【6月号⑩】「グレイテスト・ショーに決意を込めて ―― 鎌坂峠ツツジ祭りへの出演 ――」 ふみ

 

 鎌坂峠ツツジ園で開催された、『ツツジ祭り』に出演しました。なのはなファミリーの出演は久しぶりでした。迎えた五月五日の本番、ツツジが咲く会場のステージで演奏させてもらえることが嬉しかったです。

 今回は全七曲、約四十五分間のステージでした。一曲目の『ザ・グレイテストショー』のダンス練習は、大人数ダンス曲で、ダンス練習では、ステージの出はけのスピード感、足の運び、身体の角度など、みんなで練習を積み重ねてきました。

 なのはなでリハーサルをしたとき、いつも表現する側であること、お客様を楽しませる側であること、見せる意識をもって、堂々と演じることをお父さんが教えてくれました。

 

 

■表現する楽しさを

 

 ステージに出ると、ステージの一番前の客席で、卒業生のりかちゃん、おとちゃんと、お父さんがいるのが見えました。

 今回、卒業生が何人か帰ってきてくださって、なのはなのステージを応援して見てくれていて、すごく心強かったです。当日は、雨も心配したけれど、天気も味方してくれて、日差しも強すぎず、ツツジ祭りは開催されました。

 会場に入り、控え場所へ向けて歩いていくときに、
「あっ! なのはなさん! 頑張ってください!」
 と笑顔で声をかけてくださった方がいらっしゃって、応援してくださっていることが本当に嬉しかったです。

 

 

 『ザ・グレイテスト・ショー』を演奏しているときに、みんなのなかの一つのパーツになったような感覚でした。
 後ろを向くと、バンドメンバーがいて、周りには一緒に踊るみんながいて、踊っているときに、視界のなかに、みんなの希望溢れる笑顔が見えました。

 私は、今回、あけみちゃんと二人で踊るソリがあり、すごく緊張していて、ステージに立ったときに、その緊張に飲み込まれないようにしなければいけない、練習のときから、相当気持ちを強く作らなければいけないと思ってきました。

 実際に、本番でステージに立ったときは、緊張よりも、会場の応援してくださっている方があたたかく見てくださっていて、みんなと表現する楽しさを感じました。
 卒業生が何人も帰ってきてくれて、応援してくれていたり、お父さん、お母さんの笑顔があって、その力がすごく大きいと感じました。

 

 

■今の気持ち、私の気持ち

 

 あけみちゃんと二人で踊るところは、あけみちゃんが振り付けを考えてくれました。

 私は、三月の、心の傷を癒すミーティングのときに、あけみちゃんとバディを組んでいました。ミーティングを終えて、あけみちゃんが考えてくれた振り付けを見せてもらったときに、あけみちゃんの今の気持ちなのだと感じました。そして、私の気持ちでもありました。

 あけみちゃんにそのことを伝えたら、すごく喜んでくれて、分かってくれたことが嬉しいと話してくれました。

 私は、あけみちゃんが考えてくれた振り、気持ちを表現して、だれかたった一人でもいいから伝わってほしいと思いました。

 

 

 ステージで表現する目的として、まだ見ぬだれかのために、よりよい社会を作っていくために、そして、自分たちの気持ちを作っていくため、ダンスや演奏はそのための手段の一つであることを、いつもお父さんが教えてくれます。

 自分たちが伝えたいことを、ステージで表現する。その集大成となるのが、なのはなのウィンターコンサートであり、今回のツツジ祭りのイベントは一つの大切な本番であると同時に、その途中経過でもあるということを教えてくださいました。

 途中経過ではあるけれど、今の精一杯で表現し、次に繋げていく。終わりはなくて、いつも人生は途中経過であり、その途中経過を楽しみながら、途中経過を見せる覚悟を決めて生きていく。お父さんが教えてくださったことを思いました。なにかを発信しながら、よりよい生き方を求め続けなければ生きていけないし、そうでなければ生きていけないことを誇りにも思います。

