1月8日(月)「ウィンターコンサート写真鑑賞会 & お父さんとお母さんの新春ライブ!」

1月8日のなのはな

 ウィンターコンサートから2週間。コンサート本番で、客席から、カメラマンの中嶌英雄さんや、ボランティアの方が撮ってくださったたくさんの写真を、今日はみんなで鑑賞しました。
 年末や、お正月、紅白歌合戦など、コンサート後に様々なことがあったからか、みんなとウィンターコンサートをした日が、2週間前だと思えないぐらい遥か昔のことのように感じていました。でも、食堂のテレビの画面いっぱいに、幕が上がった直後の『オブリビオン』の舞台全体の写真を見て、みんなとコンサートに向かって積み重ねてきた日々や、気持ちが鮮明に思い出されてきました。

 

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〈ステージカメラマン 中嶌英雄さんが撮影してくださった、幕開けの曲『オブリビオン』〉

 

 コンサートをしていながら、私も、みんなも、舞台背景が設置されて、照明もついた中でどのようにダンスや劇、コーラスが客席から見えていたのかを知りませんでした。そのため、確かにみんなと作ったシーンでも、一枚一枚、とても新鮮に感じました。この写真の中に、自分もいるのだと思うと信じられないような気持ちになりました。
 照明が当たった舞台背景がとても綺麗でした。岩の凹凸のコントラストがはっきりしていたり、レンガの色が凄く綺麗だったり、骨格標本の恐竜たちの頭に青い照明が光って、不気味なくらいに目を引いて、今にも動き出しそうでした。中心のスターブの輪郭が浮かび上がって、宙に浮いているように見えたし、本当に魔法が掛かったように、その場だけ別世界の空気がありました。

 

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 こんなに大きな舞台装置の中で、踊ったり、演じたりしていたんだと思いました。そして、写真に写るみんなの姿もまた、舞台背景以上に、物語の世界観を醸し出していました。
 大人数ダンスでは、2階席から撮った写真がものすごく綺麗でした。舞台の上すべてがよく見えて、一人ひとりのポーズもよく見える中で、一人も例外なく、手の角度も、足の形も全員がぴったりと揃っている姿に、とても感動しました。全員が、一人の分身のようでした。シャッターが切られた一瞬に、舞台の上ではこんな奇跡が起こっていたんだと思いました。そして、その奇跡はまぐれではなく、どの写真を見ても、奇跡が見えて、これを3時間ずっとみんなとバトンを繋いでいたんだ、と思うと、涙が出そうになりました。

 

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〈『ホワイト・フラッグ』〉

 

 写真に写るみんなの姿、表情に引き込まれていきました。写真に写る、ステージに立つどの人を見ても、輝いて見えました。一部を切り取ってみても、そこに映る人の目の奥に強い光が見えたり、伝える意思が見えました。自分たちが作りたかった理想の世界を、目に見える形で再現しているみんなの姿が、輝いて見えました。みんなの笑顔の奥に、真剣に求める答えを真っ直ぐに見つめる強い気持ちや、仲間を守るための勇気が見えて、心を打たれました。違うシーンではあっても、どの人を見ても、感じること、伝わることは同じでした。断片的な写真からも、コンサートで作ってきた一体感が見えました。

 写真を見ることで、美しいステージや、自分たちがコンサートに向かってきた気持ち、コンサートでたくさんの人を前に伝えたことが、自分の中にインプットされたような気がしました。気持ちだけの記憶が、客席から見た写真とリンクして、確かにあって、そして確かにお客さんに伝わったこととして、自分の中に落とし込めることがとても嬉しいなと思いました。写真が脳裏に焼き付きました。

 

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 写真を鑑賞した後は、お母さんが、コンサートを観に来てくださったお客さんが出してくださったアンケートの回答を、たくさん読んでくださりました。
 コンサートの舞台の上から、お客さんが、自分たちの言葉を真っ直ぐに受け取ってくれている空気、吸収されていくような感覚を感じました。また、劇、ダンスが終わった後の、大きな拍手を耳で覚えています。そのことで、お客さんに自分たちの気持ちが、伝わったことを肌で感じました。
 そしてまた、アンケートで言葉として感想を聞いて、より自分たちの生き方が、自分たちだけのものではなく、たくさんの人に通用し、そして賛同してもらっていることを感じました。

 こんなにも近い場所に、私達を応援してくださっている人がたくさんいるんだ、と感じて、本当に嬉しい気持ちになりました。どう生きたらいいのか、その答えを求めている人は、自分たちだけではなく、たくさんいるのだと思いました。そして自分たちが立ち直って、答えを持って生きていくことが、本当に誰かの希望になったり、勇気を与えられるのだと、コンサートを通して思いました。アンケートの内容を聞いて、伝えられたんだ、と思いました。

 

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 それと同時に、コンサートで表現した世界を、お客さんに伝えたことを、永遠にしていくのは、今、この瞬間なんだと思いました。コンサートで終わりではなくて、コンサートが始まりだったんだ、と気づかせてもらいました。私達が表現したことに共感してくれた人がたくさんいるということ、そして、私達のステージを見て、私達と同じ気持ちで生きたいと願う人が現在進行形でいるということを、忘れてはいけないと思いました。私達のステージはお互いさまで、見てくれる人がいるから、私達は生きていく道を確認することができ、そして本物にしていけるのだと思いました。だから、これからもずっと、私達と同じように前に進もうとする人にとって恥じない生き方をしていきたいと思いました。

