9月16日(土)「盛男おじいちゃんからのプレゼントの日 & ウィンターコンサート ビッグバンド演奏の譜読みスタート」

9月16日のなのはな

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 ――「盛男おじいちゃんからのプレゼントのようだったね」。
 あゆちゃんの言葉がぴったりな1日でした。

 先週から始まった、稲刈り。お父さんが運転する、4条刈りの大型コンバインと、永禮さんが運転するコンバインの2台態勢で進められた機械刈りは、わずか2日ちょっとで田んぼ15枚分も進み、とてもハイペースで進められてきました。残す田んぼは、2枚のみとなりました。残った2枚の田んぼは紫黒米を育てている、光田んぼ上・下。ここはみんなで手植えをした田んぼで、特に思い入れの強い田んぼです。
 この日はその内の1枚の光田んぼ下を機械刈りすることになりました。光田んぼ上はみんなで手刈りをするので、機械刈りをする田んぼはここが最後ということになります。

 なのはなにある5台のコンバインのうち、最後の1枚の刈り手に選ばれたのは、盛男おじいちゃんからいただいた、37歳のコンバインです。あゆちゃんが大切にする、大事な大事なコンバインです。
 この日はわたしにとって、お米に囲まれた1日でした。

 

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 午前中にはライスセンターに、籾摺りをしたお米を取りに行かせていただきました。あゆちゃんと回送車に乗り、ライスセンターまで行くと、4人の方々がわたしたちの到着を待ち構えてくださっていました。みなさん、黒い服を着て、とてもたくましそうです。ですが、わたしたちが、「こんにちは」と車から降りて挨拶をすると、顔をくしゃっと緩めて、満面の笑みで返してくださいました。

 早速、奥の倉庫からフォークリフトがやって来て、パレットに積まれた大量の米袋を運搬してきてくださいました。1人の方が運転をし、2人で安全を確認しながら、フォークリフトをたくみに操って、回送車に乗せてくださいました。続いて2便目がやって来ました。それを見て驚きました。パレットの上に3段に積まれた米袋がのり、さらにその上にパレットがのり、その上にまた2段に積まれた米袋がのっています。前が見えないくらい高く高く積まれた米袋。それをフォークリフトが軽々と持ち上げて、先ほど乗せた回送車の荷台のパレットの横に軽々と乗せてくださいました。

 

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 作業の傍ら、ライスセンターの方々が、「みんなでお米運ぶの?」「毎日、日記を読んでいるよ」「僕も手伝いに行こうか」などと、楽しい話題で話しかけてくださいました。なのはなのことを応援してくださって、好きでいてくださっていることを感じ、温かく嬉しい気持ちになりました。

 この日は7パレット分のお米をライスセンターから運びました。何往復もしましたが、いつ行っても、ライスセンターの方々が明るく迎えてくださいました。

 ライスセンターから持ち帰ったお米を、みんなが待つ古吉野なのはなまで運ぶと、グラウンドでみんなが待ち構えていてくれました。1番最初に待っていてくれたのは、あけみちゃん、のんちゃん、よしみちゃん、なつみちゃん。みんな黒い服を着て、それぞれ気合十分な立ち姿。その姿がライスセンターの人たちのようにたくましくて、ついついあゆちゃんと笑い声を上げてしまいました。まるでみんなが戦士のようです。

 

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 さぁ、お米運びがスタートです! 回送車の荷台からあゆちゃんとわたしが米袋を下ろし、それをみんなが列になって一人ひとりが受け取って、今度は室内で待つ、次の子に回します。みんなの手で30キロある米袋もすいすいと運ばれて、お米置き場へときれいに収納されていきました。なのはなに来たばかりの頃は持ち上げることもできなかった、重たい重たい米袋。それが日々、みんなと作業をしたり活動していくなかで身体が作られていき、体力も腕力もついて、いつの間にか一人でも軽々と持ち上げられるくらいに力がつきました。

 

