12月14日(木)「大竹さん、お帰りなさい!● 準備大詰め ホール入りへ向かって」

12月14日のなのはな

 朝、目が覚めてグラウンドを見ると、そこには、見慣れない車がありました。
 そう、昨夜、私たちのウィンターコンサートのために、大竹さんがなのはなファミリーへ帰ってきてくださったのです。

 木彫家である大竹さん。毎年のこと、ウィンターコンサートの大道具・小道具の制作を大竹さんが助けてくださり、今年もコンサートの照明では調光卓をしてくださり、大竹さんが帰ってきてくださったことがとても心強く、ありがたいです。

 

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〈大竹さんが、劇のなかに登場する魔法の杖を作ってくださっています〉
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〈物語のなかで大切な役割を持つ魔術師が扱う杖の先端には、立派な龍の頭があしらわれます。大竹さんが、ファルカタという木の板を合成して一つの木材とし、彫り込んでいったことを教えてくださいました〉

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〈コンサートの照明では、大竹さんが調光卓の操作を。河上さんの長女の、りかぽんがキュー出しをしてくださいます!〉

 

 ウィンターコンサートまで10日。
 その数字を見ると焦りや不安な気持ちもあるのですが、最後の最後までよいものを目指して、ホール入り前のこの1週間は最後の大詰めで、ダンスやコーラス、劇の練習、舞台背景の制作などが進んでいます。

 日曜日からは極寒と聞いているのですが、ここ数日は12月とは思えないくらいに気温が高く、ダンス練習には打ってつけの日和が続いています。

 この日は、あゆちゃんが大人数で踊る『オブリビオン』のダンスを見てくれました。

 この曲は壮大で情緒豊かな曲で、ダンスの振り付けもそのスケールの大きさに合うように考えられているのですが、なのはな史上一番というくらい、フォーメーション移動が複雑で、少し間違えたら、衝突事故が起きかねない振り付けになっています。

 ですが、同じ苦しみを味わい、そして今、同じ方向を向いてよくあろうと前を向いて進んでいる仲間、いつも一緒に生活している仲間だからこそできるダンスでもあり、毎回、練習の時から1回1回踊る前に、(どうか、成功しますように!)と祈るような気持ちになります。

 

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 あゆちゃんとのダンス練習では、大サビに入る前のみんなが円になって踊るフォーメーションの部分を詰めていったのですが、これまで当たり前のように踊っていた部分でも、カウントを細かく区切ってみてみると、まだ揃えきれていない部分、止めたいのに止められていない部分、微妙な角度のずれなどがあることが分かり、それらも最後の最後まで粘り強い気持ちで、あゆちゃんに見てもらいながら揃えていきました。

 円のフォーメーションは隣の人との距離も近いため、フォーメーション移動の成功率も低く、本当にみんなが同じ気持ちで、同じ緊張感やお互いを思いやる気持ちを持たなければ、移動の時に衝突事故が起きてしまったり、目的地にたどり着けないなどの問題が起きてしまいます。

 あゆちゃんが、
「ここは、みんなが気持ちを揃えて、頼む! と願う気持ちで踊るんだよ」
 と話してくれて、(どうか、お願い!)と思いながら踊ると、自然と全体の空気や気持ちも揃っていくことを感じました。

 ギリギリまで粘ってパッと後ろを振り向くと、私の対照にはあけみちゃんの姿があるのですが、あけみちゃんも真っすぐに私のほうを向いてぐっと目力を込めていました。

 あけみちゃんとの距離は実際には2メートルほど離れているけれど、心の中でお互いに、「よし、やろう! 私たちなら、大丈夫。成功するよ!」と誓うようにお互いに手をギュッと握りしめたような感覚がして、一瞬、時が止まったかのようにあけみちゃんと目が合った後、複雑なフォーメーションに入るとき、すごく気合いが入ったし、この感覚を忘れたくないと思いました。

 

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 なのはな内では、「『オブリビオン』のダンスは、賭けをしているような感じだね」と話題になることもあるのですが、本当にギリギリのところを狙って、本当に狭く、目を凝らさないと見失ってしまうような光、でも確実に輝いている一筋の光の上をみんなで歩いているような感じです。

