6月18日(日)「表現者になり、ヒーローになり―― 思いを伝える、父の日のコンサート● 山畑西の赤ジャガイモ掘り」

6月18日のなのはな

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 父の日を祝う、なのはな音楽祭。ついに当日を迎えました。
 「自分がお父さんへ向けて、どんな演し物をしたいか」というアンケートに基づいたチームがつくられ、それぞれの演じたい思いが詰まった、色濃いチームは全部で10チーム。多種多様で自由奔放。どのチームがどんな演し物をするか、始まるまで全貌は分からない。そんな、胸が弾む演目でした。

 オープニングは、全員で行う『ウィラーマン ~ケニーバージョン~』。
 もともとはニュージーランドに伝わる鯨漁の仕事歌で、あゆちゃんがお父さんへ向けて、替え歌を作ってくれました。パーカッションチームが叩く、ダン、ダン、という4分音符に乗せて、3部合唱で歌いました。

 

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「むかし、むかし、あるところに、健坊という男の子いた」
「そして彼は決めたんだ。この生きづらさの原因を、自分の人生をかけて突き止めてやる。健坊は時を経て、今、私たちのお父さん。生きる答えをくれたお父さん」

 民謡独特のメロディで、物語の始まりが感じられるような、それでいて力強い合唱。
 曲を終えて、みんなでお父さんへ感謝の気持ちを伝えて、音楽祭の幕が開きました。

 1チーム目は「ボディーパーカッション 弾打々」による2曲。
 あるのは、14本の腕と脚。手を叩き、足を鳴らし、身体だけでリズムが生まれ、一人ひとりが刻むリズムが重なって、音楽が作られる。

 

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 メンバーの瞳には、ゆるぎない自信が宿って輝いていました。なっちゃんのカウベルが刻む一定のテンポの中で、メンバーが次々に新たなリズムを叩いていく。
 足を踏み鳴らしながら、フォーメーションが入れ替わり、地面から伝わる振動と共に、鼓動も速まりました。活き活きと躍動するメンバーを見て、身体で鳴らす音を聴いているだけで、原始的な活力が湧いてくるように、感じられました。

 2チーム目は、せいこちゃん、さきちゃんによるキーボード2台の連弾の『ジ・アザーサイド』。 
 映画『ザ・グレイテスト・ショーマン』に出てきた曲で、せいこちゃんが劇中で一番好きという曲でした。伸びやかで、洗練されたキーボードと、2人の掛け合いになった歌は、聴いていて胸がスカッとする思いでした。
 また、せいこちゃんがアレンジしたオリジナルのピアノソロが、間奏に組み込まれていました。
 音楽を高度に、楽しんで演奏している2人が、とてもかっこうよかったです。

 

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 3チーム目は、「健人ピストルファミリー」。アコースティックギターの『玉蜀黍』と、バンド演奏『RAIN』の2曲を演奏しました。
 アコースティックギター演奏は、お父さんが大好きなトウモロコシが題名になった曲。演奏の前半に読むMCを、昨夜、りなちゃんと2人で考えました。

「私たちは、なのはなに来るまで、芽を出したくても出せなかったトウモロコシの種。真っ暗な土の中で、それでも、地上の太陽の光を信じ続けていました」
「思いが届いて、私たちはお父さんに巡り合いました。お父さんがくれた太陽の光を見ている限り、私たちは、真っ直ぐに空に向かって、伸び続けることができます」

 よしえちゃんがMCを読んでくれて、お父さんへの感謝、私たちの思いを込めて、演奏しました。

 

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 『RAIN』は、お母さんが大好きな曲です。さとみちゃんが楽譜を作ってくれて、7人のバンド編成で演奏を行いました。

「濡れないための、大きな傘なんて要らない! 濡れてしまえ!」
 どこまでも前向きな破れかぶれな気持ちで、泥臭くビートを刻み、歌いました。

 