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 荷台から下ろしたお米を、みんなが、「はいっ!」と力強い声と共にガシッと受け取ってくれるので安心感があり、7パレットもあった大量のお米もみんなの力であっという間に収納されていきました。わずか30分にも満たない時間だったけれど、その時間がとっても楽しかったです。みんなの力強さと団結力が集結してつくられた、1つのショーのようでした。

 

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 そして午後からは、今年最後の機械刈りです。おじいちゃんのコンバインをあゆちゃんが運転し、その補助にりゅうさんとさくらちゃんとわたしが付かせてもらうことになりました。
 おじいちゃんのコンバインはモチ米の機械刈りでも使いましたが、途中で不調になってしまって、修理をしたばかりでした。お父さんが、「稲刈りに故障はつきものだよ」と話していたので、(どうか最後まで順調にコンバインが動いてくれますように)と祈る気持ちでした。

 エンジンは勢いよくかかり、稲刈りが始まりました。光田んぼは少し雑草が伸びてしまっていたので、りゅうさんとさくらちゃんがコンバインの前をいき、先手先手で動いて、ヒエや雑草を刈り取っていってくれました。わたしはコンバインの後ろにつき、ハーベスタの袋の交換をメインでやらせてもらいました。刈り取られた株元を見て見ると、一本一本の穴が紫色をしていました。うるち米やモチ米は色がありませんが、紫黒米だからこそ、茎の中も紫色をしています。ほんのり香るお米のにおいも少し違うにおいがするような気がしました。

 

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 コンバインの刃で脱穀された籾がハーベスタの袋の中にドバドバと溜まっていきます。袋を換えるタイミングを逃してはいけません。こまめに袋の中身の量を確認しながら、あゆちゃんの補助をして、袋がいっぱいになったところで次の袋へ取り替えました。外周を1周する間にハーベスタの袋2つ分はいっぱいになります。コンバインが田んぼの入り口に来たタイミングでハーベスタの袋をコンバインから積みおろし、畦へ積み上げていきました。その重さが、またとっても重たいのです。こんなに小さな籾なのに、集まるとものすごい重さになるから不思議です。

 

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 3周目に入った辺りで、あゆちゃんが後ろを振り返り、「ここに乗って良いよ」とコンバインの横に乗せてくれました。あゆちゃんが運転するコンバインに乗っているだけで、とても満たされた気持ちでした。そのときにあゆちゃんが嬉しい話をして聞かせてくれました。
「このコンバインはね、最大3条刈りができるんだ。ここにあるスイッチはね、その3条のうちの1条を逃さないようにするためのものなんだよ」
 と、あゆちゃんが右手で持つアームの横にある小さなスイッチを見せてくれました。それは左右に振ることができ、その調整で爪とコンバインが微妙に右、左に動いて、そうすることで1条を逃さないのだと教えてくれました。

「このスイッチは最新のコンバインにはないんだ。今はスピードが重視されるからね。でも盛男おじいちゃんのコンバインは昔のものだからあるんだ。おじいちゃんは、ここが気に入っていたんだって」
 と話してくれました。その話を聞いて、ますますおじいちゃんのコンバインが愛おしく思えました。盛男おじいちゃんのコンバインは、スピードに重きを置く今の時代には古い型かもしれないけれど、昔の人が大切にした、美しさに繋がる仕組みが組み込まれてあって、おじいちゃんはそこが気に入っていたのかと思うと、わたしもスピードよりも質に重きを置く、おじいちゃんのコンバインが好きだと思いました。

 

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 あゆちゃんが、「確実に刈っていこう」ということで、地道ではありますが、2条刈りで順調に稲刈りは進んでいました。各自の役割も手慣れてきたころでした。
 ですが、5周目に入ろうとしたところで、コンバインを運転する、あゆちゃんから、「何か嫌な音がする」と声がかかりました。コンバインに近寄ってみると、何かがこすれるような鈍い音が時々、音を響かせます。その内に「ピー」と警笛がなり、こぎ胴に異常を知らせるランプがつきました。エンジンを切り、あゆちゃんとさくらちゃんとコンバインを開けて、中のベルトやチェーンに異常がないかを調べました。潤滑スプレーを振ってみたり、エンジン部分も調べてみましたが、なかなかその原因となる問題を見つけることができませんでした。

