りゅうさんのスペシャルブレックファーストの目玉焼き&納豆トーストをお腹いっぱいに頂いて、お腹と心が満たされたところで……これからは全力で遊ぶぞ〜!
みんなやお父さん・お母さんのライブを終え目覚めた次の日は、『謎解き〝ダイナノー〟・ウォーク』。
元々は山小屋の山の中で行う予定でしたが、天気の都合で古吉野で行うことに。けれど実行委員のみんなが、
「外と変わらないぐらい、それ以上に絶対楽しいよ!」
とワクワクした表情で話してくれました。準備の期間には体育館から笑い声や歓声が聞こえてきていたり、私たちの目を引く恐竜が籾摺り機倉庫や体育館に一杯。この日が楽しみで仕方がありませんでした。
朝食後、体育館へそのまま直行。他の部屋はまだヒミツ……だそう。体育館へ入ると、もう興奮っ! 興奮っ!
パッと見ただけでもひきつけられそうな面白そうなゲームがずらりと並んでいました。このゲームたちで遊ぶの?
まだ私には分かりませんでした。でもとにかく楽しそう。
いつものようにチーム発表が行われるかと思っていたら、発表されない。と思っていたところに、あゆちゃんが、言いました。
「チームメンバーはゲームで見つけてもらいます!」
■チームメンバーを探して
見つける!? 予想外の言葉に一瞬、思考停止。
桃のお花見のときを覚えていますか?
あのパートナーゲームが再び登場。順番におでこにシールを貼ってもらいました。自分では見えませんが、そのシールには、自分が何者かが書いてありますう。
「何だろう?」
「私は誰?」みんなの頭上にハテナが一杯。しかも今回は、自分が誰かを知る、対となる相手を見つける、で終わりではありません。ウォークラリーで同じチームとなる仲間も見つける必要があります。
一番は、自分が誰か、ペアは誰か、それを見つけることができれば、チームはすぐに見つかるはず……ということで、パートナーゲームスタート!
最初は勢い……何も分からない状態から、答えを見つけていくのは難しい、ましてやイエスかノーでしか相手は答えてくれないもの。しかし、以前お父さんが教えてくださった、コツ。
「相手が質問してくる内容が、自分が誰かというヒントになる」
みんな、自分が誰かということもそうだけれど、一番は相手を見つけたい。もしかしてあなたが相手かも? と思ってくるのだから、自分に関連した内容の質問をしてくるはず。相手の質問に良ーく耳をすまして……んっ!? もしかして私は『魚』??
どうしてその答えにたどり着いたかはいまだに分からない、けれど、「私は魚、ですか?」と質問してみると、見事に、「はいっ!」とかえって来た。よしっ!
自分が誰かは分かった、次はペア。ペアならすぐに分かるだろうと余裕をこいていた私、ペア探しにここまで苦戦するとは思ってもいなかった。みんなのおでこを見て、魚とペアになりそうなものを探して探して、すると、まことちゃんのおでこに、同じ『魚』と書かれているのを発見。でも同じなんてことはありえるの?
あっ、『肉』と書かれているりなちゃんも発見。ウーン……分かんないよ〜っ! 誰がペアなの?
そんなところに『川』と書かれたつきちゃんが目の前に現れて、川と魚。二人で急いであゆちゃんの元へ、だけれど、
「違うっ! これは難しい……っ!」
と。難しいの!?
