2月14日(水)「古畑ハウスで、サツマイモの冬越し苗づくりに挑戦 & 第3弾の味噌仕込み、完了!」

2月14日のなのはな

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 ――「収穫したサツマイモの蔓を一冬、長期保存して、来年の春に苗として使おう」。
 昨年の11月のある日、お父さんの一言をきっかけに、なのはなファミリーで初となる、サツマイモの冬越し苗の挑戦が始まりました。
 昨秋に収穫をしたサツマイモの蔓の一部を畑に戻さずに残し、冬の間、一定の温度管理がされた部屋の中で保存することを試みました。インターネットで調べてみたところ、サツマイモの蔓を一冬、長期保存して、翌春にまた植え付けて、同じ苗からサツマイモを収穫しているという農家さんがいることがわかりました。それも保存方法は至ってシンプル。蔓をビニール袋に入れて、500ミリリットルの水を加え、室温15度以上の部屋で管理する。定期的に水替えをしたり、外に出して日光を浴びせる。

 この方法を調べて知ったときは、チームのみんなと、「えーっ、本当!?」と声を合わせて驚き、本当にこれだけで上手くいくのかと、ちょっと信じられない気持ちでした。しかも、その農家さんは4年連続、同じ苗を使っているということです。

 なのはなでは、収穫したサツマイモの中から種芋を選別して、3月頃に、農電ケーブルが敷かれた苗床に芋を伏せ込み、そこから出た新芽をカットして、サツマイモの苗を確保するのが主です。この伏せ込みが難しく、また種芋として、300本前後の芋が必要になってしまいます。

 だからもしこの冬越しが成功したら、大量の種芋が必要にならなくなるという利点もあれば、伏せ込みの期間が省かれるので、早い時期に苗を確保できて、その分だけ早く畑に植え付けられて、早くサツマイモを収穫できるという、わたしたちにとってプラスになる利点がたくさんあるのです。
(本当に上手くいくだろうか……)
 内心、ちょっと半信半疑ではありましたが、何でもやってみなきゃわからないという気持ちで、望みをかけて挑戦してみることにしました。

 

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 昨年の11月14日。サツマイモ掘りの前日の蔓回収のさいに、保存用の蔓を確保して、その日の午後に保存をしました。30センチの長さの蔓を30本。さらに根ごと引っこ抜き、成長点まで一株丸ごと引き抜いたものを10株。30センチの長さにカットした蔓は、吉畑手前ハウスの中にあるバナナハウス(三重ハウス)に植わる、バナナや晩白柚の株元の周りに植え付けました。

 

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〈三重ハウスの中は、バナナや、アボカドの木、ピーマンの挿し木、サツマイモの苗などいろいろな植物でいっぱい〉
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〈掘り上げた蔓から出ている根が、頼もしいです〉

 

 成長点まで一株丸ごと引き抜いたものは、1株ずつビニール袋に入れて、500ミリリットルの水を流し込み、少し空気を入れた状態でビニールの口をきっちりしばり、オイルヒーターが入った一定の温度が保てる部屋に入れました。

 それから12月、1月、2月……と寒い寒い冬がやって来ました。わたしたちもウィンターコンサートや年末年始などのイベントが盛りだくさんのなか、畑のベジセブンチームで当番を組んで、定期的に苗の見回り、水やりを行いました。
 三重のバナナハウスに植わった苗は初めから調子が良くて、活着してからは、新芽が生えてくるほどの成長ぶりでした。その一方で、オイルヒーターで温度管理がされた部屋で保存していた蔓は、袋の中で腐り始めていくものが出てきて、水が濁りました。定期的に水替えをして、外が暖かい日には外に出して、日光に浴びせてやったりしました。

 

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〈ビニール袋に入れて保管していた蔓の節々からは、1ミリほどの小さなコブのような芽が出ていました。この芽がうまく成長するでしょうか?〉

 

 このビニール袋で管理していたものは2ヵ所の部屋で管理していました。でも1つの部屋の方はドアの開閉が多く、寒さに当たりやすかったのか、腐っていくものが増えました。さらに12月、1月はコンサートの期間と重なり、サツマイモの蔓に対する優先順位が下がってしまって、手がかけられなくなって、1ヵ所の方の苗はほとんどがダメになってしまいました。
 どうか今生き残っている苗は、絶対に守ろう。いくつかの苗をダメにしてしまった反省から、1月半ばからまた力を入れ始めて、蔓の様子をチームのみんなと共有し合い、適切なタイミングで水替えや日光浴ができるように見ていきました。

