく蕾に責任を感じます。
今日は2巡目初日で少しペースが掴めないところもあったのですが、明日からの作業でどんどん慣れて、良い質で、良い速さで進められるように頑張りたいです。
(まなか)
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