ペアではないのだけれど、チームであろう子は続々と発見、『肉』と書かれた子や『魚』、『草』と書かれた子。私はそのチームなのであろうが、ペアがみんなそれぞれ分からない。そんなところに、ななほちゃんがすごい勢いで私のほうへ向かってきました。
「ももちゃん! ペアだよっ!」
と、そんなななほちゃんのおでこには『スピノサウルス』の文字。けれどペアだと言われても、なぜか分からない。スピノサウルスと魚がどうしても結びつかない……何でー? 頭の中で、またもやハテナが一杯。それを察知してくれたようで、
「スピノサウルスは魚を食べるんだよっ!」
と教えてくれて、少し納得。ななほちゃんの勢いに押されて再びあゆちゃんの元へ、すると見事正解っ。私はペアを見つけることができた安心と喜びで、次はチームを見つける、ということを完全に忘れてしまいました。
だけれどペアが分かって、私たちがどういう部類なのかが分かったら、もう簡単。『魚』『肉』『草』と『ティラノサウルス』『スピノサウルス』といった恐竜のみんなと同じチームだということが分かった!
恐竜関連の言葉が書かれたペアを見つけに行きました。そして、集まったメンバーはお父さん、お母さんやのぞみちゃん、子供組3人、まことちゃんと元気いっぱいお転婆メンバー。他のチームのみんなも続々とメンバーを見つけることができました。これからの『ダイナノーウォーク』を共にする赤チームのみなさん、よろしくお願いします!
その後あゆちゃんの説明があって、ゲームがスタートするのかと思ったら……。
「これから準備運動として『氷鬼』を行いますっ」
とあゆちゃん。準備運動で氷鬼?
不思議。でも、鬼ごっこが大好きで、できるのがとても嬉しかったです。氷鬼は、タッチされた場合、その場に凍り付くように固まってしまい、その場から動くことはできません。けれど仲間が足の間をくぐり抜けてくれたら氷は解け、その場から解放され、また逃げることができるようになります。
■張られた伏線
今まで私は、氷鬼はタッチされたら固まり、仲間にタッチしてもらって解放されるだけと思ってやって来ていたので、潜り抜ける、というルールが新しくてびっくり。だけれど、潜り抜ける、その動作だけでも楽しそう。しかも大・大・大人数の氷鬼どうなるのかな?
ルールが分かったら、さっそく準備運動氷鬼、
「スタート!」大人数の鬼ごっこ、想像以上のパニックに!
誰が鬼で、誰が鬼でないか分からない。人が多くて、どこに逃げたらよいの。自分ができるのは、固まってしまった仲間を助けること。足の間をトンネルのようにするりと通り抜けて、仲間を解放。そしてまた走るっ。それをしていたら三分間の氷鬼はあっという間に終了。固まってしまったままだったのは、たった二人。
楽しかった、と笑っていると、あゆちゃんが、
「この氷鬼が後でゲームの役に立つかも知れません……」
と、説明間際にぼそっと……その言葉を私は聞き逃しませんでした。いつ出てくるの?
氷鬼を謎解きゲームでするの? 考えても分かりませんでした。
チームが集まり、氷鬼準備運動もして、ルール説明も聞いて、『ダイナノウォーク謎解きゲーム』を楽しむ準備はOK! いよいよゲームがスタートします。
ミッションは卵&化石探しの二本立て。一つ目は迷子の卵を見つけ出し、親の元へ返してあげる。各教室に一つずつ隠された卵を見つけだす! その卵の中には、次の迷子の卵の在りかのヒントが書かれた紙が入っていて、それを頼りに、その卵の親と巣の場所を探します。
二つ目は、恐竜の化石パーツを探しだす! 卵のように、各教室に一個ずつ隠されているのですが、それだけではなく古吉野なのはな中に恐竜の化石が、チームそれぞれ二十パーツずつ隠されています。化石をすべて集め、最後に骨格標本を組み立てます。そこまでが勝負っ! 誰が一番早く組み立てまでたどり着くことができるかな?
スタートの卵である、一つ目の卵をチームで一つずつ受け取りました。ピンクのお花の花びらの中に赤や黄、緑、とカラフルな卵が。そこから、お父さんの手の平へ。ちいさな卵には、私たちのチームカラーである赤色が水玉模様に描かれていました。とってもキュート。よーくこの恐竜の卵を目に焼き付けて、これから見つけるぞっ!