 そして保存から、ちょうど3ヶ月が経過した今日。特別示し合わせたわけではなかったけれど、11月14日からぴったり3ヶ月後の2月14日に、いよいよ苗床へ植え付けることになりました。今週から気温が10度以上になったこと、そして蔓の状態からも、今がベストタイミングなのではないかと判断し、苗床の準備も含めて、お父さんに相談したところ、やってみようということになりました。

 チームのみんなと待ちに待った、蔓の植え付け。3ヶ月前は半信半疑だったけれど、まさかまさかで、本当に上手くいったのです。生き残った蔓は茎が緑色をしていて、固さもしっかりしていて、三重ハウスの蔓は葉がワサワサと伸びているものもありました。

 まず苗床の準備をしました。前に植わっていたザーサイを全収穫してから使っておらず、土が痩せていると判断して、元肥として落ち葉堆肥と牛肥を木枠1つに対して、てみ4杯分を均一になるように入れて、よく土と馴染むように混ぜ合わせました。蔓も少し弱っているので、牛肥を多めに入れてやりました。

 

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 その後、三重ハウスへ行き、バナナや晩白柚の周りで育っていたサツマイモを掘り起こしました。スコップで掘り進めていくと、30センチもあっただけあって、なかなか先端に辿り着きません。でも地面に深く植わっている部分からは根が伸びていて、かなりしっかりと活着していたことがわかりました。

 蔓や根を傷つけないように慎重になりつつも、奥深くまで植わっている蔓を掘り上げるのは、まるでタイムカプセルを掘り上げているような感覚で、思わず一人、笑みが止まらず、こんなにわくわくした冒険心が湧き立ったのはいつぶりだろうと感じました。でもそれはわたしだけじゃなかったようで、狭いバナナハウスの周囲から、やよいちゃんやせいこちゃんの、「わーっ!」「すっごく深い」という歓声や驚きの声が聞こえてきて、みんなと宝物を掘り上げる子供に返ったような気持ちで越冬サツマイモ苗を掘り上げた時間がとても楽しかったです。

 

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 続いて、ビニール袋で保存していた苗のカットに移ります。袋に入った状態だと50~70センチの長さがあって、そのままでは長すぎるため、植え付けやすいように20センチ前後の長さにカットしました。袋から取り出してみると、先端の一部が茶色く枯れてはいるものの、茎全体が緑色でピンとしていて状態が良いと感じました。全部で4つの袋に保存されてあった蔓を短くカットして、数を出してみると約100本あり、予想以上の数を確保できました。これと先ほど三重ハウスから掘り上げた蔓と数を合計してみると、約120株分の苗を確保することができました。苗床は2枠あるので、1枠に60株計算。4条上で植え付けることにしました。

 

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 植え付け方法はお父さんにも確認して、縦植えではなく、舟底植えになるように苗を斜めに寝かせた状態のようにして植えました。苗の約8割が土に植わるようにして、先端の3~5センチほどだけが顔を出している状態です。植え付けるときによく苗を見て見ると、茎がしっかり太くて、茎間も狭く、ごつごつと強そうな感じがしました。
 植えてみると、2枠いっぱいに植わって、正直、1枠も埋まらないかもしれないと予測していたので、こんなにもたくさんの苗を確保することができて、これだと本当に種芋が要らないじゃないかと思いました。

 

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 最後に硫安を株元にぱらぱらと撒いて、水をたっぷりと与えてやりました。しばらく苗床自体に水がなかったので、土が水をぐんぐん吸収してしまったため、乾かないようによく水をやりました。

 苗が等間隔でぴょこぴょこと顔を出す苗床を見て、ものすごく嬉しい気持ちでいっぱいになりました。3ヶ月前はまさかこんなふうに冬越し苗が実現するとは想像していませんでした。最後にやよいちゃんに、「この冬越し苗から本当に今年のサツマイモの苗が確保できる確率、何%だと思う?」と尋ねられました。わたしは迷いなく、「100%!」と答えました。この現状態をみて直感したのと、ここまででダメになってしまった苗もあったけれど、チームのみんなと愛情を持って見てきた苗が最後まで絶対に成功してほしいという願いも込めて、きっと必ず成功すると思いました。

