【7月号⑯】「コモンマロウ・サプライズ!」 ななほ

 

 この日のために、来る日も来る日も摘みました。
 この日のために、来る日も来る日も、会いに行きました。
 そう、『コモンマロウ』に。

 古畑の桃の木の側で静かに育ち、花を咲かせた『コモンマロウ』。
 毎日、十二十輪の花が咲き、気が付いたら八百輪ほどの花が集まっていました。

 

 

『コモンマロウ』の花が咲くと、「父の日」という言葉が頭に浮かびます。
(父の日のために、コモンマロウの花を摘んで、コモンマロウティーを作りたい!)
 みんなの喜ぶ顔を想像すると、時には走って、時にはスキップをして、時には鼻歌を歌いながらコモンマロウのところに毎日、通ってしまいます。
 そう、コモンマロウは花を摘んで乾燥させると、コモンマロウティーになるのです。

 コモンマロウは花も葉も食べられる植物で、水出しをすると透き通るような青いハーブティーができるのです。

 

 

 しかし、それだけではありません。皆さん、コモンマロウは何色だかご存じですか?
 そう、濃い紫色。この紫は、『アントシアニン』が多く含まれている証拠です。
 何と、コモンマロウティーは色が変わるのが大きな魅力です。最初は青い海のようなコモンマロウティー。水出しをした直後は青いのですが、段々と空気に触れて酸化が進むと、紫色に変化していきます。
 そして、そこに酸性のレモンやカルピスを入れると、あら不思議!
 パッと一瞬にしてピンク色に変わるのです。

■父の日

 お祝いのティー
 父の日では、コモンマロウティーにカルピスを注いで、色の変化を楽しみながらおいしく頂きました。
 このように、青色から紫色へ、紫色からピンク色へと変わるコモンマロウティーは、色の変わる様子から「夜明けのハーブティー」「サプライズティー」とも呼ばれます。

 色の変化を見ていると、桃の霜対策の時に見た夜明けの空のグラデーションや、朝日が昇るときのピンク色の空を思い出し、私たちにとって、このコモンマロウティーは、「桃の霜対策ティー」のようです。

 色が変わる仕組みは、小学校の時に実験で使ったリトマス試験紙と同じで、アルカリ性だと青色に、酸性だと赤色に変わります。また、機会があったら梅雨のアジサイの咲く時期に、コモンマロウの花を使ってアジサイゼリーができそうだなと思うくらい、色の変わる仕組みはとても可愛らしく、華やかです。

 

 

 父の日では、摘んできて五分ほどのコモンマロウの花でお皿を囲んで、コモンマロウティーを用意しました。
 準備はバタバタとしたところもあったのですが、やよいちゃんやゆずちゃんが協力してくれて嬉しかったし、事前にコモンマロウの花を入れた紫色の氷も作っておいたため、何人かの子のグラスの中に、紫色の氷が浮かんでいる様子も綺麗でした。

 コモンマロウサプライズ。父の日に、コモンマロウと共にお父さんへ日頃の感謝の気持ちを伝えられて嬉しかったです。
 まだまだ古畑では、コモンマロウが毎日、花を咲かせています。次回は、どんな形でコモンマロウが活躍してくれるのか楽しみで、大切に育てていきたいです。