1月2日のなのはな
書初めをしました。
なのはなファミリーでは、書初めで、顔真卿の字を書きます。
お父さんがはじめに、顔真卿の字を書くことの意味を、話してくださいました。
物事を習うときには、自分を出さずに、ひたすら真似る。
書道では、顔真卿の文字を8年、真似して、真似して、真似しきる。そして顔真卿の文字を、そっくりに書けるようになったら、王義之の字を5年、菅原道真の字を3年、真似する。そのようにして、お手本とする人の字を、そっくり真似て書けるようになって初めて、自分の字というものを書いてよい。それが個性である。書道によらず、人生についても同じことがいえる。
身が引き締まりました。
顔真卿は中国の役人で、曲がったことが嫌いで、正義を通すあまり仕えるところが何度も変わったといいます。そのまっすぐで妥協しない性格や人格が、文字に如実に現れていると感じます。真似るというのは、顔真卿の文字だけでなく心を真似ることです。
また、基本的な筆遣いもお父さんが実演してくれましたが、どう書いたらいいか質問をかさねるよりも、自分で似せようと思って書くのが一番だということも話してくださいました。
実行委員さんが考えてくれて、今年は、「行雲流水」をペアで2字ずつに分けて書きました。
私はゆいちゃんとペアで、じゃんけんをして、「行雲」を私が、「流水」をゆいちゃんが書くことにして、隣あって書きました。
墨汁を硯に垂らすと、墨の香りに、心が静まりました。ひたすら、お手本を真似ることに集中していると、時間が経つのを早く感じました。
お父さんが途中で、一人ひとりに講評をしてくれました。
「顔真卿の字を真似ようという心が見えて、良いですね」
「横棒が細くなりすぎているので、もう少し太くしたらいいと思います」
「雰囲気は顔真卿ですね」
「顔真卿が予定のない日曜日の朝にのびのび書いた字、という感じですね」
「ちょっと自分を出してしまっているかな」
一部うまくいっても、他のところのバランスや、ハネるところがうまくできなかったり、1枚に完全に集中しきるということも、なかなか難しかったです。それぞれ、お父さんからいただいたアドバイスを踏まえて、再び書に向かいました。
また、筆を運ぶときのスピード感や潔さなど、顔真卿の心にならなければ書けないのだと感じました。
清書したものの中から良いものを選び、名前を入れて、抱負の字に移りました。
抱負は、二字熟語を書きます。抱負は、自分の心に刻むつもりで書きました。
清書した「行雲」「流水」は、食堂の黒板に、実行委員さんがペアごとに貼ってくれました。
「あんなちゃんが書いた行雲と、私が書いた流水は、文字のバランスとか全体の感じが、同じ人が書いたみたいに見える」
ゆいちゃんが話してくれて、見たら、本当にそんなふうに見えて、嬉しい気持ちになりました。
「みんな、顔真卿に似せて、よく書けている」
「良い字だよ」
お父さんお母さんが言いました。
「今年の書初めで書くのは、お母さんの座右の銘と思っている字なんだ」
前日にお母さんから聞いていました。黒板に貼られた「行雲流水」の書を見ていると、心穏やかな、それでいて背筋が正されるような気持ちになってきました。
食堂の梁には、抱負が貼られました。
食堂の席に座ると、自ずとみんなの書が目に入り、みんなの新年への意気込みが感じられました。
お正月に書初めをするというのは、現代では少なくなってきているのかもしれませんが、このようにみんなで日本ならではのお正月を過ごせることが、ありがたいし、守っていきたい文化だと感じます。
(あんな)
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1月2日。午後に百人一首大会をしました。
今日行ったゲームは全部で3種類で、散らし取り、青冠、坊主めくりです。
散らし取りは、シンプルな百人一首のゲームです。下の句が書いてある取り札を100枚散らして、読まれた札を取っていきます。
私は実行委員だったので、みんながとっていく様子を見ていましたが、だいたい半分くらいの札は上の句の時点で取られていて、みんなの記憶力に驚きました。
また、この札だけは絶対に取りたいという風に覚えている子がいたり、何を読まれてもすぐにとっていく子がいたりして、あっという間に札が減っていきました。
私も今日に向けて何首か覚えていたのですが、覚え方の紙をリビングに張り出していたので、自分の覚えていた句はほかの子もしっかりと覚えていました。それだけ情熱を持って取り組んでくれる子がいるのが、実行委員としても嬉しかったです。
この散らし取りの最中は、和室が真剣な試合の場になり、お正月遊びの中で1番静かでした。緊張しますが、真剣勝負は楽しかったです。
2つ目のゲームは青冠です。このゲームは、百人一首の絵札を使ったカードゲームです。
縦烏帽子(たてえぼし)、横烏帽子(よこえぼし)、青冠、姫、坊主といった絵札の違いを使って遊びます。
頭脳戦である要素と、運である要素と、ギャンブルの要素があり、それぞれのチームで戦い方が違って白熱していました。手札に姫ばかりが来てしまい、これは大奥だ、という声があったりしました。
また、このゲームでは機械的に手札を減らしていくだけでは勝てず、同じチームのメンバーの様子を見てサポートしたり、時には勝利を委ねて自分たちは待つ。という戦い方で勝利したチームもありました。
最後のゲームは坊主めくりです。山から1枚ずつ札をめくっていく、シンプルなゲームです。運のみが必要になります。新年の挨拶に来てくれていた、あゆみちゃん一家も参加してくれました。
坊主を引いた人は、手作りの坊主かつらを被ります。最初は2グループに分かれ対戦し、最後は全員で輪になってゲームをしました。
カードの枚数が増えるとギャンブル要素も倍になります。あゆみちゃんファミリーのたけちゃんが一攫千金の姫を勝ち取り、大勝利を収めました。
散らし取りの空気から、がらっと変わって、たいへん賑やかな試合でした。
お正月の日本らしいゲームをみんなに楽しんでもらえてよかったです。
(ちか)