【3月号①】「自分の経験を一つの材料として ―― まだ見ぬ誰かに繋いでいく、ロング・ミーティング ――」 りな

 

 ロング・ミーティングが始まりました。
 卒業し自立してからも、症状を再発させない心を作る為に、心の未解決事案のすべてに解答を与えるためのミーティングです。
 ミーティングは、テーマに沿って、チームの中で作文を書いて読みまわしたり、話し合いを進めます。私のいるチームは、普段の作業などでは、あまり一緒になることがなかったメンバーでした。

 でも、話し合いをすると、たくさん共通点があり、共感出来て、バディの存在があることが、とても心強くて安心します。相手のことを深く知り、自分のことも深く理解してもらえる関係を、ミーティングを通して、作れることが嬉しいです。同じ方向に向かって真剣に取り組む仲間の存在をとても近くに感じられて、仲間がいるから、心細い気持ちはなく、ミーティングに向かう原動力になります。

 一人ひとり体験は違っても、誰一人例外はなく、深く深く潜りこんだ先に到達する原点は同じでした。

 

■まだ見ぬ人の道をつくる

 誰かの体験や、抱えてしまった生きにくさは、本当に自分にも深く通じるものがあり、客観的に考え、評価することで、自分の傷の理解も深まっていくことを感じました。

 これは、一人ではできないことだと思いました。チームの人の体験から自分の苦しさの原因を知り、考え、話すことによって、自分の傷に整理が付いていく。本当に、利他的でないと回復できない病気なのだと思いました。自分のためでは回復できなくて、同じ苦しさを抱えた仲間や、これから出会うまだ見ぬ誰かの為に回復するのだと強く感じました。

 ミーティングを通しての、私たちの回復のプロセスが、きっと未来、誰かの道を作ることになるのだと思います。舗装された道を歩むのではなく、これから、自分たちで道を切り拓くという気持ちでミーティングに向かっていると、自然と心が丈夫になり、怖さにも逃げずに立ち向かうことができるような気がします。

 生きにくさを抱えた過去があることには変わりはないけれど、その過去を抱えたのには、何か理由があるはずだと思います。苦しさを抱えた私達だからできること、苦しさを克服する意味を考えたときに、偶然ではなく、必然的に、与えられた使命のようなものを感じます。

 

 

■解決のカギを探して

 マイナスからのスタートではあっても、そのマイナスを、きっと誰かにとってのプラスにすることができる、と思いました。それなら、回復したい、と意欲が湧きました。希望のある未来が見えるようになりました。

 摂食障害から回復するための、たった一つの答え、にたどり着けるように、ミーティングの中で、お父さん、お母さんがいろいろな切り口から、話してくれます。キーワードを元に、考えて、考えて、理解をします。かみ砕いて理解して、ということを繰り返します。本当に、一歩ずつ、という地道な作業ではあるけれど、着実に積み上がっていきます。傷の解決は、誰かにしてもらうことはできなくて、自分でカギを開けなければなりません。でも、そのカギがすぐに見つけられる環境にある、ということがとても恵まれていることだと思いました。

 ミーティングは、中盤で今もまだ途中経過です。理解できる準備を整える、前段階があるから、スーッとミーティングのお父さんのお話が心に入ってきたり、チームでの話し合いを進めることができます。

 お父さん、お母さん、ミーティング実行委員さんが、みんながより効果的なミーティングになるようにと、考えて下さっていることがとてもありがたくて嬉しいなあと思います。そして、私も、仲間の材料となる気持ちで、一人もこぼさずに手をしっかり繋いで、ゴロンと良くなれるように、役割を果たしたいと思いました。