「あぁ~……、今日はここで終わってしまうのかなぁ」。
 あゆちゃんもさくらちゃんもわたしも困り果てて、別のコンバインを出さないといけないかなとまで考えた、その時。おじいちゃんが教えてくれたのかもしれません。

 さくらちゃんが掃除口にゴミがたくさん溜まってしまっていることに気がつきました。蓋を開けてみると、びっくり。びっしりと籾やかすが溜まっています。そして気がつきました。なんと、掃除口に繋がるファンを回すケーブルが外れてしまっていたのです。それを挿し、掃除口のゴミを取り除くと、こぎ胴が回り出しました。
「これが原因だ! これでもう大丈夫だ!」
 あゆちゃんがまたエンジンをかけてみると、先ほどまでしていた鈍い音が止まり、警笛も鳴らなくなりました。あゆちゃんが、「やったね」と大きな笑顔で笑いました。さくらちゃんも、「良かった」と安心したように微笑みました。起きた問題を3人で解決できたことがとても嬉しくて喜んでいた、ちょうどそのとき。コンバインの前の方で一匹の蝶が飛んでいるのが見えました。(あっ、おじいちゃんかな)と思いました。きっと困っているわたしたちを見かねた、盛男おじいちゃんが、そっと手を差し伸べてくださったのだと思いました。心の中で、(おじいちゃん、ありがとう)と言いました。

 

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 再び、順調に動き出したコンバイン。わたしたちの心も晴れやかです。7周、8周……と進んでいき、残すは4分の1ほどの範囲になりました。
 その時点で時刻は17時半になりました。作業時刻終了で、夕食当番の時間になってしまい、あゆちゃんが、「あとは任せて」と心強い言葉をかけてくれて、わたしは後ろ髪引かれる思いで当番へと向かいました。

 

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 18時頃になり、外からゴロゴロと雷がなる音が聞こえてきました。外は少し薄暗く、雨が降りそうな予感です。(どうか、稲刈りが終わるまでは雨がもって!)と心の中で祈りました。あとは残す機械刈りと、わずかな量ではありますが脱穀する稲が溜まっているのと、最後に籾を乾燥機へ入れなければなりません。(大丈夫だろうか?)と心配していましたが、夕ご飯の時刻ぴったりにあゆちゃんとさくらちゃんがコンバインに乗って帰ってきました。
「終わったよ! コンバインの運搬も、乾燥機に籾を入れるのも全部できたよ!」
 そう、笑顔で伝えてくれました。

「機械が不調になった時間も合わせて、本当に時間内にすべてがぴったり収まったね。本当にすごかったね。そして機械を自分たちで直すことができたのも良かった。これは盛男おじいちゃんからのプレゼントのようだね」
 あゆちゃんの言葉を聞いて、おじいちゃんの顔が浮かんできて、すぐ近くに感じました。今日は1日、盛男おじいちゃんに見守られて、今年最後の機械刈りを無事に終えることができました。長かったようで、短かった1日。ずっとお米に触れられて、やっぱり稲刈りシーズンは楽しいと感じました。

 そしていよいよ明日は、1年に一度のビッグイベント。家族総出の手刈りが行われます。明日はすべての稲を手で刈り取って、縛って、はぜ干しまでを自分たちの手で行うのです。これで最後の最後17枚目になってしまうのかと思うと、稲刈りが終わるのも寂しい気がしますが、お米運びのようにみんなと力を合わせて、良い稲刈りにしたいです。
 この日は本当に嬉しい日でした。

(るりこ)

 

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 12月24日のウィンターコンサートで演奏する、ビッグバンド演奏の発表がありました。コンサートの後半のオープニング曲で、全員が一人一つ楽器を持って演奏します。
 今年の楽曲は、映画『チャーリーとチョコレート工場』の劇中歌、『Augustus gloop』という曲に決まりました。チョコレート工場に住んでいるウンパルンパ達が列になって出てくるシーンに流れる曲で、仕事歌のような、聞いているだけで身体が自然と揺れるような明るくて弾む曲です。ウンパルンパ達のコーラスが重なっていたり、トランペットの煌びやかな音が響いていたり、とても壮大で迫力のある曲で、コンサートで演奏できることがとても嬉しいなと思いました。