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 今まで何度も練習をしたチームの空気感は、家族みたいに温かいものでした。みんなで歌詞の解釈をして、自分たちの曲にしていきました。演奏していると、雨に向かって叫ぶような、泥臭い勇気が湧いてくる曲。この曲を「健人ピストルファミリー」のみんなと演奏できたことが、本当に嬉しかったです。

 前半ラストの4チーム目は、「ダッドロマンス」の4人組によるダンス2曲。このチームは、一言で言うと衝撃的、でした。
 1曲目はレディ・ガガの『アプローズ』。

 

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 ――称賛、喝采を浴びるために、生きているの。
 4人のダンサーが、挑戦的な、自信に満ちた表情で踊る、キレキレのダンス。少人数とは思えない迫力のある、ダンサーたちの魅力に、強く引き付けられました。

 2曲目は『ダンシングヒーロー』。七変化する、初めて見るようなメンバーの表情。ダンスの概念が壊れるくらい、ぶっ飛んでいて、これ以上なく、面白い。
 どこまでも真面目に変顔と奇抜なダンスをこなす4人に、思わず喝采を送りたくなるほど、格好よかったです。

 

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 4組の演目にて、前半は終わり。すでに充実感があるけれど、後半はさらに、盛りだくさんです。お楽しみに! 

(りんね)

 

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「とけてしまうので急いでくださいーっ!」

 ピンクやグリーン、ブラウンと可愛い米粉クッキーの上に、ふんわりと真っ白な雪。そこにはパラパラとお星さま。お仕事組さんが作って下さった可愛い酒粕アイスが、みんな大好き。ほっぺたがとろける甘さと冷たさが口の中にふわっと膨らんで、もう、まさに、し・あ・わ・せ。

 

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 みんな、アイスで身体をスッキリとリフレッシュして、会の後半へ……レッツゴー!

 後半戦のトップバッターは、「ソウルフル ディーヴァ5」ゆいちゃんチームによるゴスペル。
 ゆいちゃんの伴奏に合わせた『オー・ハッピー・デイ』の歌を聞いたのち、私の頭の中には、この歌が何度も何度も流れました。一人ひとりが順番に歌ったり、ハーモニーを作り出したり、とてもきれいで、頭から離れないほど癖になります。

 

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  続いては、「劇団ナノワーツ」。ひろこちゃんチームによるミュージカル風のステージです。
 劇団のメンバーを見ても、衣裳から見ても、何が起こるか、胸が躍ります。
 ここでは、魔法学校の新入生に運よく選ばれた5人の新しい生徒たちが登場。誰かのためになる魔法を使えるようになりたいと思う3人と、楽しそうにする3人に嫉妬し、欲のままに利己的な振る舞いをする2人……。

 

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 そこへ学校の魔法使い先生たちがあらわれ、呪文と歌によって、意地悪な2人の考えかたが変わり、5人は力を合わせて、優しい魔法を作り広めていく決意をする。
 そんな、起承転結のある話、歌やダンスが入ったミュージカルが、とても面白かったです。魔法は誰かのために使うのです……。

 

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 続いて、えつこちゃんチーム「風変わりな魔女」によるアンサンブル演奏。赤いお花の冠を頭につけたみんなが綺麗。
 演奏は、チームのみんなが作り上げたアレンジメドレー。お父さんが好きな『鈴懸の径』も含まれていて、お父さんハッピー! 初めて聞いた私も大好きになる、このメドレー。

 

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 曲の終わりが、「どんな魔法がかけられたのであろう……」と考えさせる、そしてワクワクさせる、物語の続きを予感させる形にアレンジされていました。
 あなたならどんな魔法をかけられたい?

