【6月号⑱】「10回の達成感 ―― ジャガイモの土寄せツアー&バケツリレー対決 ――」 えつこ

 ジャガイモが私たちを呼んでいる。土を寄せてくれよと呼んでいる。花が咲いてしまった。
 週末は雨。今しかない。私たちはクワとてみを持って畑へかけつけ、みんなで一丸となって、二度目のジャガイモ・土寄せデーを過ごしました。

 五月十一日。ミッションは五枚の畑の追肥と土寄せ。あゆちゃんが、牛肥を積んだエルフを運転してくれました。全ての畑の追肥を終えてから、土寄せをするという作戦でした。

 あゆちゃんが、牛肥をてみに入れてくれました。私はあゆちゃんからてみを受け取り、それをみんなに渡す役割をしました。みんなの牛肥をまくスピードが速いので、とても忙しい!
 でも、あゆちゃんが明るい笑顔でてみをわたしてくれるのが嬉しくて、それがパワーとなりました。

 

 

 次の畑では、私が牛肥をてみに入れる役割をしました。私は密かに、牛肥まきの作業の中でこの役割がとても好きです。みんなの牛肥をまくスピードに追いつかれないように、大急ぎで牛肥を入れるのがとても楽しいのと、エルフ(一・五トントラック)に山盛りの牛肥がみるみる減っていくのが、気持ち良いです。そして何より、みんなが明るい顔でてみを差し出してくれるのが、とても嬉しいです。

 スムーズに四枚の畑の追肥を終え、そして、残るボスは、保育園前畑。保育園前畑は、約十五アールの広い畑です。二チームに分かれて、バケツリレー対決をしました。あゆちゃんチーム対、るりこちゃんチーム。負けず嫌いの私たち。勝負となると、熱くなります。全速力で走り、バケツリレーをしました。あゆちゃんチームが、はやい、はやい。私は負けじと、全速力で走りました。

 しかし、途中で牛肥が切れて、勝負は一時中断。あゆちゃんが、牛肥を取りに行ってくれました。その間、山畑下の土寄せを進めようとみんなで話して、クワを持ってみんなで山畑下へ向かって走り、土寄せを進めました。土がふかふかで、気持ち良い!

 

 

 土寄せをしていると、どうしてこんなに心が躍るのでしょうか。かまぼこ型の美しい畝を作ること。そして、そのことによって、土の中でジャガイモが育つ。色んな畑作業はスケールの大きなアートみたいで、土寄せの作業でもそのことをとても感じます。

 土の中でジャガイモたちが育つことをイメージして、たくさんのジャガイモができますようにと祈りをこめて、かまぼこ型に土を盛りました。とてもスピーディーに進み、もしかしたらあゆちゃんが帰って来るまでに終わるかも?

 と感じ、次第に、終わらせようという空気になり、約十五分で、一枚の畑の土寄せを終えることができました。丁度そのタイミングで、あゆちゃんの運転するエルフの音がしました。みんなで、保育園前に向かってダッシュしました。

 そして、バケツリレー対決再開!

 土寄せが良い気分転換となり、みんなのスピードもよりはやくなりました。あゆちゃんチームとは、接戦でした。あとちょっと……頑張ったら勝てるかもしれない…あとてみ二杯くらい……というところで、あゆちゃんの「終わったー!」という声が聞こえて来ました。あゆちゃんチームの勝利です!

 負けて悔しかったけれど、全力でバケツリレーをするのが楽しかったです。

 

 

 十二時前に全ての畑の追肥を終え、昼食までに、山畑の土寄せもすることにしました。山畑下よりも畑が大きめなので、みんなでひとつの畝に入って、土寄せをしました。みんなを近くに感じると、自分の力が何倍にも強くなったように感じました。山畑の土寄せを終えたとき、思わず、
「やったー!」と叫んでしまいました。

 

 

 実は、私たちが追肥したのは、牛肥だけではありません。もうひとつは、達成感です。追肥と土寄せで、畑一枚につき二回「やったー」が言えるねと、みんなで話しました。作業する畑が五枚なので、じゃあ今日は十回「やったー」が言えるねと、言いました。みんなの「やったー」を、ジャガイモたちはしっかり聞いてくれたと思います。私は午後は、他の作業に行っていて、土寄せの作業ではなかったのですが、夕食の席で、十回「やったー」を達成できたと話を聞いたときは、とても嬉しかったです。これはおいしいジャガイモに育つこと間違いなしです。収穫がとても楽しみです。

 

【コラム】4枚の畑を廻る、畝立てツアー

夏の食卓を支える主力野菜、ナス・ピーマン・ゴーヤ・マクワウリの畝立てをしました。2日間で合計4枚の畑の畝立てが完了し、植え付けの準備万端です!

滝川横畑には、ピーマンとゴーヤが植わります
最後の畝には……米ぬかで書いた「GOAL」の文字。ライン引きチームから、みんなへのサプライズです。