 わたしの答えに、やよいちゃんも迷わず、「わたしも全く同じ! 100%成功すると思う!」と言ってくれて、さらに喜びが倍増して、こうして1つの野菜を一緒に見ていけるチームの仲間がいてくれることが本当に嬉しいことだと感じました。

 

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 この日の植え付けは一段落でも、冬越し苗の成長は今日からが始まりです。これから毎朝、毎晩の温度管理と水やり管理が始まっていきます。農電ケーブルだけでは心許ないので、二重のビニールにプラスして、保温用の毛布を二重がけして、寒暖差の激しい今の時期からまだ体力のない苗を守らなければなりません。すでに実証してみたところ、農電ケーブルに加えて、ビニールと毛布を二重がけすると、外気温がマイナス3度を下回る日でも、苗床は10度台を維持できることがわかっています。

 また活着するまでは気を抜かずに、毎日の水やりを欠かさずに行って、土が乾かないようにしなければなりません。でもこの3ヶ月間、チームのみんなと当番を組んで守り抜いたように、もうすでにビニール開閉当番を決めて、明日から毎日、チーム全員で水やりをすることになりました。

 今の状態から本当に新芽が生えて、葉が茂るか、本当に上手くいくのか緊張する気持ちもあるけれど、チームみんなの目で見ていけば、きっと成功するだろうという明るい希望が感じられて、また今日から新たな気持ちでサツマイモの苗を見ていけることが楽しみです。
 植え付けも収穫も早い時期に迎えて、サツマイモが豊作になるように、今の時期からできることしていきたいです。冬越し苗の育苗が、きっと成功しますように。

(るりこ)

 

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 今日、2月14日は何の日? そうです。『マチョー』と『ムーチョ』の旅立ちの日です。え? バレンタインデーでしょ! って?
 『マチョー』と『ムーチョ』とは、味噌づくり第3弾の糀の名前(愛称)です。

 今日は、味噌の仕込みの日。2月10日のお米研ぎから始まった第3弾の味噌づくりも、今日が最終日です。味噌メンバー以外のみんなにも手伝ってもらって、大人数で味噌玉作りをし、味噌を仕込みました。
 私ははじめに、大豆を煮させてもらいました。11.25㎏を大鍋1鍋で煮て、1回戦ごとに2鍋分。22.5㎏の大豆が1樽の味噌樽に入ります。

 大豆の灰汁を出す為に、火加減を調節しながら、あく取りをし、柔らかくなるまで煮ていきます。火加減が弱すぎると灰汁がでません。灰汁を出さなければ、水がいつまでも濁っていて、灰汁のある状態で、その水で煮た煮豆は美味しくはなりません。しかし、大豆を踊らせると大豆の味が落ちてしまいます。その中間で、大豆が踊らないけど灰汁が出続けるという状態を常に保ちながら、あく取りをしていきます。湧いてきたら火を弱めたり、火が弱すぎたら強めて、と火加減も微妙な調整で変わり、ベストな状態にもっていくのは繊細な作業です。あく取りをしていると、水かさが減るため、途中で水を足していきます。

 大豆が煮あがるまで、2時間以上かかりますが、この作業を集中して行っていると、2時間もあっという間です。
 私は、大豆を煮るのがとても楽しいと思いました。灰汁の出るピークの時間帯もあるのですが、灰汁に負けないぞ!という気持ちでスピード感も意識してひたすら灰汁をすくい取るのが、楽しくて、灰汁をたくさん出させて、しっかりとあく取りをし、だんだんと水が澄んでくるのが分かると、とても嬉しい気持ちになりました。

 大豆が踊らないようにと、火加減を調節するのも、面白いです。微妙な火加減で変わってきます。大きな鍋では、火が一部だけに当たってしまいかねないのですが、煮え具合が均一になるように、大豆に気付かれないように、そーっと豆を鍋のなかで、調理用の木杓文字をつかい、鍋の縁につけた状態でまわし、豆を移動させたりもします。
 意識したり、気をつかうことが多数ありますが、そうして美味しい大豆が煮えますようにと、心を込めてやるのが、楽しく感じます。