 

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 次は「パプリカ」バンドメンバーによる、『天国への階段』。
 この曲は、お父さんが10代の頃に知ってから、ずっと好きであったそうです。ストーリー性があって、とても深みのあるこの曲は、聴いているとバンドメンバーが生み出すその世界に吸い寄せられてしまいました。言葉に表せない、バンドメンバーや一つひとつの楽器が生み出す力を感じました。

 

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 お父さんは思わず席を立ち、音響の調整をして、演奏がより良くなるようにしていました。これからも、この曲はどんどんバンドメンバーやお父さんたちにより進化し続け、ウィンターコンサートでもまた聴けるかもしれません。とても楽しみっ……。

 バンドの次は、「ティアレなのはな」チームによる、タヒチアンダンスの『オ・ヴァイ』。フラダンスの先生ゆりかちゃんを始め、あけみちゃん、ふみちゃん、まみちゃん、よしみちゃんの5人が踊ってくれました。
 立っている姿から、光が差し込んで見えました。とても上品で、しなやかなこの曲とダンスにみんな、くぎ付けです。

 

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 私のお気に入りポイントは、曲中にある“叫び”。タヒチアンダンスではダンサーや客席の士気をあげるために甲高い声を上げるそうですが、みんなが叫ぶ、その部分が大好きです。
 このダンスは、イベントやコンサートで、このまま踊ることができますね、とお父さんが話してくれました。これからも見られることが、とても楽しみです。『オ・ヴァイ』を見ていると、心が和らぐことを感じました。

 

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 最後は「ナノベンジャーズ」まえちゃんチームで、私も踊らせてもらいました。
 小さい頃は、ヒーローになれる訳ないって笑われてた。でも、僕たちヒーローになれたよ。見て、お父さんが育てたヒーロー! 何か困ったことがあったら呼んでね、すぐに駆けつけるよ。カモン!!

 

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 みんなのヒーローになって、「へイッ!」「見てっ!」とポーズを決めて踊っていくよ。
 途中に、りゅうさん、それから、なおちゃんが登場。段々とヒーローが増えて行くことが、とても嬉しかったです。

 

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 練習の過程でみんなと動きを揃えたこと、話したこと、面白かったこと、色々な思い出を胸に。お父さん、いつもありがとうございます。という気持ちを胸に。
 りゅうさんが時々、「ふっ!」「はっ!」と言った掛け声をはさんで下さっていて、その一瞬一瞬の声に、私は凄く力をもらいました。
 みんなの作り出す温かい空気の中で全力で踊って、楽しんで表現することができて、とても、とても幸せでした。

 

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「お父さん、いつもありがとうございます。大好きです!」
 お父さんにたくさん、生きる希望や、あるべき姿を教えてもらっています。どんなに私が未熟であっても、何があっても、私たちを理解してくれて、回復することを絶対に諦めないで、前だけを見続けてくださる、お父さん。私たちはお父さんの、みんなの、ヒーローになれるように、これからも成長していきます。

 

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 チームのみんなと笑い合って、協力し合って、今日のために練習してきた時間は本当に楽しくて、かけがえのないものになりました。こうして、毎日、毎日が楽しいっ! という思い一杯でいられるのは、お父さん、お母さん、みんながいるからだと思います。本当に父の日会が楽しくて、幸せでした。家族みんなで父の日をお祝いできたことが、とても嬉しかったです。

(ももか)

 

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【卒業生からも、たくさんのお花、プレゼント、便りが届きました】

 

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 父の日の会で、全力で表現して、みんなの素敵なパフォーマンスを見て、
「よし、やってやるぞ!」
 と、やる気がみなぎったところで、体育館から畑へと、まっすぐにレッツゴー!

 畑では、ジャガイモたちが待っています。「私を掘って。私、美味しいわよ」という声が今にも聞こえそうです。晴れ続きで、畑も良い具合に乾き、今がチャンス。
 私たちは、色とりどりの衣装を脱ぎ、帽子を被って長靴を履き、畑スタイルになって、畑へと走りました。華やかなショーウーマンにも、逞しい畑ウーマンにもなれる私たち。私たちは、畑というステージへ向かいました。

 畑に行けば、お仕事組さんもいてくれて、桃作業や台所作業を除くメンバーが集結していて、とても心強い気持ちになりました。

 

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〈桃メンバーは、袋掛けのため桃畑へ向かいました。これからいよいよ、桃の収穫も始まってゆきます〉

 

 父の日に、家族みんなで畑に出られることがとても嬉しくて、何というスペシャルデーなんだろうと思いました。お父さんの大好きなコロッケを想像して、やってやるぞという気持ちになりました。

 お父さんが、システムを作ってくれました。4人1組のチームに分かれて、2人はスコップで掘り、あと2人はジャガイモを回収してコンテナに入れます。

 では、位置について、ジャガイモ掘りスタート!

