11月23日のなのはな
この日は祝日、お仕事組さんも全員揃っての貴重な音楽合宿、スタートです。ウィンターコンサートの脚本が形になって、今週末には、演劇、曲を合わせた1回目の通し練習が予定されています。それまでに劇の部分を形にするために、この日は1日を通して、お父さんに劇のシーンを見てもらいました。
ダンスや演奏のように、劇にも、セオリーがあって、セオリーに則った形にすることをお父さんが話してくださりました。一見、ステージの上を自由に演じられるようだけれど、そうではなくて、目線や体の角度、セリフを言う時の向き、距離感、間の取り方……全部、正解があるのだと知りました。そして、シーンを作る、というのは、その場面でのたった一つしかない正解を見つけて確定していくことなんだと思いました。
演劇にあまり慣れていなくて、ともすると、初心者の気持ちになってしまうけれど、そうではなくて、そのシーンを作る一人として、空気を纏う一人として、責任を持って、正解がこうなのではないか、とイメージをして演劇練習に向かいました。すると、間違っているところは、その都度お父さんが、「ここはこうしたほうがいい」と、正しい形を誰が見ても分かるように、お父さん自身が演じてお手本を見せてくれて、それがとても嬉しかったです。何度も何度も、答え合わせをしてもらって、演劇のセオリーを教えてもらいました。
表情や声色で、その登場人物がどんな心情なのかを表現できることは分かっていたけれど、それ以外にも、物理的な距離感で、その人の心の距離を表すことができたり、目線の高さで、希望を表現出来たり、セリフを言う向きで、それがマイナスな事なのか、プラスなことなのかを伝えられたりすることを知りました。ほんのちょっとした立ち位置だけでも、客席から見た時の感じ方が180度変わることに、とても驚いて、奥が深いなと思いました。見ている人に、何を見せたいか、どう感じてもらいたいか、それを演じている私達が理想を持って、客席から見えている景色を、想像しないといけないと思いました。理想と現実の舞台とを近づけていきたいと思いました。
一つの動作にも根拠がちゃんとあって、曖昧なところがないことが、とても気持ちが良いと思いました。お父さんに見ていただいて、立ち位置が決まって、動きが決まると、見違えるようにそのシーンが生き生きして見えました。かっちりと決まって初めて、キャラクターが脚本の世界の中で自由に動き出す感覚がありました。
何かの役をする時に、演じるのではなく、なり切る、ということを以前お父さんが話してくれたことがありました。自分、というのはありそうでなくて、そして拘る必要もないです。脚本の世界を本当に生きている気持ちで、“カオル”になり切りたいと思いました。
登場人物の設定も、世界観も、非現実的で日常とはかけ離れているけれど、主人公たちの抱えた辛さ、心情は、人ごとにはでき
なくて、私達の気持ちそのものだと感じます。劇や、演奏、ダンスで何を伝えたいのか、そして、何のために伝える必要があるのか。全部、脚本の世界の中に答えが詰まっています。主人公の生き方が、自分達の求める生き方なんだと思います。この脚本を通して、コンサートを通して、脚本の世界に生きる仲間と同じように、私達が生きる道を見据えて、成長していくんだと思いました。
みて下さる方に届く劇に出来るように、これからもブラッシュアップしていきたいです。
(りな)
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音楽合宿第12弾。演劇練習と並行し、1日を通してコーラス練習をしました。
午後からは、あゆちゃんが見てくれて、コンサートの1曲目である『オブリビオン』から練習をしました。
出だしの1音でその後の劇が決まる。出だしの1音がずれたら、その後の劇が崩れると思って、そのくらいの気持ちで出だしの音を出すようにと、あゆちゃんが話してくれました。何となく声を出すのではなく、ピンポイントで「この音」という音を出し、劇へと繋げる。その場面が伝えたいことを曲で体現する責任があるのだと感じました。
劇に登場する主人公たちのセリフでは言い切れないけれど、言葉にはない気持ちを、音で歌で表現する。その役割がコーラスにはあるということを、あゆちゃんが教えてくれて、一曲一曲、お客様に気持ちが伝わる演奏にしたいです。
『オブリビオン』のサビは、コーラスは全音符を伸ばすパートになるのですが、そこは、清水の舞台から飛び降りる気持ち、これで最後という気持ちで音を出すことをあゆちゃんが話してくれました。サビを歌うとき、「何もかも失ってもいいから、変わる必要がある」という、あゆちゃんが和訳してくれた言葉が頭に浮かびました。
何もかも失ってもいいから変わるという勇気、潔さ、そして、覚悟をもって、強い気持ちで歌いたいです。
『オブリビオン』はコンサートの始まりの曲で、お客様が、なのはなのコンサートのステージで初めて見るステージになります。
出だしの1音目が、次に繋がる劇のシーンに繋がる、1音目がコンサートを決めるという気持ちでコーラスを歌います。
次に練習した『クリーピン』『ナチュラル』という曲でも、劇のシーンからどういう気持ちを繋いで歌うかを、あゆちゃんが話してくれました。
自分が出している音がみんなの音に溶け込んで、自分が出している音が聞こえなくなるときが何回かありました。
みんなで1つの音を出し、完璧にピッチが合うとき、気持ちもみんなと1つになっているのかもしれないと思いました。
あゆちゃんが、どういう気持ちで歌うかを教えてくれたあとに、自分の気持ちを全力で表現すること、みんなと一緒に作り上げていく時間がとても楽しいです。
舞台とは、ステージに立っている人と見てくださる方で作るものだと、お父さんが以前話してくださったことを思いました。
自分たちの気持ちをお客様に伝えて、どう思いますか? とお客様に問いかけて、ステージを見て下さっているお客様からの空気、拍手を感じて、自分たちの気持ちを、1音1音に込めて、ステージで自分の全てを表現していきたいです。
(ふみ)