「おしくらまんじゅう」 なつみ

2月8日

 わたしは、今、まえちゃんからのミッションを貰っていて、そのミッションを、みんなと果たすのだという、使命感に燃えています。
 やることがある、というのはとてもワクワクすることだなと思います。

 今日のミッションは、落ち葉の山の移動と、担当で見ている人参の間引き、追肥、中耕、土寄せでした。
 朝ご飯を終えた後、まえちゃんから「お願いね」と声を掛けてもらって、気合がグッと入りました。午後の作業までのすき間時間で、プランを立てて、作業メンバーが発表されてから、メンバーのみんなで、段取りと目標タイムを決めて、「みんなで終わらせよう!」という気持ちで、畑に向えて、それがとても嬉しかったし、心強かったです。

 道具の用意をせいこちゃんとしているとき、「今日は寒いねぇ、どうしたら暖かくなるかな」と話したら「おしくらまんじゅうとか?」と返ってきて、(それだ!)と思いました。みんなで、腕を組んで、ギュウギュウにお尻で押し合う。想像するだけで、ほこほこしました。

 畑に着くと、まえちゃんから詳しく作業内容を聞いているももちゃんが、進めてくれていて、わたしもテミを持って参戦しました。
 今日は寒いなぁと思っていたけれど、みんなとせっせと落ち葉の移動をしていると、あっという間に温かくなり、寒いと辛いかなと思っていたのですが、心配無用のぽっかぽかでした。

 山が半分ほどに減ると、人数に対してスペースが狭く、効率が悪くなってきたので、先行して、せいこちゃんとわたしは、人参の手入れに向いました。
 2人でも、サクッと出来る、牛肥の追肥と中耕を、皆が来るまでに終えてしまおうと、スピードを意識して30分ほどで終え、間引きを始めよう、と思ったところで、落ち葉の山の移動を終えたみんなが畑に来てくれて、ナイスタイミング。みんなにそのまま説明をして、1ペア1畝で進めていくようにしました。

 人参は15センチから10センチ間隔の3条植えと4条植えの畝があり、畑は小さいけれど、新しくお借りした畑には、1470株の人参が植わっています。
 それから一つひとつ間引きをするというのは、地道な作業。動きも少ないので、やっぱり寒くなってきます。大丈夫かなと思い「寒くないですかー?」と皆に尋ねると「すっごく楽しい!」という答えが返ってきて、それがとーっても嬉しかったです。
 おしくらまんじゅうは、みんなが1畝終わったらやろうと決めました。

 間引きの作業、どの野菜の間引きも、一足早く間引き菜をいただける楽しみがあって、わたしは好きですが、最近、人参や大根など、根菜の間引きをしていると、特に好きだなと感じます。
 間引いた人参が、真っすぐで立派だと(きっともう一本も良い人参だ!)と嬉しくなるし、間引いた人参が又割れしていたら(良い方を残せてよかった!)と思います。立派なのを抜いても、また割れを抜いても、当たり。ハズレのないクジのようです。
 本当は、反対のことも言えるのだけれど、そのことをせいこちゃんに話すと「ほんとだ! いいね~」と笑顔で言ってくれて、気持ちを大事にしてくれるせいこちゃんが優しいなと思いました。

 人参第2弾は、細かなビニル開閉をしているので、想像以上に良く育っています。
 人参スティックにできるほど、大きくなっていて、安心したし、これからが楽しみです。

 そして、お互いにヘルプしあって、1ペア1畝が終わったところで、おしくらまんじゅうをやってみます。
 少し幅のある畑の畔で、楕円状に、背中合わせ、となりの人と腕を組み「せーの!」の声を掛けると、みんなが「おしくらまんじゅっ! おっされて泣くな!」と言いながら、一斉にお尻で背中の人と押し合います。
 わたしは、みんな遠慮がちにやるかなと思っていたのですが、全く遠慮のない、大人の本気のおしくらまんじゅうで、本当に体が温まりました。

 思っていたより、みんなが楽しんでくれたので、人参の間引きが終わったら、もう1回やろうねと話して、今度は、1畝に等間隔で入って、1畝を全員で終わらせる方法で進めました。1ペア1畝は、ちょっと時間がかかるように感じて、1畝をみんなで短時間で終えて、次の畝にすぐ移動できるようにしてみました。
 そうすると、1畝7分くらいで終わって、あっという間。どうしても進むのに時間がかかる作業は、狭い範囲に人数を投入するのが、テンポよくするコツなのかなと思いました。

 そして、お楽しみのおしくらまんじゅう2回戦目。
 土手側と、人参側にチームをわけて、土手チームが土手から落ちそうになったら、人参チームの勝利。人参チームが人参を踏みそうになったら、土手チームの勝利。
「せーの!」
「おしくらまんじゅっ! おっされて泣くな!」
 皆のお尻が、本気でお尻にぶつかってきます。わたしは、両チームのはざまで、吉畑側に向かって、おしくらまんじゅうしていましたが、せいこちゃんの「危ない!」という声(もう無理だ! と思ったら、危ない!と叫んで降参するルール)で、第1ラウンドは、土手側の勝利。割と決着がつくのが早く、土手チーム、強いです。
 続いて、第2ラウンド。今度は、人参チームの勝利。
 最終決戦、第3ラウンドまで持ち込まれました。
 変わらず、本気でお尻がぶつかり合いますが、やはり土手側が強い。やっぱり、土手から本当に落とされてしまうのを想像すると、本能的に力が入るのか、人参チームを負かして、土手チームの勝利。

 3ラウンドもやると、息が切れるほど体が温まり、時刻は3時50分。
 まえちゃんからの今日のミッションはクリア。しかし、まだやりたいことはあります。

 2人は、池上三角の畝たてマルチ張りに出張。残る6人で、後日予定していた、収穫の終わった野菜の株を引っこ抜く作業を進めました。
 片付けと準備をして、畑に着いたのは4時18分。
「これから、引っこ抜き大会を始めます!」と言って、みんなで30分かけずに終える目標と、それぞれのチームで作戦会議をして、4畝分の株を引っ込ぬき、よーく土を落して、粉砕しやすい決められた場所まで株を運ぶ。その作業をどちらのチームが早く終えられるかの勝負です。

「よーい、ドン!」
 わたしは、片手で1株ずつ、つまり、2株を両手で同時に抜いて、脇に抜いた株を持ってためていき、持ちきれなくなったら、株の山へ運ぶプランで進めました。
 土も乾いているので、しっかり根っこについた土も落とせました。
 どれみちゃんが、金曜か土曜に粉砕してくれるので、その時、詰まらないように、土がしっかり落とせて良かったです。

 勝負にすると、よりスピードが上がり、最終的には、その後、蕪のビニル掛けと、他の畑の整理もすることができて、みんなと力を合わせて、楽しく全力で畑が進められて、充実した午後が、気持ちよかったです。

 もう消灯になりますが、明日も、頑張ります。