【6月号⑧】「絵本の中から飛び出した恐竜たちを 狙って、射抜いて、得点ゲット」 みつき

 キャンプ最終日。朝から雨が強く降っていたけれど、そんなのへっちゃら!
 体育館で、吹き矢大会が開催できるからです!

 わたしは吹き矢の実行委員として、のんちゃんたちと一緒に、吹き矢大会を進めさせてもらいました。

 

 

 大会は、ノーマル戦、名人戦、団体戦の三種目で競います。
 ノーマル戦では、チームの全員が順番に三投ずつ吹いていきます。的に描かれた円の色によって、三点、五点、六点、九点、と点数が異なりますが、的の一番真ん中の緑色に当たると、得点は三十点!
 当たった矢の確認係として動き、何回戦も繰り返しているうちに、みんながどんどん上達しているのが分かりました。点数を発表すると、ドッとみんなからの歓声が返ってくるのが、うれしかったです。

 ゲストの相川さんや有賀さんは、初めてとは思えないくらいに命中率がすごくって、三発全ての矢が的に当たっているのも、格好良かったです。

 

 

 大竹さんも、吹かれた矢が深く突き刺さっていて、的の一番真ん中の緑色に当たったときは、わたしも口を大きく開けて喜んでしまいました。まちこちゃんの子供のようたくんも、みんなの中に混じって吹き矢をしてくれていて、わたしたちと変わらない力で、的に当てているのがすごいなあと感じました。

 みんなが真剣に吹いている姿、そのあとに素直に喜んで飛び跳ねたり、悔しがっている姿が、見ていて気持ちが良かったです。

 名人戦では、各チームの代表選手が対決し、十メートルの距離から、的の風船を狙います。今回は、どちらも割ることができた場合は、距離を伸ばし、もう一メートル後ろに下がってトライ、というルールが設けられました。

 どちらかが当たって風船が割れれば、そこで決着がついてしまう……。選手のりゅうさんやさくらちゃんが、まっすぐに遠くを見つめて、しっかりと構えている頼もしい姿勢、それを、みんなが静かに見守っている空気。
「これはどうなるのか!」と、わたしもドキドキして、試合に釘付けになってしまいました。

 

 

■恐竜風船

 決勝戦では、特別な「恐竜風船」が登場しました。風船が恐竜のボディになっていて、紙で作られた頭、手足が貼り付けられています。なんとも可愛らしくて、少し割るのが惜しくなってしまいそうな的です。
 それを見事に割った名人は、りゅうさんでした!
 風船の割れる音が響き渡り、その割れた風船から舞ったきらきらの紙吹雪に、会場が大興奮に包まれました。距離が遠くなっても、矢を当ててしまうみんなが、さすが名人、さすが代表選手だなあ、と感じました。

 

 

 最後の団体戦では、各チームの全員で一斉に、大きな的を狙って、一投吹いていきます。
 狙う大きな的は、今回は、たけちゃんが読んでいる絵本『きょうりゅうかくれんぼ』を参考にしたデザインになりました。制作中、たけちゃんの絵本を実際に貸してもらって、恐竜のやさしいシル絵本の中から飛び出した恐竜たちを狙って、射抜いて、得点ゲットみつき特別な恐竜風船が登場! シルエットやカラー、おどけたような表情を真似て、一体一体の恐竜の的を作りました。

 お母さんから頂いた、段ボール紙で出来た筒も使わせてもらって、的の四方を囲んでみると、見た目がガラリと変わりました。大きな的はまるで額縁に入った作品のようになって、ますます恐竜の世界観が、そこに映されているようでした。

 

 

■ティラノサウルスを狙って

 あゆみちゃんが、たけちゃんやたいちゃんに、「見て! きょうりゅうかくれんぼだよ!」と言って、的を指さしてくれていました。みんなも「わあ、かわいい!」と笑ってくれているのが、うれしかったです。
 そんな可愛い的だけれど、ルールはなかなか厳しいものでした……!
 ティラノサウルスのハイリスク・ハイリターンな得点設定も、はじめは、「みんな、あまり狙わないのかな……」とドキドキしながら見ていました。

 しかし、試合の回数を重ねるうちに、
「あれ、あの子が狙っている的は、もしかして……」
 いくつかのチームで、ティラノサウルスを狙ってくれる人が出てきました。
 お父さんやりゅうさんが、進んでティラノサウルスを狙ってくださったことも、すごくうれしかったです。そのおかげで、いっそう場の空気が盛り上がったなあと感じました。

 

 

 たくさんのゲストの方、子供たちが居てくれるなかで過ごしていると、とても和やかで、あたたかかったです。たけちゃんやゆりちゃん、ようたろうくんやみさきちゃん。子供たちも、広告を折って作った、小さな筒で吹き矢のまねをしてくれているのが、可愛いかったです。
 実行委員としての課題もいくつかあったけれど、家族みんなに助けてもらって、楽しむことができました。また来年も、もっと楽しく、もっと家族みんなと笑えたらいいなあと願って、吹き矢大会を終えました。