 けれど、その向こうには全体でみんなの気持ちが揃っている感覚があり、それがあって初めて、見ているお客さんを、まだ見ぬ誰かを感動させられるものがあるのだと思います。

 会場に来てくださったお客さんが私たちのダンスを見るのは、本番の一度きり。その、たった1回の本番でこれまで私たちが練習してきた過程、その中で積み上げてきた心や、全体の一体感をすべて出して、お客さんに私たちの生きる真剣さや真っすぐさをダンスの振りを通して受け取ってもらえるようになりたいです。

 

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 あなたが私であってもいいし、私があなたであってもいい。
 ダンスを踊るときも自分から離れることで、全体の雑味がなくなり、動きや空気がよりクリアになります。ダンスという1つの表現する手段を通して、仲間との一体感を感じたり、自分が見ている目線と目の前の人が見ている目線が同じことを感じ、本当に同じ志をもって生きる仲間がいることを心強く思います。

 あと10日間。時間は限られてきましたが、最後の最後までみんなと高いレベルを求めて、ステージ全てを1つのアートにできるよう、自分のやるべきことに向かいます。

(ななほ)

 

***

 

 コンサートのホール入りまで残りわずか。古吉野でできる準備を進められる日も、片手で数えられるほどになりました。この日は、コンサートの各分野を担当している係ごとに準備をする時間があり、私は、舞台背景係のみんなと一緒に、ホール入りの最終準備を進めました。

 舞台背景の制作は、大きなものはすべて昨日、終わらせることができ、古吉野なのはなの体育館で、これまでみんなと作ってきたものが全部組み立てられて、最終形が目に見えるようになりました。
 ステージの真ん中に置かれる魔法陣や、岩や、レンガや、恐竜の卵……どこを見ても、制作していた時の様子が思い起こされて、それが全部、世界観を作る一つとして有効に活用されていることが本当に嬉しいなと思いました。そして、これを全部、自分たちで作ったのだとは思えないぐらい、スケールが大きくて大迫力でした。

 ホールで組み立てるより一足先に、見ることが出来て嬉しかったし、実際にホールのステージに置いて、布を吊ったり照明がつくと、もっと立体的で華やかになるのだろうなと想像できて、ホールで舞台背景を組み立てるときがとても楽しみになりました。

 

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〈舞台背景のセット内部の整備中……〉

 

 舞台背景を取り付ける足場パイプをすべて出して、すぐにホールへ持っていけるように、綺麗に掃除をしました。さくらちゃんが、エアーコンプレッサーで埃を吹き飛ばしてくれて、その後に、細部まで、綺麗に拭き掃除をしました。

 足場パイプを組み立てるのに、色々な形の、いくつものパイプが必要です。一つひとつが大きかったり、重いものなので、取り扱う時、とても緊張します。ホールへ持っていくすべてのパイプの掃除をし終えることができて、これでホールで組み立てるのを待つのみなのだなあと思いました。そう思うと、気持ちが引き締まる思いがしました。

 舞台背景係では、この日に掃除した足場パイプと、舞台背景を積み込むという大きな作業が残っています。係のみんなと力を合わせて、綺麗な状態でホールまで運べるように、私も自分の出来る精一杯力を尽くしたいと思いました。

 

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 古吉野なのはなでは、他にも色々な係で、ホール入り前の最終準備がはかどっているようでした。ホールに運ぶものがまとめられ、校舎内がすっきりしているように感じたし、一人ひとりが係の役割を背負って、前向きに動いている空気が、気持ちよく感じました。

 どの係抜きにしても、コンサートをすることは出来なくて、本当に、一人ひとりがピースになって、全員でコンサートを作っているんだなあと感じました。みんながいるから、こんなにもスケールが大きなことができて、みんなの存在がとても心強いと思いました。そして、その一部となって、コンサートをより良いものにしていけることが、とても嬉しく思いました。

 みんなと気持ち良くホール入りが出来るよう、あと数日間、古吉野でできる準備を頑張りたいです。

(りな)

 

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〈搬入に向けて、車のメンテナンスも行いました!〉
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〈畑では、暖かかった12月前半の気候によって、野菜が大きくなり、日々、たくさんの収穫ができています〉

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〈霜に備えて白菜の葉を縛り、内部の葉を守れるようにしました〉