お父さんを囲んで初卵孵化の日を、『ダイナノー・ウォーク』スタートの時を迎えます。
■ヒントマンの元へ
「それではスタートっ!!」というあゆちゃんの声と同時に、卵がパカリ。中から出てきた紙の中には……三つのイラスト。舌、木、泥棒、……した、き、どろぼうで、下着泥棒?
下着があるのは、洗濯干場? そんなことある?
教室でもなくて、廊下でもない、違う気がするけどとにかく行ってみよう。りなちゃんたちとダッシュで廊下を駆け抜ける駆け抜ける。洗濯干場についたけれど、卵がある気配はゼロ。そんなところに実行委員のなるちゃんが。
「ここにはないよーっ」と。やっぱり、ここにはないみたい。このヒントは恐竜の名前になる、ということを教えてくれました。大ヒント!?
もう一度みんなで考え直します。
「舌、木、泥棒、舌、木、泥棒、ベロ、き、どろぼう」→『ベロキヌス』!? ベロキヌスかもっ! ようやく答えへたどり着きました。けれど、ベロキヌスってどんな恐竜? 小さいの? 大きいの? どこにいるの?
考えても分かんない、どう読んでも分かんない、ギブアップ!
ヒントマンだー!
ヒントマンというのは、謎解きゲームの中で分からないことがあった場合、さまざまなゲームにチャレンジしてそれを見事クリアすることができたら、実行委員からヒントをもらうことができます。チャレンジに失敗してしまった場合は、残念ですがヒントなし。ヒントマンに行くか行かないか、なかなか答えへたどり付けないクイズに頭を抱えているよりも、潔くヒントマンへ行くことに。方向転換、体育館へ直行だー!
■青い小さな……
ヒントマンチャレンジはバラエティー豊富。どれも楽しそう、捨てがたい。けれど私たちは一番無難であろう
「クイズ」へ。赤い布のかかった机の後ろには、頭脳派なおちゃん&ちさとちゃんが笑顔で迎えてくれました。
きっと簡単な問題であろう、そう期待していたものの……、
「今から十秒間で、ここに何が描かれていたか覚えてください」
と。んっ!? 記憶!? コツも何も分からないまま、十秒間のカウントダウンがスタート。
チクタクチクタク、という音が聞こえそうになるほど、みんながみんなその一枚の紙に視点も心も向けます。大きなものから、小さなもの、逆さまなものまで。(イルカ、きりん、ぞう、かに、たこ、りす、ふくろう……)
目で見て心で復唱、その時は大体覚えたつもりでいました。けれど、十秒が一瞬にして経ち、目の前からイラストが見えなくなり、さぁ言ってみてと言われると、
「イルカ、キリン、たこ……?」
三、四個言ったところで、もう思い出せなくなってきました。それはみんなもそう、初めは勢いよく当てていったものの風船がしぼむように尽きていきました。もう分かんないよ〜……!
それから段々あてずっぽうに。自分の知っている生き物をとにかく挙げていく。
「タツノオトシゴ! 猫! 犬!モルモット!」
しかし、どれもブーっ。ちさとちゃんたちも予想外の私たちのあてずっぽうの回答に苦笑い、それでもずっと聞き続けてくれて、最終的には私たちがギブアップ。チャレンジは失敗。けれど優しい二人、私たちが考えているところにさりげなくフォロー。
「青い小さな……」
■恐竜の王様
ベロキヌス、ベロキヌス……もしかしてリビングの恐竜!?
リビングへ行くと、真ん中に少し小型の青い恐竜がいました。ベロキヌスの足元には恐竜の巣が。一個目の卵はベロキヌスの卵だったのかな?
