【8月号⑧】「土寄せの楽しみ ―― チャンス到来。豆・芋の畑へ! ――」 るりこ

 

 サマータイムと言って思い浮かぶのは、朝いちばんに行う、ナス、ピーマン、マクワウリなど夏野菜の大収穫、たくさん動いたあとのシエスタ、室内で過ごす音楽練習、夏野菜の水やりに草刈りなどなど……。それともう一つ、大人数で行う、夏野菜や豆類の追肥、土寄せツアー!

 なのはなでは梅雨明け後からサマータイムが始まります。朝の涼しい時間に畑作業を進め、気温が上がる日中は室内で過ごし、また夕方から畑作業を進めるというスケジュールです。日中は高い日では気温が三十二度を超える日が続くので、少しでも気温が低い朝の時間帯や夕方は動きやすく、疲れも感じにくいです。特に土寄せなどの力作業であるときほど、サマーモードのありがたみを感じます。少し日が落ちてきた夕方に、大人数で豆類や芋類の追肥、土寄せツアーをするのが、ザ・なのはなの夏景色といった感じでしょうか。

 この夏もすでにいくつもの作物に追肥や土寄せを行ってきました。サトイモ、エゴマ、ササゲ、白大豆、黒大豆……。豆の畑は枚数も面積も多く、大人数の力が必要なため、土寄せの作業がある日は他の作業を最低限に済ませ、みんなで集中して土寄せ作業を進めます。

 

■待ちわびた太陽

 サトイモは七月に二度、追肥と土寄せを行いました。本来は本葉が二から三枚になった六月下旬頃に一回目の追肥と土寄せを予定していたのですが、今年は雨が本当に多く、サトイモの追肥をしようと思う日はとことん雨に降られてしまい、延期、延期の日々が続きました。七月に入り、サトイモも日に日に大きくなり、気が焦りました。
 そのなかで訪れた、ようやくの晴れ。また翌日から雨予報だったので、畑のコンディションを見て、決行することになりました。わたしは朝から土寄せに向けて、畝間に管理機をかけて、みんなが少しでも土が上げやすいように耕しました。

 午後からはあゆちゃんやまえちゃんが引っ張ってくれるなかで、追肥と土寄せが行われました。交番先畑は面積が広く、約千五百株ものサトイモが植わっています。ですが、大人数のみんながバケツリレーで畝間に並ぶと、一人ひとりの距離が短く、スピードもものすごい勢いがありました。
 わたしは管理機がけを続行していたのですが、みんなに追いつかれないようにと必死でした。
 夕方には交番先畑と魚取り奥畑の二枚の畑の追肥と土寄せが終わり、予想以上のハイペースでした。そのあとにみんなと飲んだお茶がとても冷たくて、みんなとたくさん汗をかいたあとに飲むお茶ほど身体に染み渡るものはないと思いました。

 

■バースデーの土寄せプレゼント

 豆類は今季、小豆の畑が五枚、白大豆が二枚、黒大豆が四枚、ササゲが三枚あります。ササゲから植え付けが始まり、白大豆、黒大豆、小豆と続き、ササゲや白大豆はすでに二回目の追肥と土寄せが行われました。
 わたしが特に印象に残っているのは、白大豆の土寄せです。白大豆は下町川上下の畑で育てています。その時期も長雨の影響で土寄せをいつどのタイミングでやるのか、とても難しい状況でした。
 本来は早朝作業で進めるつもりでいたのですが、畑に出ようとしたときに運悪く雨が降り出して、その日ができませんでした。

 その翌日、わたしたちはアスパラの追肥をしていたのですが、その作業がとてもスムーズに進んだので、残りの作業時間で白大豆の土寄せをすることになりました。ちょうどその翌日は、豆担当のまえちゃんの誕生日。
「一日早い誕生日プレゼントとして、白大豆の土寄せを終わらせて、まえちゃんに良い報告を届けよう!」
 と、みんなでまえちゃんが喜ぶ顔を思って、畑へ向かいました。
 雨後でも下町川畑の土は砂地なのでサラサラと乾いていて、軽い力で土が上がり、最高に楽しい土寄せでした。少し腰が重たくなってきたときほど、まえちゃんの喜ぶ顔を思うとやる気が入り、最後までみんなで声を出し合って、作業を進めることができました。

 

土寄せ前はテミを相棒に、肥料やり
白大豆の土寄せ、完了!

■整った畑、良い香り

 最後にエゴマのことを少し触れると、今年も夕の子東畑に自生して生えてきた株をそのまま苗をして育てています。前年度の種が飛び散って、ランダムに生えてきたエゴマですが、苗が幼い内に移植して、畝と畝間をはっきり作ったことによって、畑に整然とエゴマが植わりました。
 畑に行くと、風にあおられてエゴマの香りが広がっていて、畑にいるだけで頭がすっきりするような気分になります。まだ小さな苗でも、こんなにも良い香りがすることに驚きました。
 まだまだ続く、なのはなの夏。大人数の強みを活かして、みんなと力を合わせて、この夏も夏野菜を成功させたいです。

 

夕の子東のエゴマ畑