【2月号⑦】「阿吽の呼吸で叩けるように ―― 新たな一年始まる、勝央金時太鼓の練習 ――」 るりこ

 

 新年が開けて、勝央金時太鼓の練習が再開しました。昨年のウィンターコンサートぶりに太鼓を教えてくださる竹内さんにお会いして、またこの一年を太鼓メンバーのみんなと共に、竹内さんに指導していただけることが嬉しく思いました。
 今年、初回の練習はこれまで演奏をしてきた曲の復習をしました。
 久しぶりに演奏する曲もあり、覚えているか不安でしたが、いざ太鼓を叩き始めてみると、自然に身体が動いて、最後まで演奏することができました。
 改めて、これまでのみんなとの積み重ねを感じて、一曲一曲が確かに自分たちのものになっていることを実感しました。

 練習を進めているなかで、『あうん』を練習してみようという話になりました。
 『あうん』とは、なのはなから勝央金時太鼓に通わせていただくようになった初代のメンバーが、過去に練習をしたことがある曲でした。
 今はメンバーが移り変わって、当時やっていたメンバーは少数になっていましたが、やったことがある人も初めての人も含めて、新たな気持ちで再挑戦してみようということになり、早速、竹内さんが譜面を用意してくださいました。

 

 

■『あうん』

 初回早々、思いがけない展開でしたが、新年を節目にまた一つ、みんなと演奏できる曲が増やせるのもいいなと思いました。
 竹内さんから譜面をいただき、まずはパート決めです。
 大太鼓にあけみちゃん、ふみちゃん、りなちゃんが、締太鼓にかにちゃん、さやねちゃん、つきちゃん、そして長胴太鼓によしみちゃん、のんちゃん、ももかちゃん、わたしが入ることに決定しました。
 早速、譜読みが始まります。竹内さんがパートごとにフレーズの叩き方を指導してくださいました。曲は締太鼓から始まります。十六符の疾走感のあるフレーズが徐々に重なって増えていき、そこに大太鼓が重なります。Cパートからはいよいよ長胴太鼓も加わります。
「じゃあ、長胴いくぞ」
 まず竹内さんが一小節ごとに口太鼓で歌ってくださり、それから右左の手を教えてくださいました。

 

 

■これから

 初めは四分音符の単調な音が続くので、譜面を読みながらついていくことができていたのですが、途中からだんだんと複雑になっていき、頭と手が混乱してきました。
 さらにこの曲の特徴といってよいところが、同じフレーズの繰り返しというものがほとんどないことです。
 これまで演奏してきた『風の舞』や『わかば』は、同じリズムを八小節叩き続けるというように、少し難しいフレーズがあったとしても、それをクリアさえすれば何とか叩けます。
 ですが、『あうん』はCとDだけでも覚えなければならないフレーズが六つもあり、繰り返しというものがほとんどなく、次へ次へ進むごとに、(これは難しいぞ)(またまた難しいのが出てきたぞ)と進めば進むほど壁が立ちはだかっていくようでした。

 Dまで一通りの譜読みが終わると、「よし、じゃあ初めから」と、竹内さんの指導は程よく厳しいです。頭で覚えようとするよりも身体で覚えていくという感じで、いざ初めから演奏してみたところ、長胴太鼓全員揃って、複雑になるフレーズの途中から手が止まってしまい、演奏が崩壊。四人で顔を見合わせて、苦笑い、惨敗という感じでした。
 わたしたちがガクッと肩を落とす姿をみて、竹内さんが、「まぁ、これから練習していけばいいけん」と笑い飛ばしてくださいました。その日はDまでで譜読みが終わり、続きは次週になりました。

 その一週間は隙間時間を見つけては楽譜とにらめっこで、食事を終えた時間や布団に入って眠りにつくまでの時間に楽譜を思い返しては手で叩いてみたり、頭のなかでイメージトレーニングをしながら覚え込みました。

 

 

■ステップアップ

 そして迎えた翌週の水曜日。その日は大雪予報で太鼓に行けるが心配でしたが、雪もそこまで酷くならずに、予定通り、勝央文化ホールまで太鼓の練習に行くことができました。
 準備体操が終わると、すぐに『あうん』の練習です。まず初めに先週やったDまでの部分をみんなで合わせました。
 さすがにそれぞれが練習したこともあり、一週間前と比べたら、形になっていました。
 個人的には頭のなかや手だけで練習するのと、実際に太鼓を叩くのとでは再現度が違うことを感じましたが、それでも楽譜を見なくてもリズムが頭のなかを流れるようになっていて、そこはステップアップできたところだと思いました。
 そのまま続くように、E、F……と譜読みを進めていきました。

 

 

■みんなの一部として

 Hまできて、またもや壁が待っていました。Hは長胴太鼓ソロになっていました。
 さらに長胴太鼓のなかでも四つに分かれます。
 やっていることとしては同じリズムを刻んでいるのですが、それぞれ始まりが違うので、全く違う音を叩いているように聞こえるということなのです。
 さらに八分休符や裏拍が多く、右手左手の手の動きが難しいと感じました。

 なかなか解読できないわたしたちでしたが、竹内さんが根気強く、指導をしてくださいました。
 毎回教えてくださることですが、まずはゆっくりのテンポで叩けるように練習していったらよいと教えてくださり、
「大丈夫、これから練習していこう」
 と何度も言ってくださいました。竹内さんの言葉を聞いていると、
(まだまだこれからだ。これまでだって、みんなと練習してできるようになっていったのだから、きっと今回も叩けるようになる)
 と希望が持てました。

 全十一ページ、AからMにまで及ぶ『あうん』を、粗々なところもありますが、最後まで譜読みが完了しました。
 長い一曲のなかには締太鼓のかにちゃんの格好良く印象に残るメロディや、三人の大太鼓ソロもあります。
 長胴太鼓のソロも、練習が始まった二時間前に比べたら、完全ではないものの、ちょっとずつできる部分が増えてきました。
 まだ始まったばかりの『あうん』ですが、難しい分、叩いていて楽しいなと感じるし、これがみんなと演奏できたら、きっと格好良いだろうと思います。
 新しい曲に挑戦するなかで、自分もちゃんとみんなの一部になれるようにステップアップしていきたいです。