親の元へ返してあげよう。そして次はリビングに隠された卵&化石を見つけ出すんだ。一個目の卵はすぐに発見、コルクボードの上にちょこんと。化石も壁に。
またまた二つ目の卵をパカリ。中からは一個目とは随分と違う、何やらたくさんの文章が……。
「俺たちは、トリケラトプスたちと同期だな、同じ時期に生を謳歌していたんだ。体長は十二メートル〜十三メートル、体重は九トンもあったんだぜ! 最新の研究では、俺の走る時速は二十七キロ〜三十キロくらいだったかと言われている。……」
どこかで聞き覚えがある。セブンブリッジの実行委員で豆知識を調べていたときに見たことがあるような。大きい恐竜……もしかして、恐竜の王様『ティラノサウルス』!?
ティラノサウルスがいたのは、三年生教室だ! 移動時間は短時間! どんな時もダッシュで!
3年生教室の扉を開けると、中にはべロキヌスとは真反対の、部屋の半分程の大きさを占める大きな大きなT-レックスがニタリと大きな歯を見せて待ち構えていました。
再び卵&化石探しをスタート。化石は大きいのもあり、すぐに見つけることができました。けれど、卵がありません。座布団の下、間、カーテンの中、上、棚の中、額の後ろ、布団の間、どこを探しても見つからない……本当にあるの? 他のチームが間違えて持っていってない?
探してもなくて、灯台下暗しでもなくて、本当にあるのか、卵を隠したよしみちゃんに助けを求めに行くと、
「上のカーテンを見てー」。
衣装のしまわれている上のカーテンの後ろのすみに、ちょこんと置かれていました。あったー!
今回だけでなく、この先も隠された卵&化石を見つけるのに、とても、とても苦労しました。五年生教室の時にも、六年生教室の時にも、みんなで教室の隅々まで中から下、上と探しても、一向に見つからない。あるとは分かっていても、ないのではないか。と疑ってしまいそうになるほど難しい。赤チームの卵を隠した、よしみちゃんとるりこちゃんは名人なの!?
もう見つからなくて、見つからなくて、赤チームにサービス!? よしみちゃんたちがどちらともヒントを教えてくれました。
五年生教室は、
「ももちゃんの麦わら帽子っ!」それには私がびっくり。だって麦わら帽子は私はしばらくの間なくしていて探していた。それが発見されて、さらにはその中に卵が隠されていたなんて、驚きの連続。
これだけではありません。六年生教室は、これは伝説! 教室の角に置かれた高い棚の上の、たけちゃんのおもちゃが入っていたおもちゃ箱。赤い軽トラの入っていたおもちゃ箱の中に、赤色の卵が入っていました。おもちゃ箱に卵……想像をはるかに超えたレベルの難しさに、みんな驚きが隠せません。でも、無事に見つかって良かった——!
卵に入っていた問題に答えるときは、答えが分かっても、どのような恐竜かが分からないということが何回かありました。そんな時はヒントマン!
一回目はクイズへ行ったので、次は、『ブロントサウルスwith釣り』へ。体育館へ入ると、真正面で、大きな大きなブロントサウルスが私たちをお出迎えしてくれています。
■釣りと顔面化石発掘
このゲームでは、ブロントサウルスに乗ることも可能!
床に広げられた生き物を時間内に全て磁石で釣り上げることができれば、チャレンジ成功。ただし、中には重いものもいるので、その場合、協力が必要です。私はブロントサウルスの上へ登らせてもらいました。初めて恐竜の背中に登る!
背の高いブロントサウルスに乗ると、乗ったことはないのですが気分はきりんに乗った感じ。身長がとーっても高くなったような、しかもリアルにつくられたこの恐竜、今にも動き出しそうでドキドキ・ワクワク。この上から釣りをするのは、少しレベルが上がりますが、慎重に、慎重に……ゲームスタート!