 毎日が本番で、まだ見ぬ誰かに繋がっていることを強く思いました。高いところでキープしていくのは、誰にとってもとても難しいです。だからこそ、目の前の目標に向かって、諦めずに上ろうとする気持ち、本気になって、力を尽くす姿勢を崩さずにいたいと思いました。
 気持ちが引き締められて、これからも、勇気を持って過ごすきっかけになった時間が、とても嬉しかったです。

(りな)

 

***

 

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 今夜は、新春、新年ライブ。音楽室で、お父さんとお母さんのライブが行われました。優しく温かくみんなを見るお父さんお母さんの笑顔、全力で歌ってくれるお父さんと、合いの手を入れるお母さん、そこにみんなが引き込まれて手拍子をしたり一緒に歌ったり。少し照明を落とした音楽室の空気にあるものは、圧倒的な安心感、人と人の間の温かさ。新春ライブがあることで、私たちも、ちゃんと地に足をつけて頑張っていこうと思えるのです。

 

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 お父さん、お母さんの弾き語りとトークの2時間半。今回は3部構成。
 第1部は「お父さん、お母さんに聞いてみよう」のコーナーでした。私が印象に残った質問は「自尊心と仲間」についてということで、お父さんが、
「本当に数人でいいから、この人とは心が通じあっている、と思える人を作って欲しい」
 と教えてくださいました。お母さんは、
「その人と、ずっと仲良しでいたいと思わなくていい。その一瞬一瞬、仲間だと思えた出来事、それを一生持って生きていけるというか」
 と言って、3歳のたけちゃんと、お母さんの話をしてくださいました。
「たけといると、お母さんはたけのところまでスッと降りていけるし、たけは、ものすごくお母さんを気遣ってくれる。お母さんが良い人間だからというのではなくて、気遣うところが一緒なんだ。何に喜び、何に悲しむかも同じ。だけれど、一緒にいるのが恥ずかしいから、べたべたしない。そういうところも同じなんだ。
 でも、たけちゃんも大人になっていくから、この関係は今だけのもの。それも残念に思わない。血は繋がっていなくても、孫以上に孫であることが、お母さんにとって宝物だし、何年経っても、たけとお母さんは仲間なんだ」
 と教えてくださいました。

 

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 また、お父さん、お母さんが私たちと同じくらいの歳のときのお話をしてくださいました。人生に起こる偶然のような必然、葛藤、お父さん、お母さんが乗り越えてきた道を聞いて、私もとても勇気が湧きました。そうした話のあいだに、いくつもの曲が歌われました。

 お母さんの「占いの館」の時間。今回は、年女である、ひろこちゃんについてのお話でした。本当によく当たっていて、会場は、笑顔や拍手に包まれました。

 第2部は、「お父さんとお母さんからみんなに聞いてみよう」のコーナーでした。くじで選ばれた回答者はお仕事組のゆいちゃん。ゆいちゃんはネクタイなどをつくる会社で縫製のお仕事をしています。難しさを感じつつも、やりがいを持って仕事に向かうゆいちゃんは私たちの希望です。そんなゆいちゃんに、お父さんが送った曲は『なごり雪』。「去年よりずっときれいになった」と歌うとき、お母さんがゆいちゃんに「あなただよ」と手を向けました。
 続いて回答者に選ばれたのは、2023年のウィンターコンサートで主役の女の子3人組を演じたメンバー。演技の練習と同じくらい、ときにはそれ以上に、脚本や役について話し合う時間が長かったこと。そのなかで、仲間の力を借りて、成長したと思うこと、感じたことを話してくれました。

 

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 第3部は、未来に向かう私たちのこれからの話でした。生きるか死ぬかというところから、なのはなにたどり着いた私たち。ウィンターコンサートでも表現したように、私たちは、同じように苦しんだ人たちが生きやすい社会をつくること、その人たちが生きていけるための道しるべになることを目指して回復、自立していきます。今年の目標は、具体的に道しるべを残すこと。どうやったらいい野菜ができる? どうやったら信頼し合う仲間を作れる? どうやったら人から信頼される自分でいられる? 抽象的ではなく、具体的な目標にすることを話してくださいました。例えば、人と信頼関係を作るには、自分が信頼される人であらなければいけませんが、掃除のときに塵を隅まで綺麗に拭き取る、靴を綺麗に揃える、そういうディティールが大切なのだと、お父さんが話してくれました。そう考えると、相手から信頼されるに足る行動をしたいし、いつでも自分を離れ、人と同じところで話ができる自分の土台を作りたいと思います。

 

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 そして最後の曲は『ヒーロー』。お父さんが最後まで熱唱します。私たちは、みんな誰かのヒーローになるのです。この人といたら安心する、この人とだったらなんでもできる、そんなお互いにヒーローだと思える仲間をつくる、そんな1年にしていきます!

(おと)