11月24日(金)「明日は通し稽古、本番まで30日! 1つの物語を作るために」

11月24日のなのはな

 ウィンターコンサートまで30日。
 1か月後、勝央文化ホールのステージでウィンターコンサートをしている私たちの姿を思い浮かべると、今の準備期間を一瞬一瞬、大切にしたいと感じます。

 ウィンターコンサートの脚本も完成し、明日は初めての通し稽古があります。通し稽古では、これまで別々に練習をしていた劇、バンド演奏、ダンス、コーラス、アンサンブルが繋がり、1つの物語となります。

 この1週間は通し稽古に向けて、各シーンの演劇を作ったり、コーラスとアンサンブルの集中合宿、本番を想定した出はけの確認なども行い、それぞれが自動運転でやるべきことを進め、明日に向かっています。

 音楽合宿第12弾のテーマは、「人任せにしないで自分で立つ」「エラーは翌日までに修正する」「今の自分の全てで表現する」。

 通し稽古が始まると、誰一人として自分と同じ動きをする人はおらず、それぞれ踊るダンスやコーラスの曲も違えば、舞台の上手から出るのか、下手から出るのか、次に何の衣裳に着替えるのかも違うため、人の後をついていくのではなく、自分の動きをしっかりと理解しておく必要があります。

 

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 今日の午後にあゆちゃんが、
「お父さんから『脚本の修正が終わったよ』って連絡が来て、今、新しい脚本のデータが届いたよ」
 と話してくれて、脚本の読み込みの時間をもらい、さっそく、脚本を読ませてもらいました。

 改めて、文字を通して、お父さんが書いてくれた今年のウィンターコンサートの脚本を追うと、1つひとつのシーンやセリフに込められる思いに共感する場面、感動する場面がたくさんあり、答えへとつながり、この脚本で、コンサートのステージを作っていけることへの嬉しさを感じました。

 午前の最後、『クリーピン』のダンスとコーラスの合わせをあゆちゃんが見てくれたのですが、その時に教えてもらったことが、脚本を読む中で、より自分たちのものになっていくのを感じました。

 

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 『クリーピン』では主人公の女の子たちと、物語で重要な位置を占めている島の住人であるダンサー、そして島そのものであるコーラス隊が1つの物語となります。

 主人公の女の子たちが抱える生きにくさ。もう、後戻りはできない。私は、全く別の世界に来てしまったという気持ち。

 自分が思い描いていたような世界や未来を歩むことは、もう私にはできないし、そんな世界と程遠いところに来てしまったという悲しさや辛さ、憤り、厳しさ。

 そんな女の子たちを守り、命をつなぎとめる役割をしているのが島をつくるコーラス隊であり、島の住人であるダンサーだということをあゆちゃんが話してくれて、それを思った時、この曲を、いま予定している場面へ入れることで、お客さんに伝えられること、訴えられること、共感してもらえることは計り知れないくらい大きいのを感じました。

 ウィンターコンサートの脚本で言い切れなかった部分を、私たちの演奏やダンス、コーラスを通してお客さんに伝える。音楽が言葉となってお客さんに伝わるのだと思うし、どうか、ウィンターコンサートに来てくださったお客さんに私たちの気持ちが届いてほしいと思いました。

 そして、
「私たちが生き延びることには、何か意味があるはずだ。意味があるのなら、私は自分の使命を全うして生きる道を選ぶ」
 という覚悟が伝わったらいいなと思いました。

 

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 この日は平日で、お仕事組さんがいない中での音楽合宿だったのですが、1日を通して、明日の通し稽古に向けて練習や準備を進めました。

 午前は大人数ダンスの習慣練習から始まり、なのはなバンドのみんなが体育館でバンドの音調整をしている中、私たちはグラウンドでダンスを踊りました。

 グラウンドで踊ってみると、体育館で踊っているときに比べて視界が広く、いつもと同じ幅のはずなのに、人と人との距離が遠く感じました。

 そしてグラウンドには番号札もないし、いつもダンスのフォーメーションを作るのに目印にしている場ミリテープもなく、センターの目印もないため、いつも以上に視野を広げて、心の目で周りの空気を感じ取る必要がありました。

 いざ、グラウンドで踊ってみると、回転した瞬間に自分の正面がどこの方向なのか分からなくなってしまったり、体育館に比べて地面が不安定のため、足に力が入りにくく上半身がぶれてしまったり、太陽の光がまぶしいあまり表情が作りにくいということもあり、場所が違うだけでこんなにも動きが変わってしまうのかと驚きました。

 でも、実際にウィンターコンサートを行う文化ホールのステージで練習できる期間はホール入りしてからの数日間だけです。そのため、グラウンドでの練習が鍛えられたし、改めて場ミリに頼らず、普段から隣の人との間隔や目線などを感じ取りながら踊りたいと思いました。

 

 その後は係作業を進める時間もあり、衣裳部では明日の通し稽古でなるべく多くの衣裳を着ることができるよう、衣裳づくりや、みんなに衣裳の内容や流れを把握してもらうための資料づくり、配色決めなどをしました。

 

〈出演者それぞれが全く違う動きをしながら進むコンサートのなかで、衣裳の内容や色を美しく組み合わせ、全体を俯瞰しながら管理する衣裳部の仕事はスケールが大きく、複雑です〉

 

 衣裳はコンサートのステージを作る中で、見ている人にどんな印象を与えたいのかを一番、分かりやすく表せる大切なものです。そして、ダンスではフォーメーションに応じて一番きれいに見える衣裳の配色などを考えていくため、衣裳部にとって、通し稽古が始まってからの段取りは大きな山場となります。

 山場である分、通しをしてみてみんなのダンスのイメージや動きと衣裳がぴったりと合い、ダンスも衣裳もお互いに引き立つものとなる面白さや美しさ、やりがいは大きく、明日の通しに向けて衣裳部は気合が入ります。

 また、係やダンスだけではなく、午後からは全体演奏『オーガスタス・グループ』の楽器練習があり、同じサックスパートのみんなと通しをイメージして練習を行い、最後、「では、また明日の通しで会いましょう!」とサックスやメンバーのみんなに挨拶をした時間が嬉しかったです。

 

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 夜にも、体育館や各部屋の至るところから、劇を練習する声、ダンス練習をする音が聞こえてきたり、私もギターアンサンブルの出はけや劇との合わせをしたり、演劇のバディ練習や衣裳準備などを進めました。

 明日は、今できている限りの衣裳も着ての通しのため、衣裳部ではみんなに衣裳の着方の説明も事前に行い、明日に備えました。

 また、個人的には劇の中で出てくる、あるマジック衣裳についてアイデアが思い浮かび、試作をしてみたので、明日、お父さんお母さんやみんなに見てもらえるのを楽しみにしています。

 ウィンターコンサートに近づくにつれて、みんなが揃って練習をする時間は限られてくるのですが、それぞれの分野で自分の役割ややるべきことを精いっぱいで果たしていきたいです。

 今の、コンサートに向かう真剣な空気、1人ひとりがかけがえのない大切なパーツであり、1人ひとりがコンサートを作る1人である自覚をもって動いている空気を真っすぐに感じながら、私自身もコンサートの過程を通じて成長していきたいです。

 明日は初めての通し稽古です。まだ未熟な部分もあり不安なところもありますが、テーマにあったように今の自分の全てで表現し、ステージに立ちます。

(ななほ)