 

 

■初夏の新緑

 

 ステージは、日々、積み重ねてきている心持ちが表れる場所であり、自分がどういう心持ちで普段から過ごしているか、確かめる機会でもあるのだと感じました。

 ステージが進み、今回、初披露となる『ハウ・ファー・アイル・ゴー』という曲も演奏しましした。

 

 

 なのはなでは年が小さいみんなが中心に踊った曲で、衣装も、手作りのティーリーフスカートの衣装でした。

 初夏の新緑の季節にぴったりの緑色がステージに映える衣装で、見ていると自然に笑顔になれて、私は、本番は次の曲への着替えがあったけれど、みんなが笑顔で踊っていることを思いながら、ステージに気持ちを向けながら、衣装の着替えをして、出番を待ちました。

 次の曲は、『オテア・ルミア』で、いつものステージであれば、打楽器を八種類ほど連ねて演奏をしてくれているのですが、今回はバンドの楽器編成で演奏するようアレンジされました。いつも叩いている楽器の一部を、キーボードのせいこちゃんが音を作って表現してくれていました。後ろを向いたときに、せいこちゃんがキーボードの鍵盤を打楽器として連打している姿が見えて、せいこちゃんの姿に力をもらいました。

 


 

 最後の曲は、『ビューティフル・ピープル』という大人数曲で、ステージは終わりました。

 私は、みんなとダンスを踊っていると、みんなのパーツの一つになって、一体になる感じが好きだなと感じます。

 みんなと踊っているときに、誇り高い気持ちにもなって、一緒に人生を走り抜ける仲間がいることが本当に心強いです。『ビューティフル・ピープル』が終わったときのお客様からのあたたかい拍手が本当に嬉しかったです。

 

 

■一人でも助かるように

 

 今回、衣装の着替えも、スムーズに着替えることができました。

 次の曲への着替えが、いかにスムーズに着替えられるかを考えて、一人でも着替えが助かるようにと、お母さんがいつも教えてくれます。

 衣装部のつきちゃんとお母さんと、どうしたら着替えが助かるかということを考えました。私の場合、『グレイテスト・ショー』の曲のあと、すぐに次の曲に出たかったのですが、次の曲でつける頭の飾りをグレイテストショーのときにつけておくことをお母さんと考えて、
「これからも、こうやって一人でも助かるようにと考えていこうね」
 と、お母さんが話してくれました。

 衣装がスムーズにいくと、次の曲への気持ちも作られる時間ができます。これから同じような場面が出てきたら、お母さんに教えてもらったこと、自分の経験を、次のだれかへとを繋げていきたいです。

 今回、ツツジ祭りに出演させてもらって、みんなと今の全力で表現することができました。

 応援してくださっている方のあたたかい空気のなかで、みんなとステージに立てることが有り難く、そして、ステージに立たせてもらうことで、すごく気持ちが作られることを改めて感じました。

 

 

 ステージが終わって、控え室に戻るときに、会場の警備員さんが、「なのはなさんですか?」と声をかけてくださいました。「はい」と答えると、
「ウィンターコンサート見ました。これからも頑張ってください」
 と話してくださって、とても嬉しかったです。

 応援してくださっている方がいて、ステージを楽しみにしてくださっている方が居ることが、すごく力になって、警備員さんが声をかけてくださったことで、ステージに立たせてもらうことで、こうやってまだ見ぬだれかへと繋がっていくのだと感じました。

 自分がまだ出会ったことがないまだ見ぬだれかに、自分たちの気持ちが届くように、これからも、ステージで私たちが求める生き方を表現していきたいです。

 ツツジ祭りに向かうなかで、気持ちをしっかり作って、堂々と演じること。見せる意識を高くもって、気持ちやダンスにキレを持たせることを、お父さんに教えてもらってきました。

 これからの課題もたくさん見つかって、また、次のステージへとみんなと積み重ねていきたいです。