 

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 私は、最初は、ジャガイモ回収に入りました。これまで、みんなと、追肥と土寄せで、たくさんの達成感を味わったこと、良いジャガイモができますようにと願いながら草取りをしたことを思い出しました。

 みんなの声をたくさん聞いてきた、ジャガイモたち。山畑西のジャガイモは、アンデスレッドと、デストロイヤーです。この綺麗なカマボコ畝の中で育ったジャガイモたちは、どんな姿を見せてくれるかしらと、ドキドキしながら、2人が掘ってくれたジャガイモを見ると……なめらかな肌に優しい赤色のジャガイモファミリーが、出てきました。

 

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 どんどん掘り進めていきます。スコップ2人組がとても速いので、猛スピードで、かつ見落としがないように、ペアと強力しながら大急ぎでジャガイモを回収するのが楽しかったです。やっていくうちに、あうんの呼吸が合ってきて、スピードもあがってきました。

 途中、ペアの子が、ハート型のジャガイモを見つけてくれました。色も赤なので、本当のハートを見つけたみたいで、嬉しくなりました。父の日なので、お父さんに見せたいと思いました。ジャガイモも父の日のお祝いにハート型の姿を見せてくれるなんて、なんとサービス精神旺盛なジャガイモなのだろう!

 

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 土にスコップを刺す、サクッ、サクッという気持ちの良い音を聞いていると、私も掘りたくなってしまいました。チームの子が、「交代する?」と声をかけてくれて、交代しました。私が掘った畝は、デストロイヤーの畝でした。

 かけ声に合わせて掘ったら、ピンクと紫の混ざった綺麗な模様のジャガイモたちが出てきました。私は、古代の宝物を発掘しているような気分になりました。そして、土がサクサクとしていて、気持ちが良い! 私は思わず、「もっと掘りたいザクザク♪」と、某ドラッグストアの替え歌を頭の中で歌ってしまいました。

 

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 よし、次の畝も掘ろう! と言って、顔を上げると、いつの間にか、すべての畝の芋掘りが終わっており、あとは運ぶのみでした。
 目標時間よりも数分早く終わることができ、達成感でいっぱいになりました。

 次は、芋を体育館に広げる、というミッションがあります。古吉野なのはなに戻る前に、水分補給をして、エネルギーチャージをしました。お茶がキンキンに冷えていて、美味しい! 身体の力が一気に復活していくことを感じました。お茶を用意してくれた人の優しい気持ちを感じました。

 

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〈軽トラにジャガイモを満載し、干し場へと運びました〉

 

 体育館にジャガイモを広げて干す作業も、スムーズに進み、一瞬に感じました。そして、傷芋がほとんどなかったので、作業をしていても気持ち良かったです。

 夕食の席で、お父さんの席に、ハート型のジャガイモを置いてくれた人がいました。お父さんが夕食のときにそれを見せてくれて、お父さんの笑顔が嬉しかったです。

 

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〈アンデスだけでなく、デストロイヤーの畝からもハート型のジャガイモが見つかりました!〉

 

 さて、収穫を待っているジャガイモ畑はまだまだあります。他の畑では、土の中のジャガイモたちはどうなっているのか、とても楽しみです。

(えつこ)

 

 

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〈じゃがいも掘りのあとは、スイートコーンの初収穫を行いました! 粒の揃った茹でたてのトウモロコシが夕食に並び、お父さんとお母さんも絶賛の味でした〉

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〈父の日をお祝いする、ロコモコとスイートコーンの夕食!〉
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〈古畑で育てているコモンマロウを担当している子たちが、ハーブティーを作ってくれました。カルピスを混ぜると、薄ピンク色の特別なドリンクになりました〉