 

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 曲を聞き、楽譜の譜読みを、各パートで進めました。私はクラリネットパートのメンバーと一緒に進めました。クラリネットパートだけでも、2,3パートに分かれていました。メロディを吹く部分、ずっと同じテンポで刻む部分様々です。楽譜を見ながら、この部分は、曲の中でどこだろう、と想像を膨らませると、とてもワクワクした気持ちになりました。この曲は、今にもウンパルンパ達が出てきそうなぐらい躍動感があったり、非日常で、少し不思議な世界観に引き込まれて、とても魅力的だなあと感じました。これを次は自分たちが演奏する番なのだ、と思うと少し緊張もするけれど、良い演奏が出来るように頑張りたいと思いました。

 

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 ビッグバンド演奏の曲が決まると、いよいよコンサートの練習も本格的に始まったという気持ちになります。『Augustus gloop』の楽譜があるだけで、気持ちに張り合いが出て、より楽器の練習も楽しくなります。今日をきっかけにコンサートに向けて、気持ちも作っていきたいです。

(りな)

 

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 田んぼの畔に彼岸花が咲き始めました。来週はお彼岸。ここ数日は残暑が厳しく、日中はまだ暑さが残っていますが、朝晩は涼しくなり、景色からも秋の気配を感じられます。
 秋分の日が来ると、栗の収穫も間近。
 秋と言えば、栗。栗と言えば秋。もうすぐ栗の季節。そう思うと、とてもワクワクします。

 今日は、栗畑の草刈りをしました。収獲に向けて、草を一掃し、栗の収穫をしやすくしておきます。
 栗は、収獲が始まると、毎日収穫します。栗は、落ちたらすぐに虫が来てしまいます。イガや栗をそのままにせずに、集めて回収し、いつ落ちたものかを分かるようにします。畑をきれいにしておくことで、収穫もしやすくなります。

 

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 今日は、草払機と、自走式草刈機オートモアのレッドくんを使用し、草刈りをしました。
 広い面や平地をオートモアが刈り、細かいところや、オートモアで刈りにくいところを刈払機で刈っていきました。

 私は、刈払機で草を刈っていきました。畑は広いけれど、平面で刈りやすく、思いっきり身体を使って草刈りができる感じが気持ちよく、暑かったけれど、気持ちよさの方が勝っていました。そして、一緒に草を刈る仲間の姿を見ると、みな汗を流しながら、一生懸命草刈りをしている姿に、力が湧いてきました。

 

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 草を刈っていると、ふと、茶色いとげとげしたものが落ちているではありませんか。
(え?? 栗??)

 木の上では、まだまだ緑色だと思っていた栗のイガが茶色く、そして、中身も茶色の栗が落ちていました。実はちゃんとぷくぷくと膨らんでいて、驚きました。思わず上を見て、木になっている栗を見回すと、どの栗の木もまだ緑で、どこから落ちたか分からなかったのですが、一つだけ、早く熟れて落ちたのかなと思い、不思議にも思いましたが、収穫が近いことを感じました。
 時間は短かったのですが、4人で力を合わせて目標のところまで刈ることができて、嬉しかったです。

 

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 今年は、間伐や強剪定、移植をした木もあり、昨年より収量が少なくなりそうなのですが、日当たりが良くなり、栗畑が明るくなり、のびのびと栗が生きられている感じがしています。手入れが十分に行き届かなかったところもありますが、元気な木は、実がたくさんついているので、良い実がたくさん採れると嬉しいです。

 刈った草は干して乾かし、集めて処理し、草が無い状態で、栗の収穫に備える予定です。
 また、みんなで栗拾いをできるのが楽しみです。そして、なのはなのみんなも大好きな栗メニューをいただける日が待ち遠しいです。

(ひろこ)

 

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〈バナナの株分けもしました〉
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〈空芯菜畑、落花生畑の草取り、完了!〉