【11月号⑮】「ガラス温室が、なのはなにやってくる!」 さくら

 アコースティックギターや木版画を毎週、教えてくださっている藤井さんのご厚意で、ガラス温室を頂けることになりました。十月二十三日から十月二十六日の四日間、須原さんとどれみちゃんと、温室の解体に行かせてもらいました。
 温室の建っている現地に着いたとき、藤井さんが迎えてくださって、毎日、解体作業を一緒にしてくださり嬉しかったです。
 初日には、温室内のものの解体をしました。暖房機とそれから出る煙突、内気扇、換気扇、天窓は自動開閉装置がついていて、設備がすごいなと思いました。

 

 

■仕組みを知りながら

 コンセントのあるボックスがあり、そこから各機器に電線が伸びていました。換気扇の電線はあるところから二股になって、もう片方は温度計のようなものがついていました。換気扇と温度計とが同じ電線に繋がっていることが不思議でした。調べてみると、「温室は温度管理が難しく、温室内の温湿度や室外の日射を自動計測できる換気設備システムを利用することで最適な環境づくりが可能」とありました。温室の短所として温度管理の難しさがあるそうで、それが意外で驚きました。

 次の日から、アルミサッシからガラスを外すという工程に入りました。カバーと押さえの金具を外したら、すぐに外れるものなのかなと思っていましたが、サッシとガラスが黒く柔らかい粘着テープでくっついていました。

 それをどうはがしたらいいのか。はじめはマイナスドライバーを隙間に入れてはがそうとしましたが、粘着テープが強力でした。次はカッターナイフで粘着テープを切り、はがしてみることに。

 切っていくと粘着テープが刃にくっついてしまい、刃の進みが重たくて苦戦していました。すると、藤井さんが、これで刃を拭いたら綺麗にできるのではないか、と、灯油を染み込ませた布をくださいました。粘着テープが灯油で溶けて綺麗になりました。綺麗になった刃に、須原さんが教えてくださり、グリーススプレーをして、その刃が粘着テープがスーッと切れていくのが気持ちよくて嬉しかったです。時間はかかりましたが、無事にガラスを外すことができました。

 

 

 古吉野から離れた場所なので、昼食はお弁当を持っていきました。足元にはタイムが生えていて、爽やかな香りがしていました。藤井さんが手入れされているブドウやイチジクや草花がとても綺麗で、その中で休憩していると落ち着いた満たされた気持ちになりました。

 三日目には、天窓の開閉部分を外しました。
 天窓を開閉する枠が棟の部分につながっていて、それはどうしたら解体することができるのか、探しました。見てもボルトナットなどは見つからず、持ち上げても取れる感じはしませんでした。

 須原さんが手前に引いてみようと言ってくださり、やってみると、スライドさせて外すことができました。サッシの枠をとめたり、片側からしかナットを締められないところは、ボルトの頭が四角になっていました。
 温室を組み立てるのに使われているものは、自分にとって初めて見る仕掛けが多く、解体をしながら仕掛けや細かな部分を知れることが面白いなと思いました。

 

 

 四日目に、天井のガラス外しの続きと、骨組みの解体をしました。
 ガラス外しが終わって、いよいよ骨組みの解体に入るぞ、と最後の山場と思っていたのですが、解体をしてみると、ボルトナットで大枠を次々と外していくことができて、あっという間でした。

 ガラスとサッシとが粘着テープで隙間なく固定されていたように、大枠の部分も気密性を高くするために基礎との間や隙間ができるところには全て、コーキングがされてありました。
 藤井さんのご縁で温室をいただいて、これから古吉野で須原さんたちと基礎を打って、組み立てていけることもとても楽しみです。