1月30日(火)「花道つけて、米糀の旅立ち & 桃の剪定、大詰め」

1月30日のなのはな

 第1弾の米糀づくり、4日目。
 この日の朝は、6時から“仕舞仕事”をしました。

 

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 一番手入れ同様に、攪拌することで、熱が放出されて品温が下がり、同時に酸素が供給されます。二番手入れから3~6時間後、糀の品温が39度に到達したころに行う手入れです。最後の手入れとなるため、『仕舞仕事』と呼びます。

 前夜は22時から、二番手入れを行いました。
 一番手入れから仕舞仕事までは、33度から38度を行ったり来たりさせ、仕舞仕事のときには39度に持っていきます。その間、特に夜中に、1時間に4度ペースで温度が上がると予想されます。二番手入れは、必須の手入れではないのですが、二番手入れをしておくことで夜間の管理が楽になることと、蒸しタオルを交換することで、保湿にもなるため、なのはなでは、基本的には毎回、二番手入れを行っています。

 二番手入れ後からは、品温が上がることを見越して、はじめから温度の急上昇を抑える対策を行いました。
 夜中の見回りでは、予想通り、どんどん品温が上がっていっていった為、ここで登場した対策が、換気扇。家庭科室のリニューアルした換気扇をつけ、部屋の温度を下げるという対策を取りました。今回の発見としては、この対策が、意外にも効果的だということが分かりました。

 また、別の時間帯の見回りでは、段の入れ替えをしました。温度が上がり過ぎているものと、低いものとを入れ替えることによって、今度は、温度が低かったものが高まり、高くなっていたものが抑えられ、全体としてバランスが取れるという利点があり、今回の糀づくりでは、入れ替えを何度もしていますが、これが良かったなと感じています。

 

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 順調に、朝には39度に到達し、仕舞仕事をすることが出来ました。
 タオルをはぐってみると、はぜまわりが進んでいて、白く、“ふわもこ”になっているのが、とても可愛らしく思いました。
 糀箱の底からはがし取るようにして、糀を持ち上げてみると、すでに板状になりつつあり、しっかりと繁殖が進んでいることを目でも、感触でも感じる事が出来ました。

 糀の成長を感じると、本当に感動します。
 糀箱全体にほぐして広げて、指の先で川の字を書き、溝をつけました。これを『花道をつける』と言います。結婚式の花道のように、糀が旅立つのだなと感じました。
 これで、最後の手入れになると思うと、寂しい気持ちもしました。

 

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 仕舞仕事の後は、明日の仕込みに向けて、白大豆を洗いました。昨年末に収穫し、今年みんなで選別した、なのはな産の白大豆です。とてもキレイな大豆で、浮いてくる豆もほとんどありませんでした。
 大豆を丁寧に洗い、樽に水につけました。水は、大豆の2.5倍の量で、たっぷりの水に浸けました。

 日中も温度管理をしていきました。夕方4時頃に40度に到達が目標です。
 品温はどんどん上がっていきます。入れ替えをすることで温度を下げることが出来ますが、いつのタイミングでするのが、一番ベストかを考え、温度の上昇と時間を予測し、温度管理をしていきます。全ての糀箱が同じ温度ですすんでいく訳ではありません。一番のベストは何か、考えます。どう入れ替えるのがよいか。または、そのままが良いのか。逆に温度が上がって欲しい場合は、育苗器の片側だけ毛布を掛けるなどをし、対策をしました。

 

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〈目標の温度まで、もう少し〉
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〈40度に到達!〉

 

 こうして午後4時。丁度に40.0になった温度計がありました。その瞬間をみんなで写真を撮りました。
 全体的に40度を超え、ベストのタイミングで出糀を迎えることが出来ました。
 引き込みから48~54時間程度と言われていますが、丁度良いタイミングです。

 糀菌は、米粒の内外まで充分に繁殖すると、それ以上繁殖は進まず、むしろ胞子を作って、糀がだんだん黄緑色になっていきます。これを糀の老と言うそうです。
 温度が高い室内だと、糀が活動をし続け、老化してしまうので、部屋を冷やし、10度以下の風通しの良い所に出しました。
 1つ1つ糀箱を出していくのが、我が子の旅立ちのようにも感じました。

 

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 36箱の育苗箱が並ぶと圧巻です。
 出来あがった糀の味見をしてみると、ほんのり甘さを感じ、糀ってこんなに美味しいんだと驚きました。
 第1弾の糀作りは、上手くいったと言えるのではないでしょうか。また、今回良かったことや、分かった事を次に活かして、さらにより良い糀作りを構築していきたいと思います。
 出糀の後からは、明日の仕込みに向けての準備や、糀づくりで使っていた道具の片付けを進めました。

 

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 これまで、お米研ぎから始まって、たくさんの工程を経て、お米が糀となって、自立するのだと思うと感慨深いなと感じました。糀を育てるのは、子育てと似ていると聞きますが、本当にそのように感じます。糀にも耳があり、気持ちがあって、その場の空気や声を聞いているようにも感じます。
 私は、改めて糀を作るこの時間が、大好きだなと思いました。
 糀に触れていると、どんどん肌がキレイになっていくのも感じます。糀には、美肌に導く成分が多く含まれると言いますが、それを実感しています。免疫力を強化する働きももっている糀。糀って凄いなと思います。

 明日は、いよいよ味噌の仕込みの日。お味噌は、作った人、その場の空気が味になると言います。みんなと明るい空気で、美味しいお味噌が出来る様に。3年後、食べてくれる人に美味しいお味噌を届けられるように、気持ちを込めて仕込みたいなと思います。

(ひろこ)

 

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〈温室の建築や、セロリや春菊の液肥やり、小豆の選別なども進めました。これまで130本を超える樹を手入れしてきた桃の剪定作業は、大詰めとなり、残すところ古畑の樹のみとなりました〉
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〈観賞用に、早くから桃を開花させるための枝の用意も行いました!〉

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