【6月号⑤】「恐竜たちはこうして生まれた! ダイナノー・ウォーク舞台裏」 さくら

 

 キャンプ二日目の午前は、古吉野の校内がダイナノーパークになり、謎解きゲームをしました。
「ダイナノー」とは、ダイナソーとなのはなが組み合わさったネーミングです。

 ミッションは三つです。一つ目は校内の九部屋にいる恐竜の、隠された卵を探し出し、その恐竜の巣に返してあげることです。卵の中には謎が入っていて、謎を解くと次の部屋へのヒントが分かります。二つ目はダイナノパーク全体に隠された合計二十個の恐竜の化石を探し集めることです。三つ目はその集めた恐竜の化石を組み立て、骨格標本を完成させることです。

 私は実行委員として、須原さんを中心に恐竜の化石作りをしました。

 四月八日、あゆちゃんが買ってきてくれた、小学生の頃の夏休みに作りそうな、恐竜組み立てキット四体分を、須原さんが持っていました。それを見て、今からやっていくことがピンと分かりました。この恐竜キットの恐竜を倍尺して、大きなものを作るのだと思いました。

 まず、恐竜キットを組み立てることが楽しかったです。パーツが抜けるようになっている板から、つなぎ目はカッターで切ったりしながら慎重にくり抜いていきます。恐竜キットの表紙を見ながら組み立てていきました。

 

 

 トリケラトプス、ステゴサウルス、デイノ二クス、パラサウロロフスの四体でした。ステゴサウルスの背びれのようなものが不思議だったり、パラサウロロフスの顔は可愛いなと思いました。

 組み立てた恐竜を何倍にしようか話し合いました。あまり大きすぎたら使うベニヤ板が大量に必要になってしまう、だけど迫力のある恐竜にしたい。

 メジャーを引っ張って、全長、高さがこれくらいあってほしい、というものを決めました。組み立てキットの恐竜の十倍になりました。

 続いて倍尺にしていく工程です。恐竜キットのパーツをくり抜いたあとの板を使い、ふちをペンでなぞって型を取っていきました。

 須原さんがウィンターコンサートで舞台背景を作られるときに、ベニヤ板を無駄にしないようにと考えられていたり、精密に作られる須原さんの倍尺の技術はすごいです。舞台背景のときほどは形は厳密ではないので、新聞紙の型を作り、それをベニヤ板に並べて、パズルをするように一番ベニヤ板の無駄がないようにしました。

 

 

 新聞紙の十分の一の四角のマスを紙に書いて、そこにパーツの形を写し、縦横二辺から点をとっていきました。差金を使って、新聞紙に十倍にして点を書いていきます。点を繋いでいくと、十倍の型が出来上がります。

 各恐竜の一番大きなパーツは背骨で、背骨には肋骨や尾骨がはまる差込口がいくつもあります。その分、背骨の型が取れた時は達成感がありました。

 ベニヤ板に型書きができると、須原さんがくり抜いてくださいました。ジグソーと丸ノコを使ってくり抜き、電動サンダーでやすりがけをしました。やすりがけをしてもささくれが手に障るところがあって、須原さんが木工用ボンドを塗られていました。

 パーツがくり抜けたら、いよいよ組み立てです。組み立てながら、差込口がきついものや緩すぎるものは修正をして、完成させていきました。自立するためのスタンドも作りました。デイノニクスやパラサウロロフスは私よりも背が高く、まず足が長いです。恐竜図鑑を見ると、実物のデイノニクスは、今回作ったものとほとんど同じ大きさでした。他三体は、もっともっと大きかったです。

 本番前夜に完成したトリケラトプスの子供は、作っている時、須原さんの、
「全く同じじゃつまらんよな」
 という言葉にハッとして、前足を伸ばして母親恐竜に寄りかからないと立てないという、甘えん坊だけれど、違う二体にできたことが嬉しかったです。パーツの型を取るところから、足、顔の角度を変えたいところを考えていく時間が楽しかったです。
「ママー」と言っているような前足は、一ミリも型を取らず、あけみちゃんのフリーハンドで描いた形が原型です。

 

 

 恐竜の制作を長々と書いてしまいましたが、謎解きダイナノウォークでは、それぞれの実行委員が担当のブースに分かれて準備を進めました。

■舞台裏の楽しさ

 体育館には須原さん、まよちゃん、あけみちゃんが作ってくれた、大きな大きな背中に乗ることもできるブロントサウルスがいます。夜露や雨でぬれても大丈夫なように、表皮はトイレットペーパーが宅急便で届くときの防水加工包装紙が使われていて、ペンキで色が塗られています。

 

 

 音楽室のアトラクションは、まえちゃんとさやねちゃんが目隠しをして恐竜になって、その恐竜に触られずに卵と化石を取ってくるという遊びでした。挑戦者が床に敷いた新聞紙の上を歩くときのカサカサという音に反応しての俊敏な動きが、奇妙さもあって面白かったです。

 暗い部屋の中でクルクルと回る照明がついていて、綺麗さと怖い雰囲気がありました。

 ダイナノウォークの途中では、ベロキラプトルの子供が目を覚まし、ベロキラプトル鬼に触られると氷のように固まって、仲間が助けてくれないと動けない、緊急校内氷鬼をしました。

 私はなおちゃんと、緊急放送と鬼役をしました。緊急放送で話す内容を決め、なおちゃんのスマホから恐竜の鳴き声や緊急放送のブザーを準備しました。二人で放送のマイクに向かうときが楽しかったです。氷鬼終わりの放送では、親の鳴き声を聞いてベロキラプトルの子供たちが巣に帰っていきます。親の鳴き声は、なおちゃんの声真似でした。鬼になってキャーと逃げていくみんなを追いかけるのも、なかなかないことで、楽しかったです。私は靴を履くのを忘れたので、ダーッと追いかけて曲がる前では滑りつつ速度を落としてみんなを追いかけていました。

 謎が分からなくなってヒントがほしいときのヒントマンチャレンジでは、ストラックアウトやクイズ、ひでゆきさんが「百獣の王」になっている腕相撲対決などがありました。

 ダイナノウォークではありませんが、この間に須原さんが、プテラノドン・ジップラインを作ってくださいました。籾摺り機倉庫の屋根から出発し、グラウンドの上を滑空して降りていくものです。

 卒業生やゲストの方たちとも遊ぶことができて、嬉しかったです。