【7月号⑬】「デュランティ畑の小さな住人」 なつみ

 十月に種を蒔いたアケビ。三月に発芽し、六月、ついにデュランティ畑に仮支柱を立てて、無事に植え付けを行うことができました。
 ここまで、必ずしも順調に育っていたわけではなく、三月に鉢替えしてポットで育てていたアケビの苗が四月、五月に立て続けに枯れ始めました。原因がわからず、双葉から黒く枯れていく苗を、りなちゃんと一緒にお父さんに見てもらって相談すると、
「まだ五月だけど、気温も高く、日差しもきつい。ポットの中の土が日差しで熱くなって根が育たたず枯れているのだと思う」
 と教えてもらい、それから古畑の隅に苗床を作り、条間、株間十センチで植え替えをしました。
 すると、枯れていく現象がピタッと止まり、そこからあれよあれよという間に大きくなっていき、五センチから一か月で一気に三十センチほどにまで大きくなりました。

 

デュランティ畑に植え付けたアケビ

 

 大きくなったアケビは、蔓科だからか線が細く、ひょろひょろしていて、何か掴まるものが必要そう。このアケビをどうしてあげたらよいものか、またまた、わたしたちはお父さんに相談させてもらい、「もう、畑に植え付けてあげたほうが良いね」ということになり、「どこかいい畑がないかな」とお父さんが考えてくれました。わたしも、アケビは半年や一年で終わる野菜ではなく、何年も畑に居座る木なので、どこがいいか考えていると、何かいい案が思い浮かんだ様子のお父さんが、顔を上げてキラキラした目で、「デュランティ畑はどうか」と、話してくれました。

 もともとは、洋ナシを植えるために準備している畑ですが、デュランティ畑の中でも小さな畑にアケビを植えることになり、すぐそこに木立に囲まれた池のある、あの素敵な畑にアケビも仲間入りさせてもらえるのだと思うと、とっても嬉しくて、ワクワクしました。

 

梶谷池のほとりに並ぶ木々の向こうに、新しい畑デュランティ畑があります

 

 早速、植え方を調べると、垣根仕立てや棚仕立てなどいろいろな仕立て方があり、その中でも、コの字のアーチ仕立てにすることにお父さんと相談して決め、六月に入り、植え付けを行いました。
 仮支柱を立てるところに米ぬかでラインを引き、そのラインから三十センチほど内側に鍬一つ分の溝を切ることで、アーチの内側へ向かっては根が伸びないようにし、管理機などで耕せるようにしました。

 五十センチ間隔で立てられた仮支柱のすぐそばにアケビを植え付け、牛肥を片手一掴みやり、中耕、水やりをしてアケビの植え付けは完了です。

 アケビが大きくなって茂ったとき、綺麗なアーチ形になって、その木の下を、かごを持ちながらみんなで歩いて収穫するのを想像すると、アケビの未来がとても楽しみになるし、そのためにも、ある程度大きくなって逞しくなるまでは、しっかり見守って、元気な木に育てて、良い収穫に繋がる手入れをしていきたいです。