 

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 灰汁が出なくなり、大豆を煮ていた水はちゃんと澄んで、煮あがる時間の予想通りに煮上がり、みんなのもとへ届けることが出来て嬉しかったです。

 先週は、河上さんに大豆の煮方を教えていただき、ゆりかちゃんが動画を撮り、動画で見られるようにしてくれたことも嬉しく、初めて大豆を煮るという人も、イメージや理想を持ってやることができると思いました。今回も、大豆を煮るメンバーで動画を見て確認し、今日に臨みました。
 ベストな火加減が自分の中に入ると、迷い無くする事ができました。

 大豆が煮えたらミートチョッパー係のなつみちゃんとももかちゃんにバトンタッチ! 大豆が冷めないうちにミートチョッパーにかけます。今日もミートチョッパーは順調に動いてくれ、スムーズにいきました。なつみちゃん、ももかちゃんも慣れた手つきでスムーズに。さすが『スピード・ジョブズ!』

 

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 大豆がミートチョッパーにかけられたら、おまちかね! 味噌玉作りです。たけちゃんやちーちも来てくれて、みんなで味噌玉作りをしました。
 私は大豆を煮てからの参加になり、『ムーチョ』の仕込みに入らせてもらいました。
 真っ白な純白の糀に仕上がり、昨日チームのみんなで少しつまんで味を見てみたのですが、ふわっと甘みが広がり、「あまい!」と全員が言うほど、美味しい糀になっていました。糀箱からはがそうとすると、糀が板状になって、菌が良く繁殖していることを感じました。

 塩と合わせて塩きり糀を作り、そこに冷ました大豆とよく混ぜ合わせ、味噌玉にし、しっかりと空気を抜きます。今日が、バレンタインデーなので、ハートの味噌玉を作ってくれた子もいました。
 ちーちは、まるめるよりも、平らにぺったんぺったんするのが好きなようで、上手に、空気を抜いてくれていました。
 たけちゃんは、毎週、味噌玉づくりを楽しみにしてくれていて、たけちゃんの笑顔にも癒やされます。

 

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 お味噌はつくった人の空気が味になると言われていますが、温かい雰囲気で味噌を仕込む事が出来て、きっと美味しい味噌になってくれるだろうな、なって欲しいなと思いました。

 今回で、味噌づくり3弾になりますが、1弾から2弾と、こうするのが良かったということを更新していき、どんどん良くしていけていることが嬉しく思います。
 今回は、手入れの後の温度に注意しました。糀が自分で発熱するようになってからも、糀の最適温度に出来るだけ早く持っていくようにしました。全体的にどの糀箱の糀にも高い温度を経験させるようにするために、温度に差があるようだったら入れ替えをしました。高い温度を経験した糀は、繁殖が良く進むように感じました。

 

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 ミルキークイーンの特徴で、後半の温度の上昇は緩やかな為、温度を下げすぎないということもポイントだと思いました。入れ替えをする際に、糀室内の温度が下がりすぎないようにすることも大切で、湿度や温度を保つために、ビニールや布の開閉も最低限にし、気を遣っています。
 糀の上にかけている蒸しタオルのしぼり加減もその時に応じて変えました。引き込みや切り返し、盛り込みまでは、やや硬めで、自分で発熱するようになってからは、蒸発していくので徐々にゆるめにしていきました。
 電熱器に置く鍋の大きさ、お湯の量によっても、温度の変化があることを感じ、鍋を替えたり、お湯の量を調整したりと、試行錯誤で、どうするのが良いのか、見つけていきました。
 昨日の出糀では、「ミルキークイーンを使っての糀作りで一番良い出来だね!」とゆりかちゃんが言ってくれて、本当に良かったなと思いました。
 『SPEED JOBS』Nice Job!

 

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 自分達で考えた、手作りの糀室で、試行錯誤で、これまでの先輩方が積み重ね、追求し、マニュアル化してくれた糀作り。私も、これまで大切にしてきたものを残しつつ、もっとより良くするために出来る事、進化させていけるように、頭と心をつかっていきたいと思います。
 そして、美味しい味噌を作りたいです。

 来週は、今年の糀づくりラスト第4弾です!

(ひろこ)

 

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〈桃の摘蕾も進めました!〉

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