取りやすいものから順に、一個ずつ確実に釣りあげて行きます。釣り竿が長いので、ゆらゆら……釣り針(磁石)をコントロールすることが、とても難しい。上から真下に向かって釣るのではなくて、床を滑らせるようにして磁石に付けて釣り上げると良い、ということに気が付きました。
コツが分かれば、もう一踏ん張り。慎重さは崩さず、焦らず丁寧に。そして、良い感じに進んでいる、というところで残すところ、重たいのが一匹。しかし、位置が微妙。誰からも届くか届かないかのギリギリのライン、みんなが一匹に向かって身体をうーんと伸ばして、釣り竿を遠ーくに伸ばして、だけれどなかなか釣れない。
しかし時間は止まりません。
「3,2,1、終了でーす」
残り一個にして惜しくもチャレンジ失敗。残り一個〜ゆるして〜と言いたくなるほど惜しい結果。その時は、自力でそれらしい恐竜の元へ行くことにしました。
私が今回のチャレンジで一番楽しかったのは、『顔面化石発掘』。小麦粉のたくさん入ったトレーの中には、チョコレートの恐竜が一つ隠されています。小麦粉に顔を付け、顔だけで探し出し、口でくわえ上げる、というチャレンジ。私はこれを見た瞬間から絶対にやりたい! と思っていて、お母さんたちにおねだり。『顔面化石発掘』チャレンジさせてもらうことに。
初めに、るりこちゃんがコツを伝授してくれました。
「顔を全面付けないで、おでこの方だけで探し出すと良いよ。口まで付けると苦しくなってしまう」
なるほどっ! 一分の間で見つけ出すことはできるのか、スタートの合図とともに目をつぶって小麦粉へ顔をダイブ〜。
ふかふか、布団の中にダイブしているような気分。気持ちよいけれど、それに浸っている時間はない。恐竜チョコを見つけて咥えだすんだ。おでこを左右にすりすり、するとおでこに何かがコツン。あっ! 見つけた!
後は咥えるんだ。けれどこれが難しい、あと数センチのところなのに届かないよ、と思っていると、いきなり足が宙に浮いて、顔が全面グフォ。お母さんが私を持ち上げて下さったみたい、全面ダイブしたおかげで、残り一秒とギリギリのところでチョコゲット!
顔はもちろん、口の中が小麦粉だらけ〜初小麦粉ダイブ、無事チャレンジクリア!
すんごく楽しかった〜……一番のお気に入りに認定。
ヒントを教えてもらって、恐竜の元へゴー。卵と化石は全て教室に一つずつ隠されていますが、それを見つけるだけではありません。慎重に慎重に、卵と化石のところまで、襲われずに行かなければゲットできないこともあります。
とても怖いと噂の音楽室へ……卵と化石を見つけるために……。
■緊急事態
音楽室には恐竜が二頭、卵を守るために見張っています。目は見えないけれど、聴覚が非常に優れています。足音を立ててしまった場合、その恐竜に襲われてしまい、卵や化石をとることができません。慎重に、抜き足差し足で、卵の元へ向かい、手に持ち、そのまま慎重にみんなの元へ帰る。そこまでできて、ミッションクリアです。
しかし、床にはくしゃくしゃになった紙や新聞紙が一面に引かれています。これは難易度が高い!
誰が行く? 誰が行く? どんなことになるのかドキドキしながら、あゆちゃんのルール説明を聞いていると、予期せぬ自体が私たちに襲い掛かってきました。『ウィーンウィーンウィーン! 緊急事態発生、緊急事態発生、ベロキラプトルの子供たちが起き上がり暴れだしました。ベロキラプトルには……』
恐竜の鳴き声の混じった緊急放送が流れ始めました。声色からも緊急、だということがひしひしと伝わってきます。
今から音楽室の恐竜に立ち向かうというところで、この緊急放送。音楽室のことに関連しているの? していないの?
