【3月号⑦】「中庭にかがやく、ガラス温室 ―― 温室建設のはじまりから完成までの物語 ――」 よしみ

このガラス温室は、ギターや木版画を教えてくださっている藤井さんのご親戚の方から、ご厚意で頂いた温室です。

 

 なのはなファミリーに、ガラスの温室が建ちました!!

 1月下旬頃から始まった温室建設。約1か月間、須原さんに教えていただきながら、さくらちゃんと一緒に温室をつくっていきました。初めて知ることもたくさんあって、いろいろなことを学びながら作っていくことができて、本当にありがたかったです。

 温室建設は、基礎作りから始まりました。温室が建つ場所にコンクリートを入れます。さくらちゃんと一緒に左官屋さんになって、温室を支える美しい基礎ができるように頑張りました。

 コンクリートを入れたあとは、温室の地面に砕石を入れて、タンパーという機械を使ってしっかり転圧し、この砕石を入れた地面は、そのまま温室の地面になりました。完成してみんなが温室を使いやすかったらいいなあと思って作業していると、心も身体もパワーが溢れてきて嬉しかったです。

 基礎作りができてからは、いよいよ温室の枠組みとなるアルミフレームの組み立てに入ろう! ……と、その前段階として、温室のガラスとアルミフレームの掃除もしました。

 ガラスには、縁の部分に粘着テープがついていて、そのテープの跡をスクレーパーなどの道具を使って落としていきます。このとき、灯油を使うと粘着テープが落ちやすいと須原さんが教えてくださり、どうしたら一番簡単に早く落とせるか、さくらちゃんと一緒にいろいろ試しながら、ガラスを綺麗にしていきました。

 

■132枚のガラス

 数日間、ガラスの掃除をし続けて見つけた、一番良かった方法は、スクレーパーで8〜9割の粘着テープをはがし、そのあと灯油をつけた激落ちくんスポンジでこすり、再びスクレーパーでけずるという手順です。

 また、洗濯洗剤を水で薄めたものをスプレーで吹きかけて、そのあとウエスで拭くと、ガラス全面がより綺麗にできるということが判明し、良い方法が見つかってからは、最初はかなり時間がかかっていたのが大幅にスピードアップすることができました。

 いろいろな方法でガラスを綺麗にしていけた時間が、大変ではあったけれど、私にとってすごく楽しい時間だったなあと思います。

 温室のガラスは全部で132枚ありました。それに、想像以上に温室のガラスが薄く、割らないように気をつけながら掃除するのは、かなり神経を使う作業でした。でもその1枚1枚を粘り強く、最後まで綺麗に掃除できたのは、さくらちゃんが居てくれたからだと思います。

 さくらちゃんが美意識高く、いつも丁寧に誠実に作業している姿を見て、背筋が正されました。私もさくらちゃんのように真っ直ぐに、この作業に取り組みたいと思った瞬間でした。

 ガラスと同様に、アルミフレームも綺麗に掃除し、アルミフレームの組み立ての準備が完了です。

 アルミフレームの組み立てからは、再び現場へ戻って作業していきました。ここからはインパクト、ボルトナット、ビスなど、建築でよく使う道具が登場し、自分にとっても建築の修行の場となりました。

 

■優しい空気の中で

 アルミフレームをボルトナットで固定するとき、自分はどうしてもインパクトの使い方が下手で、要領よく作業することができませんでした。そのため、須原さんとさくらちゃんの手を止めてしまうということが頻繁にあって、申し訳ない気持ちになりました。

 でも、さくらちゃんが、私がやりやすいようにと手元の補助をしてくれたり、自分の無知なところは須原さんが、自分ができるようになるまでやり方を教えてくださったりして、ありがたかったです。未熟な自分でも受け入れてもらっていて、自分のミスも笑って流してくれて、そんな温かくて優しい空気の中で作業できることが幸せでした。

 須原さんとさくらちゃんのおかげで、自分も少しずつ要領が掴めてきて、1人前とはいかないけれど、できる精一杯で作業ができたなと思います。

 アルミフレームの棟上げをした日は、午後からみんなで、プチ棟上げ式も行いました。
 須原さんが棟上げ式のために頑丈な足場をあっという間につくってくださって、あゆちゃんとさくらちゃんと一緒にその足場の上に立って、小袋に入ったお菓子を投げました。下にいたみんなが「わあ〜っ!!!」と笑顔で手を広げてお菓子を掴もうとしている光景が、すごく可愛くて素敵だったなあと思います。

 こんな素敵な式を企画してくださった須原さんとあゆちゃんに感謝です。

 アルミフレームの組み立ては、4日かかずに完成し、本当にあっという間に感じました。

 

■ガラス張り

 そして、最後の工程は、ガラス張りです。ガラス張りは、まず最初に天窓のガラスを張り、次に妻面のガラスを張っていくという順番で行いました。

 ガラス張りの工程で自分が一番難しいなと感じたのは、ガラスとアルミフレームの隙間をなくして雨漏りを防ぐために行うコーキングです。

 コーキングをしたあとに、小手でシューッとコーキング剤を上からおさえていくのですが、コーキングの量が多すぎるとはみ出てしまうし、少なすぎると隙間ができてしまい、どのくらいのコーキングの量がベストなのか、その感覚を掴むことがすごく難しかったです。やりながら、コツを掴んでいくという感じでした。

 難しかったけれど、綺麗にできたとき、コーキングの量がばっちりだったとき、とても嬉しくなりました。

 ガラス張りは、約10日ほどかかりました。毎日、ガラス張りをしながら、どうしたら効率良く進められるかを、さくらちゃんと一緒に考えながら作業をし、昨日よりも今日、今日よりも明日という気持ちで、日に日にスピードアップしながらガラスを張っていく時間がとても楽しかったなあと思います。

 

 

 ガラス張りをしていて思ったこと。「先行してウルタンシート貼ってます!」 「私ガラス持って行きます!」 「ビスで固定していきます!」 というふうに、常に自分が何をするか言うことで、お互いが何をしているのかが分かって、じゃあ自分は次に何をしたら良いのかも明確になってきます。

 須原さんはいつも声かけしあってと教えてくださるのですが、建築の作業に入らせていただくようになってから、改めて本当に声かけって大切なんだなと感じる日々でした。

 そして2月10日。ガラス張りも全て終わって、ガラスの最終掃除も終わって、ついに温室が完成しました。温室には、換気扇がついていたり、夜でも作業ができるようにと須原さんが電灯もつけてくださりました。

「これでウインターコンサートの舞台背景作りも、ここでできるね!!」と3人で話していると、これからの温室の未来がとても楽しみになったなあと思います。完成した温室を見て、みんなもすごく喜んでくれて、みんなの笑顔に私も達成感と充実感でいっぱいになりました。

 これから、温室が様々な用途で大活躍していくのがとても楽しみです。