けれどこれは、校内全体に放送されているということは、他のチームのみんなも聞いている。
どういうこと? 何が起こるの? 予期せぬ放送に、赤チーム一同パニックになっているところに……ガラガラッ、いきなりなのはなの湯の扉が開いたかと思ったら、中から真っ黒な恐竜が二頭、飛び出てきました。すんごく満面の笑みで私たちに襲い掛かってきました。
とにかく逃げろー! 古吉野なのはな中バタバタという足音と叫び声でいっぱい。何がなんだか、もう分かりません。
私は必死に逃げました。けれどどこまでも恐竜は追いかけてきます。
■再び探索へ
そんな中、みんなの向かった先は、体育館。体育館は安全なのだと思い体育館へ猛猛猛ダッシュ!
一目散に体育館へ向かいます。しかし体育館へたどり着き安全だと思っていたのは大間違い。中までベロキラプトルは追いかけてきます。みんなだけでなく各地から集まったベロキラプトルも集結。真っ黒なものだけでなく、ギラギラ青や赤のベロキラプトルもいます。最後まで何がなんだか分からない。自分自身、必死過ぎて現状が把握できない。とにかく走って逃げる!
体育館内はみんなの叫び声で、カオス……逃げ切ることができたのかな?
またまた、放送とともにベロキラプトルの赤ちゃんは帰って行きました。
ふーっ、一安心。
叫んで走って、今の一瞬が流れるように過ぎ去っていきました。何が起こったのか今だに分からない。とにかくびっくり……赤チームのみんな、いる? 誰も襲われていないか確認、あれ? お母さんとまりのちゃんの姿が見当たらない。どこへ行ってしまったのであろうか。私たちが逃げてきた道をたどるようにして、音楽室のほうへ再び戻りました。
「おかあーさーん! まりのちゃーん!」
すると、鉄筋校舎の入口で固まるお母さんとまりのちゃんの姿が。ここでやっと理解! さっきのは氷鬼だったんだ。そして初めの準備運動の氷鬼は、この時のためにしていたんだ。頭の中の回路がきれいに繋がり、大納得。
それにしても、あの緊急事態でパニックになっている中、よく放送から氷鬼だということを聞き取った……凄すぎます。お母さんたちを助けるために、足の間を潜り解放。よし赤チーム全員集結。気合を入れて音楽室へGO!
誰が行く? となった時、みんなの視線が一度に私のほうへ……ももか!?
お父さんやお母さんが行かれるのかと思っていたからびっくり、一人少し楽しみにしていそうなオーラを出していた私が、チャレンジすることになりました。入る前に、腰に鈴が取り付けられました。そんなものいらないよ〜、鈴により難易度さらにアップ。本当に慎重に行かなければ簡単に音は鳴り、襲われてしまいます。
赤チームが卵と化石をゲットできるかどうかがかかっています。さっきまでの興奮をおさめるために、一度小さく深呼吸、チームのみんなが見守る中、そろーりと足を踏み入れました。
■音を立てずに!
部屋の中には二頭の恐竜が動き回っています。いきなり走ったり振り向いたり、どう動くかは予測不可能。それに動じてはいけません、息をひそめるようにそーっと。新聞や紙のところは特につま先からゆーっくり。カメよりも遅いのではないかというスピードで進んで行きます。恐竜が近づいて来た時には一度ストップして息をひそめます、時にはしっぽや手がペシッ! 私の身体に当たることも。内心とーってもドキドキ、冷や汗タラり。
卵と化石までの距離が半分というところで、隠れ場発見。大きな岩の下に入って少し一休憩。息を吐いて、再び卵の元へ歩き出します。そして無事に卵と化石の元へ。ここでも舞い上がらないで、そーっと手を伸ばし、卵を、そして化石を掴みます。そして胸に抱きかかえ、後はみんなの元へ戻るだけ。早く戻りたくて、急ぎ足になってしまいそうでしたが、ダメダメ。ここで音を鳴らして襲われてしまっては、元も子もありません。最後まで慎重に慎重に……進む先には見守るみんなが見えました。それが見えると、エネルギーチャージ!
緊張と怖さで減って行っていたエナジーが少し回復。残る距離は五メートル、四、三、二………一メートル、最後はもうチョビチョビダッシュ!
みんなの元へ卵と化石とともに帰ることができました。ひゃー怖かった。
明るい光とともに、みんなが、
「ももちゃん、お疲れー! 凄かった」と笑顔で迎えてくれて、肩の荷が一気に降りた気がしました。
緊張からの、どっと疲れ&冷や汗。けれど、それはすぐに吹き飛びました。だって卵と化石をゲット! 卵を親の元へ返して、残るは化石全二十パーツを見つける! という任務が待っている。
私たち赤チームは、各教室の卵&化石探しに苦戦してしまったのもあり、他のチームより進みが遅め。私たちが卵を探している間にもうすでに、他のチームは謎解きを終え、化石探しに入っていました。それでも私たちは諦めない。私たち見つけるのが苦手なの?
それとも隠す場所が難しいの? なかなかすぐに見つからない。
■化石が揃った!
そんな中、すれ違う他のチームのみんなが、
「赤チームの化石、たけちゃんの車の中で見たよっ、お客様玄関のほうでも、たくさん見たよ〜」
と教えてくれました。そうと分かれば赤チームダッシュ!
鉄筋校舎側の化石を探す子と、みんなが教えてくれたお客様玄関側を探す子に分かれました。
壁にかけられていたり、車の中、色々なものにカモフラージュしていた化石、化石を持ち寄って何パーツ集まったか数えます。
「残り三個っ!」……
「二十パーツ集まった!」
無事に卵と化石をすべて集めることができました。やったー!
ラストは、体育館でこれらの化石を組み立てて恐竜にします!
体育館へ着くと、ヒントマン会場から、恐竜博物館へと変わっていました。他のチームのみんなが、もうすでに恐竜模型を組み立て始めていました。初めに、設計図と、透明ケースに入った恐竜ミニ模型を受け取りました。私たちが組み立てるのは『スピノサウルス』!
背中にはひし形が並んでいるのが特徴、組み立て上げるまでが、『ダイナノーウォーク』の勝負。恐竜組み立てを目一杯楽しみつつも、スピード大事……。
背骨から、足や頭、と広げていきます。お母さんが設計図を見て、この部品がどこに来るのかということを教えて下さって、私たちはコンコンコンと組み立てて行きます。バラバラのパーツから、どんどん恐竜が見え始めて行きました。
他のチームは続々と完成……最下位であっても私たちは諦めない。恐竜作りを目一杯楽しむことに。
よしっ! 完成、と思ったら。あれ? 頭のパーツが一つない。二十パーツ見つけたのにな。私たち赤チームの『スピノサウルス』は特別!?
二十一パーツあったみたい。さくらちゃんたちが、もう一ピースを持って来てくれて、ようやく『スピノサウルス』完成ー!
何から何まで手作りとは思えないほど、リアルで大きくて。その完成度の高さに興奮がおさまりません。四チーム、四体全ての恐竜が完成し、最後はみんなで恐竜鑑賞タイム!
自分以外のチームの恐竜も間近で見ることができます。『なのはな恐竜博物館』に来た気分になりました。黄色チームの作った『トリケラトプス』には、たけちゃんサイズの赤ちゃんまでついていました。とってもキュート……。
赤チーム以外の三チームは僅差!
各リーダーによるじゃんけんで一位が決まります。結果は、さきちゃんたち青チームが優勝。一位になることはできなかったけれども、順位など関係ないくらいに、楽しくて、楽しくて仕方がありませんでした。走って、笑って、叫んで、慎重になって、考えて、半日とは思えないほど色々な分野を体験することができて、恐竜にたくさん出会って、本当にジェラシックパークに来た気分になれました。今回は雨で、古吉野で行なったのですが、次は山小屋の縁日での『ダイナノーウォーク』が待っています。また恐竜に出会える日が、とても楽しみです!